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俺の番(ディートヘルム視点)
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王太子から縁談を持ちかけられた時、正直うっとおしいと思った。
よくよく話を聞いてみると、相手はラメルテオン王国の王太子妃で、王太子が浮気をし、その女と結婚したいがために婚約者と婚約を解消しようとしているらしい。
婚約者は婚約解消は嬉しいが長い間王家で教育を受けてきたので、解消すれば、秘密を知る婚約者はきっと殺されるか、一生幽閉され飼い殺される。なので死んだことにして、このゾニサミド王国に逃げてくるのだという。
婚約者は魔力が強く、どんな属性の魔法も使える、武術にも優れ、頭もいいし、美人らしい。
「別に本当に結婚しろと言っている訳ではない。追手が来た時に獣人と結婚しているとなるとそう簡単には連れて帰れないだろう。ローゼの従姉妹なんだよ。頼むディート、お前しかいないんだ」
確かにこの国で俺くらいの年で独身は俺だけだ。
しかし、ラメルテオン王国みたいな国の王太子妃候補が辺境の地などに来て大丈夫なのか? 魔獣がうようよしているし、いつスタンピードが起きるかわからない。
「とにかく頼む」
押し付けられた。
初めて会った瞬間わかった。
番だ。俺の番だ。
番にあった奴らがみんな同じ言葉を口を揃えて言う。
まさにそれだ。
俺は全身の血が沸騰しているような気がした。
「初めてお目にかかる。ディートヘルム・ドルナーだ。熊の獣人だ」
俺がそう言うと、小柄で細く、顔の小さな美しい女は俺の顔を真っ直ぐに見た。
「エレオノーラ・ニコランジルです。本名はエルフリーデ・キシロカインと申します」
「詳しい話は殿下から聞いている。強いらしいな」
俺はドキドキして、そう言うのが精一杯だった。
こんなドストライクの女初めて見た。そりゃ、番なんだからそう言うことか。
婚約者は柔らかく微笑んだ。
「確かに強いですが、ドルナー卿には勝てる気はしません」
「デカいからか?」
「はい」
「デカいだけだ。お前は小さくて華奢だな」
「ありがとうございます。嬉しいです。小さくて華奢だと一度言われてみたかったので今最高に良い気分です」
こんなに小さくて華奢なのに、しかも女神より美人だ。
あぁ、抱きしめたい。
あんなことやこんなことしたい。
ひとりで妄想をふくらませていると、エアハルトの声がした。
なんで俺の番と仲良さそうに話をしているんだ?
お前にはリサがいるだろう。
リサは怖いぞ。
エアハルトはヘラヘラ笑いながら俺の顔を見てウインクする。気持ち悪いやつだ。
「せっかくの顔合わせに邪魔してすまない。バディの婚約者を見にきたらエルだったからびっくりしたよ。エルもラメルテオンを見限ったんだな。正解だぜ。ディートは熊だけどいい奴だ。大女のエルも小柄に見えるしな。結婚しちゃえよ」
大女?
どこがだ。
こんなに小柄で華奢なのに。
結婚するに決まっているだろう。
やっと会えた番を離すわけないだろう。
番だからじゃないな。俺はひとめ惚れだった。
ラメルテオンの王太子、ありがとよ。
お前がバカでよかったよ。
その男爵令嬢とやらと幸せになってくれ。
あとになって逃がした魚は大きいと後悔しても遅い。
エルはもう俺のものだ。
お前なんかにゃ渡さない。
エルを幸せにするのはこの俺だ。誰にも渡さん!
よくよく話を聞いてみると、相手はラメルテオン王国の王太子妃で、王太子が浮気をし、その女と結婚したいがために婚約者と婚約を解消しようとしているらしい。
婚約者は婚約解消は嬉しいが長い間王家で教育を受けてきたので、解消すれば、秘密を知る婚約者はきっと殺されるか、一生幽閉され飼い殺される。なので死んだことにして、このゾニサミド王国に逃げてくるのだという。
婚約者は魔力が強く、どんな属性の魔法も使える、武術にも優れ、頭もいいし、美人らしい。
「別に本当に結婚しろと言っている訳ではない。追手が来た時に獣人と結婚しているとなるとそう簡単には連れて帰れないだろう。ローゼの従姉妹なんだよ。頼むディート、お前しかいないんだ」
確かにこの国で俺くらいの年で独身は俺だけだ。
しかし、ラメルテオン王国みたいな国の王太子妃候補が辺境の地などに来て大丈夫なのか? 魔獣がうようよしているし、いつスタンピードが起きるかわからない。
「とにかく頼む」
押し付けられた。
初めて会った瞬間わかった。
番だ。俺の番だ。
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まさにそれだ。
俺は全身の血が沸騰しているような気がした。
「初めてお目にかかる。ディートヘルム・ドルナーだ。熊の獣人だ」
俺がそう言うと、小柄で細く、顔の小さな美しい女は俺の顔を真っ直ぐに見た。
「エレオノーラ・ニコランジルです。本名はエルフリーデ・キシロカインと申します」
「詳しい話は殿下から聞いている。強いらしいな」
俺はドキドキして、そう言うのが精一杯だった。
こんなドストライクの女初めて見た。そりゃ、番なんだからそう言うことか。
婚約者は柔らかく微笑んだ。
「確かに強いですが、ドルナー卿には勝てる気はしません」
「デカいからか?」
「はい」
「デカいだけだ。お前は小さくて華奢だな」
「ありがとうございます。嬉しいです。小さくて華奢だと一度言われてみたかったので今最高に良い気分です」
こんなに小さくて華奢なのに、しかも女神より美人だ。
あぁ、抱きしめたい。
あんなことやこんなことしたい。
ひとりで妄想をふくらませていると、エアハルトの声がした。
なんで俺の番と仲良さそうに話をしているんだ?
お前にはリサがいるだろう。
リサは怖いぞ。
エアハルトはヘラヘラ笑いながら俺の顔を見てウインクする。気持ち悪いやつだ。
「せっかくの顔合わせに邪魔してすまない。バディの婚約者を見にきたらエルだったからびっくりしたよ。エルもラメルテオンを見限ったんだな。正解だぜ。ディートは熊だけどいい奴だ。大女のエルも小柄に見えるしな。結婚しちゃえよ」
大女?
どこがだ。
こんなに小柄で華奢なのに。
結婚するに決まっているだろう。
やっと会えた番を離すわけないだろう。
番だからじゃないな。俺はひとめ惚れだった。
ラメルテオンの王太子、ありがとよ。
お前がバカでよかったよ。
その男爵令嬢とやらと幸せになってくれ。
あとになって逃がした魚は大きいと後悔しても遅い。
エルはもう俺のものだ。
お前なんかにゃ渡さない。
エルを幸せにするのはこの俺だ。誰にも渡さん!
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