43 / 47
42話 王妃
しおりを挟む
いよいよ王妃に会う日になった。王妃はミオナールが魔法でセレニカに転移し、ここまでお連れになる。
俺達もその前に魔法でジオトリフの屋敷に集まってきた。
俺は王妃に会う前にユーロジンと大公から聞いた話をみんなにした。
「もし、その大公の嫡男があの時のフェンタニルの国王だったとしたら、そいつを消してしまえば全て終わるんじゃないのか?」
リドカインは得意げな顔をしているが、そんなに簡単ではない。
「そいつは魔力がかなり強くて、近づけないらしい。しかも古代魔法を使うらしいんだ。大公から俺に何とかできないかと言われたよ」
ジオトリフが口を開いた。
「ソリターが今、そいつの傍にいる。もう少し待とう。何か突破口を見つけてくるだろう。さぁ、そろそろ王妃が来るぞ」
ジオトリフの言葉通り、すぐにミオナールと一緒に王妃が姿を現した。
王妃はミオナールにしがみついている。
「凄いわね。転移魔法ってこんなに簡単に移動できるのね」
ミオナールはよそ行きの顔で微笑む。
「転移酔いは大丈夫ですか?」
「ええ、大丈夫よ」
王妃は初めての転移魔法に興奮しているようだ。ジオトリフが王妃に挨拶をした。
「ようこそ、リルゾールへ。私は魔法騎士団の団長をしております、ジオトリフ・リルゾールです」
「王弟殿下、転移魔法で連れてきていただき感謝しておりますわ。魅了避けの薬もありがとうございます。これでもし、あの女が現れても男達が魅了の魔法にかかることはないでしょう」
薬の輸入にはジオトリフが一枚噛んでいたのだな。
王妃は俺達に気がつき、ルナベルに駆け寄り抱きしめた。
「ルナベル、良かった。元気で生きていて良かった」
「妃殿下、病と謀り申し訳ございませんでした。この通り元気です」
「いいのよ。テオドールと離れたかったのでしょう? あの子にはあの時の記憶がないの。陛下もよ。だから私が婚約解消をすすめてもなかなか首を縦に振らないのよ」
「妃殿下はあの時の記憶がおありになるのですか?」
「ええ、女神が思い出させてくれたわ。未来を変えろと。何故陛下ではなく私だったのかはわからないけど、女神がそれがいいと判断されたのなら、私は未来を変えるために全力を尽くすわ。ここにいる皆は、記憶があるのね」
俺達は頷いた。
「あの時は不甲斐なく、魅了の魔法にかかってしまい、フェンタニルの片棒を担ぐようなことになってしまいました。必ず未来を変えます。セレニカを亡国になどしません」
王妃は穏やかな笑みを浮かべる。
「そうね。我が国は魔法にあまりにも無知だったわ。魔導師団はあっても、生活魔法がメインだものね。魅了の魔法という魔法があることを知らなかったから、誰もあれが魔法とは気がつかなかった。今は団長のエストラジオール侯爵に令嬢と一緒に魔法の研究をしてもらっているわ。令嬢も記憶があるの。しかも、あの時、令嬢は存在しなかった。きっとこれも女神の采配ね」
ミオナールがニヤリと笑った。
「ジュリナは転生者なのです。女神がセレニカのために他次元から魂を呼び寄せたそうですわ。きっと彼女はセレニカ王国の為になる人間だと思います」
転生者って何だ? 時が戻った記憶持ちの俺達とは違うのか?
