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死んだわ
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ちょっと早くなったけど計画通りだわ。
それにしてもカール様はやっぱりアホだわ。扱いやすいというかオモウツボというか、カール様が国王になったら確実にこの国はヤバいな。
私は姿を消した。
キシロカイン公爵家で毒杯をあおって自死したことにすることになっている。
早く死なないと、王家に捕まって軟禁されて執務だけやらされる可能性もある。カール様が国王になるなら私は絶対必要だ。カール様は執務ができない。
国王も王妃も良い人なのだが、カール様に甘い。嫌がろうとも、能力がなかろうとも、諦めずに鍛えるべきだった。
今回の事も影から報告が来ているはずだが何も言わない。
まぁ、セフォチアム王国とやりあうつもりはないだろうから、カール様の抗議は止めるだろう。カール様はひとりで抗議文を送ることなどできないし、側近方もテオしかそんなことはできないがテオはやらない。
男爵令嬢がしっぽを出した。
ハイディに無実の罪を着せ、カール様の心を自分に向けようとしている。
カール様が売り言葉に買い言葉で私と婚約を解消したのは嬉しい誤算だろう。
「エル、死体の用意ができた。お前の血を垂らして魔法で同化させよう」
父が私の死体を用意してきた。
入手ルートは怖いので聞かないでおこう。
私は指を少し傷つけて死体に血を垂らし、呪文を唱える。
死体はみるみるうちに私に姿を変えた。
「お父様、カール様と男爵令嬢のことはどうするおつもりですか?」
「どうしようかね。このままほったらかしにしておくのも面白いかもしれんな」
父は悪い顔をして口角を上げる。
「そうね。あの男爵令嬢を妃にして王家が滅ぶのを高みの見物するのも楽しいわね」
お母様、怖いです。
「男爵令嬢には影を付けていてすべての行動を私が作った魔道具で映像として記録しています」
弟よ、君も怖い。
「姉上、あとは具体的に男爵令嬢が手を下す場面がほしいので、ハイディとしてもう少し遊んでもらえますか?」
遊んでって……。
私はハイディとしてもうしばらく学園に行くことななった。
とりあえずは私の葬儀だ。
王家にエルフリーデが毒杯で自死したと知らせた。
棺には私の偽物が横たわっている。自分の死に姿を見るなんて変な気分だ。
国王夫妻がやってきた。
「何故こんなに早く自死してしまったんだ。まだカールの心が変わるかもしれないのに」
項垂れてる陛下に嘘泣きをしている母が話しかける。
「エルはもう疲れたのだと思います。3歳からお仕えしてきたのに、自分より昨日今日出会った男爵令嬢の方を信用するカール様に絶望したと言っていました。カール様の希望をなんとか叶えてあげたいが、男爵令嬢を正妃にして公爵令嬢である自分が側妃になるなど難しい。どうすればいいか悩んでいました。エルはいつもカール様のことを考えていたのに、カール様はそんなエルを蔑ろにしたのです。無念で口惜しかったでしょう」
お母様、女優か? よくそんな台詞が流れるように出るな。我がキシロカイン公爵家はみんな黒いわ。怖い怖い。
「陛下、今日この時を持って我がキシロカイン公爵家はカールハインツ殿下の支持派から下させていただきます。うちが外れても後継は殿下しかいないのだから問題はないでしょう。魔法省大臣、筆頭魔導士の職も辞します。これからはただのキシロカイン公爵として外から見させてもらいます」
あ~、ラスボス降臨だわ。お父様怖い。
国王陛下は顔色が青を通り越して白になっている。
王妃様は膝から崩れ落ち号泣している。
筆頭公爵家が手を引いたら、それに賛同する家門も出るだろう。
実質国を動かしているのは国王ではなく宰相や父やその他の公爵家だ。
「葬儀の準備がありますのでお引き取り願えますか? 王家の影の方々もお引き取り下さい。もうあなた方に守ってもらうエルはおりません」
うわ~、お父様怖い~。
「わかった、また葬儀には参列させてもらうよ」
「陛下はお忙しい御身、ただの公爵令嬢の葬儀になど御心配り下さらずとも結構です」
父はピシャリと言った。
国王陛下は固まってている。
子供がアホだったばっかりに側近の信頼を失った。
そして決して補填することのできない未来の王妃(私だけど)を失った。
「いやぁ~、旦那様は恐ろしいですね」
壁から出て来た影達が苦笑いしている。
長年、私についていた王家の影はもう随分前から王家に忠誠など誓っていない。
国の暗部を取り仕切っているミカルディス公爵家はとっくに王家を見限っている。
私が王妃になるならとなんとか表立って行動を起こしていないだけだ。私が死んだ(ほんとは生きてるけど)今はもう王家にはしたがわないだろう。
だいたい、国王陛下はミカルディス家に丸投げで私についている影の顔も名前も知らない。
国王陛下は水面下で4大公爵家が王家に不信感を持っていたことすら知らないだろう。私は王家にとっと最後の希望だったはずなのに。
しっかりしていると思っていたがアホの子の親はやはりアホなのだろうか?
