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episode 3 瑠璃と琴音とお兄ちゃん
しおりを挟む心地よい風、沈んでいく夕陽が辺りの空をオレンジ色に染めていた。
私はことりんの家に泊まりいく事が決まり家に帰り支度をしていました。
正直な所、ことりんが私の泊まりを許してくれるとはちょっと以外だった。
まぁ、本当ならお兄ちゃんと二人で居たいっていう、ことりんの気持ちはわかるんだけどねぇ……あはは。
私は一人っ子なのもあって、お兄ちゃんとかお姉ちゃんとか兄弟がいる人はいいな~羨ましいな~って思ってた。
ことりんからお兄ちゃんの話しを聞いてるうちにそれがどんどん私の中で大きくなってしまっていた。
ーー私もお兄ちゃんがほしい
ことりんのお兄ちゃんってどんな感じなんだろ? まっ、今日行ってみたらわかるよねきっと。
私は鞄に着替えとタオル、歯ブラシと漫画の本などを詰め込みリビングの扉を開けるとそこには誰かと電話で言い争っている母の姿があった。
「その件は先日お話ししたはずです!!」
「……」
「わかりました、これからそちらに伺いますので」
電話を切ると私に気が付いたのか近寄ってきた。
「ごめんね、瑠璃、ちょっと会社から呼び出しかかっちゃったから、行ってくるわね」
「……はい。今日ことりんの家に泊まり行ってくるから」
「そう。わかったわ、気おつけて行ってくるのよ」
「……はい」
そういうと母は家を出ていった。
私はしばらくその場に立ち尽くしていた。リビングにある時計の針の音だけが静まりかえったこの部屋に響き渡っている。
ーー私はそっとその場を去り家を出た。
私はことりんの家に着くとリビングへ案内され早速お兄ちゃんを紹介されました。
それはもう、ことりんは終始笑顔で、女の私から見ても本当に可愛くて、私なんかとは比べ物にならないくらい。
ことりんのお兄ちゃんも、見た目は優しそうな感じで、ちょっぴりいいなって思っちゃったのはことりんには内緒です……
私とことりんは夕食の支度をしながらキッチンで話していました。
今日の夕食は、ハンバーグみたいです!
「うわぁ、ことりん料理上手いんだね~」
「そうかなぁ? お兄ちゃん不器用だから料理できないしね……それで私が色々作るようになって、気が付いたら色々作れるようになったんだ」
ことりんは、えへへ と笑いながら黙々と材料をコネコネしていました。
ことりんのお兄ちゃんは幸せ者だなぁ、毎日食事作ってもらえるんだもん。
「私、盛り付けくらいしかできないや……あはは」
「ほぇ? 全然気にしないでいいよ~瑠璃ちゃんは大事なお客さんなんだし!」
はぁ……やっぱり私も少しは料理できるようにことりんに弟子入りしようかな……トホホ。
それにしてもハンバーグかぁ! 久しぶりに手作りの食べる気がする。
ーーあれ? 久しぶりに……?
私の思考は一瞬そこで止まってしまった。
「おろ? 瑠璃ちゃん? どうかしたの?」
ことりんが心配そうな顔で私を見ている。
「へっ? あ、ああ、気にしないで、なんでもないから!」
私は食器にレタスとミニトマトなどを盛り付けるとことりんが驚いた声を出した。
「ああああ!!」
「うわぁ?! どうしたのことりん?!」
私もつられてびっくりした声を上げてしまった。私がことりんに近寄るとことりんは言いました。
「ソ……」
え? ソってなんだろう……
ーーソースなかった……
あはは…… まさかそっち系だとは全く思っておらず、ことりんの不意を突かれた天然ぶりに思わずコケそうになってしまったのは他でもなかった。
「ど、どうしよう瑠璃ちゃん」
「わ、私さ何もしてないし、今急いで買ってくるから」
「ごめんね~瑠璃ちゃん……」
「いいっていいって」
私はリビングを出るとことりんのお兄ちゃんと間近で鉢合わせしてしまった。
「ひゃあ?!」
「うわぁ?!」
あまりの突然の出来事に私はドキドキが止まらなくそのまま急いで家を飛び出してしまいました。
はぁ……はぁ…… あんな間近で鉢合わせするとは想像してなかった……少しの間見惚れちゃったよ、もぅー……
私は近くのコンビニに急いで走って買いにいくと段々と雲行きが怪しくなってきた。
ええ?! なんでこんな時に……私はコンビニに着くと急いで買い物を済ませ外に出ると……
ーーどしゃ降りの雨だった。
う、嘘だー…… 傘なんて持ってきてるはずもなく、仕方なく少しコンビニの前で雨宿りしていると向こうから歩いてきた人が ほらよ と私に傘を差し出してきた。
私は一瞬その人を見て驚いてしまった。
ーーそれはことりんのお兄ちゃんだった。
「え……? なん……で」
「お前、傘持ってかなかったろ、風邪引いたら大変だしな」
な、なんなのこのありえない展開はー! 普通はことりんが来るところでしょ?!
ーーこんなことされたら私……
私はことりんのお兄ちゃんと一緒に家に向かっていた。
私の中でことりんに申し訳ない気持ちとちょっぴり嬉しい気持ちが重なっていてすごい変な気分でした。
「……優しいんですね」
私は気がつくとそんな事を口走ってしまっていた。
「はー? あははは、優しいとか言われたの久しぶりかもしれないな」
私は思った。
貴方が思ってなくてもことりんは優しいお兄ちゃんだときっと思ってるからーーと。
「あのっ」
「ん?」
私はことりんのお兄ちゃんの前でくるっと振り返りニコっと振り返り言った。
ーーまた遊びに来てもいいですか……?
私は家に着くと案の定ことりんが御立腹だった。
「むぅー 、遅いよ瑠璃ちゃん~」
「ごめん!ことりん!」
ことりんは笑って許してくれた。その後私はことりんとことりんのお兄ちゃんと3人で美味しくご飯を食べていました。
でも私が見つめていた先にはことりんのお兄ちゃんの姿がありました。
ことりん……あんたが好きになるの分かる気がするよ。今日は呼んでくれてありがとね。
そして、ありがとう。
ーーお兄ちゃん
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