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承章
承章 第三部 第三節
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「うーん」
エニイージーは悩んでいた。
「うーーーーーーーーん」
エニイージーは、ひたすら悩んでいた。
しかも、悩んでいただけではない。胡坐をかいて床に座り込んでいたし、目の前に取り出した珍奇な破片の塊をピンポイントにロック・オンし続けてもいたし、とか言いながらもバンダナを結い込んだ髻がうろうろする思考回路に合わせたようにぷらぷらするのを目で追ったりしながら、試行錯誤しつくした手を腕組みにしてもいた。
「どーなってんだよコレ。こんなカクカクしたきれっぱしの山が、なんであんなキューブになってたんだ? 俺だって、ぶきっちょな方じゃないのになあ」
への字の口を衝いて、つい自問が続く。それを咎める者どころか、聞く者もいないとくれば、懊悩はひたすら加速したが、図書庫には自分しかいないため相談も出来ない。そもそもは、自分の寝所にでもこのパズルを置きに行こうかと向かった途中で、ここなら手がかりがあるかもと立ち寄っただけだったのだが。ついつい長っ尻になるまま居座って小一時間。まあ悩み続けているので、かくいう実感も浅い。
ここは、図書庫と通称されている部屋だが、安置してあるのは書物だけに限らない。壁沿いに設けられた棚には、楽器や算盤、舶来遊戯盤から物差しに至るまで、しっちゃかめっちゃかに詰め込んである。なんの遺物なのか、落書きされたマネキンまであった。なんとはなしに、見たこともないジンジルデッデという先代翁の人柄が感じ取れる空気感である……さて楽しめるものとは何マス先にてかち合うものやらと、やにわの楽しみにときめいて賽を振るような。
その、びっくり箱じみた空間の真ん中で、エニイージーは頭を抱えているのだった。
「て言うか俺、落っこちる直前にチラ見できただけで、そもそもの完成形を知らねえじゃん。真っ白なジグソーパズルみたいなもんにしても、これ立体だし。無理。ぜってー無理」
小ぢんまりと床に置かれた物体は、型崩れした不格好な己が不服だから黙り込んでいますとでも言いたげに、雪崩れたままぽつんとしている。十数個あるひとつひとつのピースは、グーにし損ねた親指から小指までを毟って並べたような、あるいは規則的な木っ端微塵とでも形容したらいいのか、むしろ前衛的な建築を成す部品だとしたら収まりがつくのが―――とにかく変な組み木細工のようでもある。これが最終的にひとつに合体するなど、到底思えない。
にっちもさっちもいかず上を見上げると、ちらちらと埃が舞っていた。のんびりとした午後の光明を受けて、たどたどしい光り方をしている。
(綺麗だなあ。外仕事ばっかしてっと、こんなの見ないもんな。ここにこんなに入り浸るのも、見極め一羽の時以来か)
ふと見入って、頭上へと手を伸ばしてみる。四重揚羽という蝶々を使った奇妙な試験を思い出して、記憶の中の鱗粉に触れるように。
まるで、その手に託宣を授けるかのようなタイミングで―――物静かに、その声は振り落ちてきた。
「ああ、ここで見つけた……のかな? 自信ないけど。エニイージー?」
「え? ゼラさん。え?」
「よかった。ここにいましたか」
真後ろから、前触れなく現れたその人に、ぎょっとして腕を引っ込める。
確かにゼラだった。ただし―――先程よりも、目に見えてくたびれた様子ではある。エニイージーを探し回った挙句、たまたま独り言を聞きつけて発見できたのだろう。出入り口には扉も設置されていないので、物音でさえ出入り自由なのである。
