【完結】良い子な邪神に転生した俺は強すぎて封印不可?頑張って封印されます!

鏑木 うりこ

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93 村人が見たものとは

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 その村は捨てられた村だった。呪われた土地のすぐそばにある人口が20人にも満たない村。常に死の風が吹きつけて、命を削り取って行く。夜になれば亡者たちの声で埋め尽くされ、灯る明りは怨念を孕んだ青白い呪われた魂のみ。
 村を何重にも囲った塀の外側をカリカリと死ねない躯たちがひっかいている。正気なんてだいぶ昔にすり切れた。ただ、行く所がないからここにとどまっているだけ。

 そんな地獄の呪われた大地から鼻歌を歌いながら人間らしきものが歩いてくる。

「こんにちはーお隣に引っ越してきたのでよろしくおねがいしまーす」

 金の髪の男は年の頃は20くらいだろうか。にこにこと愛想が良く、可愛らしい印象を受ける。その男の後ろに静かについてきたのは黒髪の男。こちらの方が背が高い。どちらもすらりとしているが冒険者だと名乗った。

「ここの呪われた土地を買ったんだ!だからあそこの岩から先は俺達の土地なの。結界とか張ろうと思ってるけど良いかな?」

 頭がおかしい、村人はそう思った。あの地は誰も近づけない……生きている人間は魂すら一瞬で奪い取られる恐ろしい場所なのに。今は日が高いから亡者共は大人しくしているが、日が沈み夜ともなればあいつらが一斉に目を覚ます。

「今まで通りまっすぐ歩いて行こうとすると、見えない壁にドーンってぶつかるから気を付けてね?」

「む、向こうに……歩いて行こうなどと思ったことは……ない」

「あ、そうなの?じゃあ大丈夫だね!」

 金色の微笑みを残して男は呪われた土地の方に歩いて行く。

「セラ、ここの結界張っちゃって」

「ここを張り終われば一周完成ですか?」

「うん。突然通れなくなったらびっくりするからさ、ちゃんと周りの村に言ってからにしようと思って!」

「ルーは優しいですね」

 にこにこと笑いながら話す二人を、村人は信じられないものを見る目で見ていた。

「では」

 すっと手を上げただけなのだが、何かが起こったようだ。見た目には何も変わらない、でもいつも命を削り取って行くような死を孕んだ風が止まったような気がした。

「うわ!きれーい!上手~!」

「ありがとうございます。ルーに褒められるのが一番嬉しいです」

「えへへ……」

 そして手を繋ぎながら、呪われた土地の中へと歩いて行こうとする。

「あ、あんたたち!駄目だ!それ以上進むと殺されちまう!!」

 村人は叫ぶが、金髪がにこやかに言う。

「大丈夫~心配してくれてありがと~俺たち強いから大丈夫だよー」

 能天気に消えていく二人を痛ましげな目で見送ったが、疲れ切った村人にできる事は何もなかった。


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