それから俺達は王妃とそれぞれの記憶を擦り合わせた。
セレニカ王国の中では王妃を中心に宰相、父、魔導師団長、外務大臣がセレニカの平和のために動いていると言う。国王はそんなことがあるわけないと言っているが、王妃が先導しているので、黙って見ているそうだ。
「ここだけの話、あの時、私は何度もあの女を調べろ、何かある。信じてはならないとうったえたけれど、陛下は魔法にかかっていたから信じてくれなかったの。あの女の素晴らしさを私に言い、私をなじり、暴力を振るい、迫害したわ。今思い出しても魔法にかかっていたから仕方ないとは割り切れないのよ。もう、生理的にも受け付けないの。ルナベルもそうでしょう? もう無理よね。私はフェンタニルのことが片付いて、セレニカを助けられたら、離宮に移ろうと思っているの。もう陛下と一緒にいるのは無理なのよ」
王妃の言葉に皆驚いた。俺は加害者だ。王妃やルナベルのようにジェミニーナから嫌悪されても仕方ない。それなのにジェミニーナは俺を受け入れてくれた。
コンスタンがポツリと呟いた。
「記憶がない陛下や殿下が羨ましい。俺も記憶なんかいらなかったよ。でも俺は記憶を持って産まれてしまった。一生、セレニカに贖罪していかなくてはならない。それに、いちばん謝りたいリオナはこの世界に存在していない。リオナに会いたいよ……」
その時、コンスタンの頭上から光が現れた。
「会えるわ。いや、もう会っているわ。ただ彼女はリオナとしての記憶はないの。でもあなたを求めるわ。セレニカのことが終わったら、後の人生は彼女に尽くしなさい。あなたも救われるわ」
女神の声がし、ミオナールがコンスタンの肩に手を置いた。
「女神は皆を幸せにしたいの。あなたも幸せになれるわ。ルナも妃殿下も幸せになります。女神を信じてセレニカを救いましょう」
ミオナールの言葉に皆が頷く。
俺達はセレニカを救う。それからの人生は今は横に置いておこう。
俺達もその前に魔法でジオトリフの屋敷に集まってきた。
俺は王妃に会う前にユーロジンと大公から聞いた話をみんなにした。
「もし、その大公の嫡男があの時のフェンタニルの国王だったとしたら、そいつを消してしまえば全て終わるんじゃないのか?」
リドカインは得意げな顔をしているが、そんなに簡単ではない。
「そいつは魔力がかなり強くて、近づけないらしい。しかも古代魔法を使うらしいんだ。大公から俺に何とかできないかと言われたよ」
ジオトリフが口を開いた。
「ソリターが今、そいつの傍にいる。もう少し待とう。何か突破口を見つけてくるだろう。さぁ、そろそろ王妃が来るぞ」
ジオトリフの言葉通り、すぐにミオナールと一緒に王妃が姿を現した。
王妃はミオナールにしがみついている。
「凄いわね。転移魔法ってこんなに簡単に移動できるのね」
ミオナールはよそ行きの顔で微笑む。
「転移酔いは大丈夫ですか?」
「ええ、大丈夫よ」
王妃は初めての転移魔法に興奮しているようだ。ジオトリフが王妃に挨拶をした。
「ようこそ、リルゾールへ。私は魔法騎士団の団長をしております、ジオトリフ・リルゾールです」
「王弟殿下、転移魔法で連れてきていただき感謝しておりますわ。魅了避けの薬もありがとうございます。これでもし、あの女が現れても男達が魅了の魔法にかかることはないでしょう」
薬の輸入にはジオトリフが一枚噛んでいたのだな。
王妃は俺達に気がつき、ルナベルに駆け寄り抱きしめた。
「ルナベル、良かった。元気で生きていて良かった」
「妃殿下、病と謀り申し訳ございませんでした。この通り元気です」
「いいのよ。テオドールと離れたかったのでしょう? あの子にはあの時の記憶がないの。陛下もよ。だから私が婚約解消をすすめてもなかなか首を縦に振らないのよ」
「妃殿下はあの時の記憶がおありになるのですか?」
「ええ、女神が思い出させてくれたわ。未来を変えろと。何故陛下ではなく私だったのかはわからないけど、女神がそれがいいと判断されたのなら、私は未来を変えるために全力を尽くすわ。ここにいる皆は、記憶があるのね」
俺達は頷いた。
「あの時は不甲斐なく、魅了の魔法にかかってしまい、フェンタニルの片棒を担ぐようなことになってしまいました。必ず未来を変えます。セレニカを亡国になどしません」
王妃は穏やかな笑みを浮かべる。
「そうね。我が国は魔法にあまりにも無知だったわ。魔導師団はあっても、生活魔法がメインだものね。魅了の魔法という魔法があることを知らなかったから、誰もあれが魔法とは気がつかなかった。今は団長のエストラジオール侯爵に令嬢と一緒に魔法の研究をしてもらっているわ。令嬢も記憶があるの。しかも、あの時、令嬢は存在しなかった。きっとこれも女神の采配ね」
ミオナールがニヤリと笑った。
「ジュリナは転生者なのです。女神がセレニカのために他次元から魂を呼び寄せたそうですわ。きっと彼女はセレニカ王国の為になる人間だと思います」
転生者って何だ? 時が戻った記憶持ちの俺達とは違うのか?