私はこれからの生活の打ち合わせのために移動魔法でゾニサミド国に飛んだ。
それにしてもカール様はやっぱりアホだわ。扱いやすいというかオモウツボというか、カール様が国王になったら確実にこの国はヤバいな。
私は姿を消した。
キシロカイン公爵家で毒杯をあおって自死したことにすることになっている。
早く死なないと、王家に捕まって軟禁されて執務だけやらされる可能性もある。カール様が国王になるなら私は絶対必要だ。カール様は執務ができない。
国王も王妃も良い人なのだが、カール様に甘い。嫌がろうとも、能力がなかろうとも、諦めずに鍛えるべきだった。
今回の事も影から報告が来ているはずだが何も言わない。
まぁ、セフォチアム王国とやりあうつもりはないだろうから、カール様の抗議は止めるだろう。カール様はひとりで抗議文を送ることなどできないし、側近方もテオしかそんなことはできないがテオはやらない。
男爵令嬢がしっぽを出した。
ハイディに無実の罪を着せ、カール様の心を自分に向けようとしている。
カール様が売り言葉に買い言葉で私と婚約を解消したのは嬉しい誤算だろう。
「エル、死体の用意ができた。お前の血を垂らして魔法で同化させよう」
父が私の死体を用意してきた。
入手ルートは怖いので聞かないでおこう。
私は指を少し傷つけて死体に血を垂らし、呪文を唱える。
死体はみるみるうちに私に姿を変えた。
「お父様、カール様と男爵令嬢のことはどうするおつもりですか?」
「どうしようかね。このままほったらかしにしておくのも面白いかもしれんな」
父は悪い顔をして口角を上げる。
「そうね。あの男爵令嬢を妃にして王家が滅ぶのを高みの見物するのも楽しいわね」
お母様、怖いです。
「男爵令嬢には影を付けていてすべての行動を私が作った魔道具で映像として記録しています」
弟よ、君も怖い。
「姉上、あとは具体的に男爵令嬢が手を下す場面がほしいので、ハイディとしてもう少し遊んでもらえますか?」
遊んでって……。
私はハイディとしてもうしばらく学園に行くことななった。
とりあえずは私の葬儀だ。
王家にエルフリーデが毒杯で自死したと知らせた。
棺には私の偽物が横たわっている。自分の死に姿を見るなんて変な気分だ。
国王夫妻がやってきた。
「何故こんなに早く自死してしまったんだ。まだカールの心が変わるかもしれないのに」
項垂れてる陛下に嘘泣きをしている母が話しかける。
「エルはもう疲れたのだと思います。3歳からお仕えしてきたのに、自分より昨日今日出会った男爵令嬢の方を信用するカール様に絶望したと言っていました。カール様の希望をなんとか叶えてあげたいが、男爵令嬢を正妃にして公爵令嬢である自分が側妃になるなど難しい。どうすればいいか悩んでいました。エルはいつもカール様のことを考えていたのに、カール様はそんなエルを蔑ろにしたのです。無念で口惜しかったでしょう」
お母様、女優か? よくそんな台詞が流れるように出るな。我がキシロカイン公爵家はみんな黒いわ。怖い怖い。
「陛下、今日この時を持って我がキシロカイン公爵家はカールハインツ殿下の支持派から下させていただきます。うちが外れても後継は殿下しかいないのだから問題はないでしょう。魔法省大臣、筆頭魔導士の職も辞します。これからはただのキシロカイン公爵として外から見させてもらいます」
あ~、ラスボス降臨だわ。お父様怖い。
国王陛下は顔色が青を通り越して白になっている。
王妃様は膝から崩れ落ち号泣している。
筆頭公爵家が手を引いたら、それに賛同する家門も出るだろう。
実質国を動かしているのは国王ではなく宰相や父やその他の公爵家だ。
「葬儀の準備がありますのでお引き取り願えますか? 王家の影の方々もお引き取り下さい。もうあなた方に守ってもらうエルはおりません」
うわ~、お父様怖い~。
「わかった、また葬儀には参列させてもらうよ」
「陛下はお忙しい御身、ただの公爵令嬢の葬儀になど御心配り下さらずとも結構です」
父はピシャリと言った。
国王陛下は固まってている。
子供がアホだったばっかりに側近の信頼を失った。
そして決して補填することのできない未来の王妃(私だけど)を失った。
「いやぁ~、旦那様は恐ろしいですね」
壁から出て来た影達が苦笑いしている。
長年、私についていた王家の影はもう随分前から王家に忠誠など誓っていない。
国の暗部を取り仕切っているミカルディス公爵家はとっくに王家を見限っている。
私が王妃になるならとなんとか表立って行動を起こしていないだけだ。私が死んだ(ほんとは生きてるけど)今はもう王家にはしたがわないだろう。
だいたい、国王陛下はミカルディス家に丸投げで私についている影の顔も名前も知らない。
国王陛下は水面下で4大公爵家が王家に不信感を持っていたことすら知らないだろう。私は王家にとっと最後の希望だったはずなのに。
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