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三章 二年生 特級魔法使い
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二年生になって、一年生のクラスは解散してしまった。各自好きな授業を受けているので、ずっと一緒だったリヴィアと会う機会はぐっと減る。リヴィアは貴族のスタンダードなカリキュラムを受けるので、私と授業が重なる事は少ない。オリバーは商学で、ローガンも貴族+外交学。そして私は魔術学である。完全にみんなの方向性は別れた。ちょっと寂しいけど、新しいお友達を作っていきたい。
「よう、スカーレット!」
講義のある教室に入って、教科書を眺めていると隣にアイリスが座って来る。
「アイリスも、魔術強化の授業受けるの?」
「おう、おれの必要な授業だからな」
魔力を使った彫物師を目指すアイリスは、芸術+魔術方面の授業をメインで取っているらしい。
「あら、スカーレットも一緒なんですね」
「ギネも一緒なんだね!」
なんと、夏休みメンバー三人が魔術強化の授業を取っていた。
「そういえばギネは将来、どういう方向性に進むの?」
「私の村は辺境なので、ちゃんと薬学や魔術学を収めている人が少ないんです。だから、魔術学の先生を目指しつつアイテム強化や薬学の調合を手広く行える人になれればと思っています」
つまり、ユーリス先生と同じ道を目指すらしい。
「ギネって先生って感じだもんね」
「そうでしょうか。嬉しいです」
彼女が顔を赤らめる。
「本当は教職を目指していたんだですが、女性は基本的にとってくださらないそうで……。けれど、まだ人手の少ない魔法学の先生なら女性でも取ってくださる可能性があるらしくて」
村で女性の先生を見なかったのは、そういう事か。
「だから薬学と魔法学と、錬金術をメインで授業を取っています」
「あ、私と殆ど一緒だね」
「では、授業でよく一緒になりますね。良かった、お友達がいて」
「うん!」
そうして、二年生一回目の授業は始まった。
魔法強化の授業は、主に自分自身の魔力の強化を行う方法を学ぶ。他者に強化を付加させるだけじゃなくて、薬品を使って強化したりもする。これ、言ってしまうとドーピングなので正しい知識を持って行わないと副作用が起きるらしい。なので、大事な授業である。特に私のように永続的な強化を薬品やアイテムから受けている身としては。
授業の後にリヴィアとラウンジで会った。
「授業どうだった?」
「…そうですわね。家庭教師に習っていた事のおさらいでしたわ」
リヴィアは語学の本を読んでいた。
「あれ、アブト語って二年の授業にあったっけ?」
「いえ、無いのですけど…少し興味があったのでローガンに借して貰ったんです」
ローガンは交易の勉強をしているので、語学の書籍を沢山持っているらしい。
「お勉強って面白いですわね。前はとても辛いだけでしたけど、今は学ぶ程に世界が広がって行くのを感じています」
スカーレットは私の知らない言葉の書かれた本を撫でる。
「スカーレットに会えてよかったですわ。あなたがいたから、私はお勉強が楽しいんだって思えた。私にもお勉強が出来るって自信が持てたの」
「……それはとっても嬉しいよ。けど、リヴィア自身がもっと成長したいと思っていたから、今のリヴィアがあるんだと私は思うよ」
お勉強出来る子が羨ましいなぁって素直に言って、そんな私とお友達になりたいと思ったリヴィアは凄い子なのだと思う。私だって人の事が羨ましいなと思う時があるけど、それを素直に相手に伝えてお友達になれるかと言われたら難しいと思う。だって、相手の能力に嫉妬しちゃうもの。
「ありがとうスカーレット」
今はね、少しだけリヴィアの素直さに嫉妬してる。でも、だから胸を張って言える。私のお友達はとっても、素敵なお友達だよ! って。
「私もありがとうリヴィア」
私は彼女に笑顔を見せた。
つづく
「よう、スカーレット!」
講義のある教室に入って、教科書を眺めていると隣にアイリスが座って来る。
「アイリスも、魔術強化の授業受けるの?」
「おう、おれの必要な授業だからな」
魔力を使った彫物師を目指すアイリスは、芸術+魔術方面の授業をメインで取っているらしい。
「あら、スカーレットも一緒なんですね」
「ギネも一緒なんだね!」
なんと、夏休みメンバー三人が魔術強化の授業を取っていた。
「そういえばギネは将来、どういう方向性に進むの?」
「私の村は辺境なので、ちゃんと薬学や魔術学を収めている人が少ないんです。だから、魔術学の先生を目指しつつアイテム強化や薬学の調合を手広く行える人になれればと思っています」
つまり、ユーリス先生と同じ道を目指すらしい。
「ギネって先生って感じだもんね」
「そうでしょうか。嬉しいです」
彼女が顔を赤らめる。
「本当は教職を目指していたんだですが、女性は基本的にとってくださらないそうで……。けれど、まだ人手の少ない魔法学の先生なら女性でも取ってくださる可能性があるらしくて」
村で女性の先生を見なかったのは、そういう事か。
「だから薬学と魔法学と、錬金術をメインで授業を取っています」
「あ、私と殆ど一緒だね」
「では、授業でよく一緒になりますね。良かった、お友達がいて」
「うん!」
そうして、二年生一回目の授業は始まった。
魔法強化の授業は、主に自分自身の魔力の強化を行う方法を学ぶ。他者に強化を付加させるだけじゃなくて、薬品を使って強化したりもする。これ、言ってしまうとドーピングなので正しい知識を持って行わないと副作用が起きるらしい。なので、大事な授業である。特に私のように永続的な強化を薬品やアイテムから受けている身としては。
授業の後にリヴィアとラウンジで会った。
「授業どうだった?」
「…そうですわね。家庭教師に習っていた事のおさらいでしたわ」
リヴィアは語学の本を読んでいた。
「あれ、アブト語って二年の授業にあったっけ?」
「いえ、無いのですけど…少し興味があったのでローガンに借して貰ったんです」
ローガンは交易の勉強をしているので、語学の書籍を沢山持っているらしい。
「お勉強って面白いですわね。前はとても辛いだけでしたけど、今は学ぶ程に世界が広がって行くのを感じています」
スカーレットは私の知らない言葉の書かれた本を撫でる。
「スカーレットに会えてよかったですわ。あなたがいたから、私はお勉強が楽しいんだって思えた。私にもお勉強が出来るって自信が持てたの」
「……それはとっても嬉しいよ。けど、リヴィア自身がもっと成長したいと思っていたから、今のリヴィアがあるんだと私は思うよ」
お勉強出来る子が羨ましいなぁって素直に言って、そんな私とお友達になりたいと思ったリヴィアは凄い子なのだと思う。私だって人の事が羨ましいなと思う時があるけど、それを素直に相手に伝えてお友達になれるかと言われたら難しいと思う。だって、相手の能力に嫉妬しちゃうもの。
「ありがとうスカーレット」
今はね、少しだけリヴィアの素直さに嫉妬してる。でも、だから胸を張って言える。私のお友達はとっても、素敵なお友達だよ! って。
「私もありがとうリヴィア」
私は彼女に笑顔を見せた。
つづく
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