それから俺達は王妃とそれぞれの記憶を擦り合わせた。
セレニカ王国の中では王妃を中心に宰相、父、魔導師団長、外務大臣がセレニカの平和のために動いていると言う。国王はそんなことがあるわけないと言っているが、王妃が先導しているので、黙って見ているそうだ。
「ここだけの話、あの時、私は何度もあの女を調べろ、何かある。信じてはならないとうったえたけれど、陛下は魔法にかかっていたから信じてくれなかったの。あの女の素晴らしさを私に言い、私をなじり、暴力を振るい、迫害したわ。今思い出しても魔法にかかっていたから仕方ないとは割り切れないのよ。もう、生理的にも受け付けないの。ルナベルもそうでしょう? もう無理よね。私はフェンタニルのことが片付いて、セレニカを助けられたら、離宮に移ろうと思っているの。もう陛下と一緒にいるのは無理なのよ」
王妃の言葉に皆驚いた。俺は加害者だ。王妃やルナベルのようにジェミニーナから嫌悪されても仕方ない。それなのにジェミニーナは俺を受け入れてくれた。
コンスタンがポツリと呟いた。
「記憶がない陛下や殿下が羨ましい。俺も記憶なんかいらなかったよ。でも俺は記憶を持って産まれてしまった。一生、セレニカに贖罪していかなくてはならない。それに、いちばん謝りたいリオナはこの世界に存在していない。リオナに会いたいよ……」
その時、コンスタンの頭上から光が現れた。
「会えるわ。いや、もう会っているわ。ただ彼女はリオナとしての記憶はないの。でもあなたを求めるわ。セレニカのことが終わったら、後の人生は彼女に尽くしなさい。あなたも救われるわ」
女神の声がし、ミオナールがコンスタンの肩に手を置いた。
「女神は皆を幸せにしたいの。あなたも幸せになれるわ。ルナも妃殿下も幸せになります。女神を信じてセレニカを救いましょう」
ミオナールの言葉に皆が頷く。
俺達はセレニカを救う。それからの人生は今は横に置いておこう。
146
あなたにおすすめの小説
他国から来た王妃ですが、冷遇? 私にとっては厚遇すぎます!
七辻ゆゆ
ファンタジー
人質同然でやってきたというのに、出されるご飯は母国より美味しいし、嫌味な上司もいないから掃除洗濯毎日楽しいのですが!?
「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。
「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」
そう言われて、ミュゼは城を追い出された。
しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。
そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……
【完結】捨てられた双子のセカンドライフ
mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】
王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。
父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。
やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。
これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。
冒険あり商売あり。
さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。
(話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)
解雇されたけど実は優秀だったという、よくあるお話。
シグマ
ファンタジー
突如、所属している冒険者パーティー[ゴバスト]を解雇されたサポーターのマルコ。しかし普通のサポート職以上の働きをしていたマルコが離脱した後のパーティーは凋落の一途を辿る。そしてその影響はギルドにまでおよび……
いわゆる追放物の短編作品です。
起承転結にまとめることを意識しましたが、上手く『ざまぁ』出来たか分かりません。どちらかと言えば、『覆水盆に返らず』の方がしっくりくるかも……
サクッと読んで頂ければ幸いです。
※思っていた以上の方に読んで頂けたので、感謝を込めて当初の予定を越える文量で後日談を追記しました。ただ大団円で終わってますので、『ざまぁ』を求めている人は見ない方が良いかもしれません。
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
勇者パーティを追放された聖女ですが、やっと解放されてむしろ感謝します。なのにパーティの人たちが続々と私に助けを求めてくる件。
八木愛里
ファンタジー
聖女のロザリーは戦闘中でも回復魔法が使用できるが、勇者が見目麗しいソニアを新しい聖女として迎え入れた。ソニアからの入れ知恵で、勇者パーティから『役立たず』と侮辱されて、ついに追放されてしまう。
パーティの人間関係に疲れたロザリーは、ソロ冒険者になることを決意。
攻撃魔法の魔道具を求めて魔道具屋に行ったら、店主から才能を認められる。
ロザリーの実力を知らず愚かにも追放した勇者一行は、これまで攻略できたはずの中級のダンジョンでさえ失敗を繰り返し、仲間割れし破滅へ向かっていく。
一方ロザリーは上級の魔物討伐に成功したり、大魔法使いさまと協力して王女を襲ってきた魔獣を倒したり、国の英雄と呼ばれる存在になっていく。
これは真の実力者であるロザリーが、ソロ冒険者としての地位を確立していきながら、残念ながら追いかけてきた魔法使いや女剣士を「虫が良すぎるわ!」と追っ払い、入り浸っている魔道具屋の店主が実は憧れの大魔法使いさまだが、どうしても本人が気づかない話。
※11話以降から勇者パーティの没落シーンがあります。
※40話に鬱展開あり。苦手な方は読み飛ばし推奨します。
※表紙はAIイラストを使用。
幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない
しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる