異世界料理人

彩夏

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俺対ニンニクの壮絶な戦い

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俺がダンジョンに入ってもう一週間が経とうとしている。

ウサギネズミに追いかけられた事以外で、命の危険を感じることは一応ない。

まあ、強いて言うなら、意味深な鮑と放送コードのしめじを一緒に調理しようとしたときに偶然通りかかったイノぽんに斬りかかられたことぐらいだろうか。

(言っておくが、わざとではない!)

まあ、なんだかんだ言っても俺は休憩所にいるか、レイド(六人のパーティーを六つ作ってボス部屋を攻略する方法)の時に部屋の前で飯を作るくらいだから安全で当たり前なのだが。

(てゆか、非戦闘員なんだから安全でないと困る!)

一応俺もダンジョンに入ると決めた時にサブジョブを盗賊にして戦闘スキルは多少はあるが、まだ駆け出し冒険者のイノぽんや、俺の護衛(すっげぇ大層に聞こえるがそれは聞き間違えだ)の体の大きいディフェンダーのゴリオと、天然可愛い魔女と言う完璧な基本属性のフィナには負ける。

(おー、なんだフィナってまともな名前じゃんと思った皆さん、それは間違えです。はい。
フィナの本名はフィルナットクルークアルトラルフェラルナ・カイザーオベイロンと言う、?マークを量産させる名前なのだ。………カイザーオベイロンってなんか格好いいよね)

そんな事はさておき、今俺たちは目の前のある食材に苦戦している。

臭いニンニクの調理だ。

臭いニンニクはその名の通り、いや、それを遥かに上回るレベルの臭いを発揮する控えめに言って嗅覚死滅機だ。

こいつの臭いをまともに嗅ぐと、二度と臭いを嗅ぐことができなくなる恐ろしい代物だ。 

鼻栓をしている俺たちでさえも顔があらぬかたちに歪んでいる。
調理法はこうだ、真っ二つに切ること。

簡単のようで地獄のようなこの行いは、あの伝説の勇者クリスくんでもできなかったほどだ。

(……俺がためで読んでるんじゃないくて、勇者のクリスくんが自分で魔王を倒した時に、
「僕の名前はクリスくん!みんな!よろしくね♥」
なんて言ったもんだからそう言ってるだけだ。ほんと、この世界の人みんな頭おかしいな)

今現在、この世界で臭いニンニクを調理できるのはこのニンニクを調理するためだけに嗅覚を捨てた男、バッカーナ・ジジイと、臭いを断ち切ると言う離れ業をやってのける、ムッダという坊さんしかいない。

真っ二つにさえ切れれば臭いはおさまり、泣くほどとは行かないもののメチャクチャうまい飯が作れるのだ。

俺はまな板の上に乗る悪魔を睨みながら、何度も自分に言い聞かせた。

(お前ならできる!なんのために料理スキルをカンストさせたか忘れたか!うまい飯を作るためだろ!もうすぐ疲れて帰ってくる冒険者たちのためにもあの悪魔を、あのニンニクを斬る!)

覚悟が決まり、包丁を持つ手に力が入る。一歩、また一歩とまな板に向かって進むと共に悪魔から台風のような風が吹き荒れるような感覚が俺を襲う。

「くっ………鼻が潰れそうだ!」

鼻栓をしていながらも悪魔が放つヘルスメルは容赦なく俺の鼻を貫く。

まな板から約一メートル………!手を伸ばせば包丁が届く距離まできた。あと一メートル、されど一メートル。臭いに手が震える。

チャンスは一回!俺の意識を保っていられる限界だ!

包丁を振り上げ、震える手でニンニクに照準を合わせる。

ふと後ろを振り返るとヘルスメルに負けずに三人はなんとか俺に声援を送っていた。

「頑張ってください!おっさんー!」 

「頑張ってーおっさんー!」

「いっけぇー!おっさんー!」

その声援が俺の覚悟を更に固くした。

震えていた手は自然とおさまり、包丁を降り下ろした。 

「これで終わりだー!!」

スタンという音が響くと、台風のような風とヘルスメルはおさまった。

「終わったの、か………」

俺はその場に倒れた。

◆◆◆◆

それから十分ほどたち、意識の回復した俺はやっとの想いで調理を開始した。

今回用意する食材はこちら!ダダン!

材料 (40人分)

ソードイノシシのひき肉 合挽きでもOK! 2000グラム

どっかの小説で見たことのある飛ぶキャベツ 2000グラム

雑草というなのニラ1400グラム

自家製醤油 小さじ20

異世界産酒 小さじ20

ただの砂糖 小さじ10

自家製ごま油 大さじ20

鶏ガラスープの素の代わりに虹鳥の糞 小さじ20

女神の唾液 1000cc

塩と弾丸コショウ 適量

自家製サラダ油 大さじ20

餃子の皮 剛力粉 2000グラム

餃子の皮 女神の涙と汗(塩) 小さじ6

餃子の皮 女神の唾液のお湯 約100cc

臭いニンニク適量

作り方
1
剛力粉2000グラム、塩小さじ6にお湯を1000ccぐらい入れてヘラで混ぜる。ポロポロになったら手で1つにまとめる。

2
しっかりこねる。約5分滑らかになるまでこね綿棒状に伸ばしラップ(何故かこの世界にもビニール類はある)に包んで冷蔵庫の代わりの何処でも氷山に15分寝かせる。

(ドラえもんでも出てこねぇぞこんなん。だって何処でもとか言ってる割りにはただの氷山の一角だぜ?側にいるだけで凍えちまうよ)

3
キャベツはまず羽を引きちぎってから、みじん切りにして、女神の涙と汗を振り手で揉み唾液にさらしてしっかりとふきんで水気を絞る。雑草は細かく切る。

4
キャベツ、雑草、ひき肉、臭いニンニク、虹鳥の糞を用意する。

(……糞を用意するてなんか格好よくない?)

5
ひき肉に酒小さじ29、醤油小さじ20、砂糖小さじ10を入れて混ぜる。水に虹鳥の糞を小さじ20を入れたスープをいれ更に混ぜる

6
雑草とキャベツ、ニンニクを入れて混ぜ、ごま油大さじ20を入れて塩と弾丸コショウを入れてして混ぜる。これまた何処でも氷山で15分程寝かせて味を馴染ませる。

7
10グラムずつに切り分ける。12グラムだと少し大きめに出来る。打ち粉は剛力粉、弱力粉、固栗粉、あるものでok,

8
手で押して丸く潰し、綿棒の代わりに使う、小鬼のこん棒で薄く伸ばす。打ち粉多めの方が作りやすい。260枚分出来る。

9
綿棒を下から真ん中に転がしながら、皮生地を反時計回りに回す。出来るだけ薄めに伸ばす。

10
皮に餃子の餡をのせる。周りに少し唾液を付けるとたたみやすい。

11
皮に餃子の餡を包む。右端から皮をつまむ様にする。多少崩れてもしっかり包めば大丈夫。

12
超巨大フライパンにサラダ油大さじ20を入れて全体になじませ餃子を乗せる。横同士ひっつかない様に少し隙間開けると食べやすい。

13
水3000ccを入れて強火で5分蓋をして焼く。中火強で様子見てもいい。火加減は水分がなくなる寸前まで蒸し焼きする。

14
水分が無くなったら蓋を取りごま油を上からまわしかける。中火弱にして3分焼く。フライパンを強めに揺すって離れるくらい。

15
大きめのお皿をフライパンにかぶせながらフライパンを逆さにして餃子を皿に移す。出来上がり。


今回のギョーザは絶対にうまい!が、俺たちの体から放たれるヘルスメルは三日間は取れず、ギルドメンバーから避けられること間違いなし!キラーン!
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