なんの変哲もない一人分のスペースの床は、ひとりで陣取っている分には不満は無かったものの、二人目に闖入されては他にどうしようもなく手狭になった。ただでさえ周り中からしてごちゃごちゃした圧迫感が聳え立っているのを、それでも押しのけるようにしてエニイージーが身体をずらしたところに、するりとゼラが割り込んでくる。猫のように……エニイージーの背中側から右肩に、左手を添えて除かすようにしたはずみで、ふさ、と黒髪の束がこちらの肩口にかかった。おんぶをせがみ損ねた幼児のような姿勢だが。それこそ、じゃれてきた猫にも、これまたある動作だと言えた。
「ゼラさん。なにを―――?」
そしてその人が、右手で無造作にブロック片を掴んだ。掴んだなりに、くるりと指を振る。愛猫の喉でも撫でるように。それを、二回、三回、……
それはまさに瞬時のことで、手品でも見せつけられた気になるが。
そして、パズルは完成した。
「はい、お終い」
「えーーーーーー!?」
目を見開いて、絶叫する。がばっと、ゼラに向き直って、
「なんすか今の!? どんな秘訣ですか!? てぇか、なんでキューブになれたんですか、これ!?」
「これは、練成魔士のテストに使うものの模造品ですよ」
「テスト!?」
「感覚がひとつ多くないと、そうそう解けるものじゃないから。エニイージーでは半世紀かかっても解けないでしょう」
「マジすか!? じゃあ俺、半世紀かけて別のことやり遂げたいと思います!」
「是非ともそうしてください。生産的なことこの上ない」
なにやらこめかみを指先で押さえながら、忠言ついでにへたり込んだゼラが呼気を呻かせてくるが。
それのおかげで、そのパズルとやらの完成形を、しげしげと観察することが出来た。ゼラの片手に乗っかったそれは、凹と凸がもれなく組み合わさった、でこぼこのキューブだ。出っ張ったところだらけのメモ用紙留めのようにも見えたが、そもそも出っ張ったところだらけの時点で重石として役立たずではある。
どうやらゼラは、エニイージーの持ち逃げを疑ったのではなく、余計なことで悩ませまいとして、ここまでやってきてくれたようだ。素直にありがたいと思う一方で、
(なら、あの時に引き留めてくれたらよかったのに)
まあ、エニイージーから押し切るように持ち出してしまったから、時機を逸したのだろう。それか、もしかして万が一にでもこれをエニイージーが解けたなら、練成魔士として教育してみようという算段だったか。
(……イヤそりゃねーなあって途中で踏ん切りがついたから、こうして来てくれたんだろうな。俺を無駄に、もたもたさせることもないだろうって)
練成魔士。
その卓抜した能力の片鱗とは、このような雑技にすら表れるものらしい。間断なくやってきた驚愕をひとしきり消化し終えてから、しみじみと呟く。
「感覚がひとつ多い、かあ……練成魔士って、ずっげーんすね」
「こんなもの、半魚人の鰓呼吸と大差ありません」
「鰓呼吸!?」
「陸地と水場を行き来する際に、出来なければ死ぬこともあるから、やるだけのこと。そんなものの見返りに、水陸両用になれた程度のことが凄いとされるとしても、―――良いことなのか悪いことなのか、わたしには分からない」
「すいりくりょうりょ……?」
「どっちつかずなだけなのに」
へどもどと鸚鵡返ししているエニイージーに、ゼラは単簡とばかり言い捨て続ける。悪態をつくのでもないが、かと言って限度を認めることに不愉快そうでもない。
どうやら埒の無い話は、疲労に後押しされてのことらしく、鬱陶しげでもなかった。お茶を濁して立ち去ってしまえばいいのに、会話を途絶させるでもなく、そのまま付け足してくる。
「……いえ。半魚人よりも……そうですね。わたしたち、練成魔士・魔神・魔術の関係性は、折り紙に似ています」
「折り紙? 折り紙って……あれですよね、一枚紙を法則立てて折っていくと、色んな動物や物体になるってやつ」
「はい」
さっきよりも憔悴しているようでいて、物言いだけはどこか優雅に、遊女じみた言葉遊びが仔細に続く。
「まず、紙をそういうものとして認識できること。これが、わたしの言った、ひとつ多い感覚です」
「そういうもの?」
「はい。そして、言ってみれば、紙の性質が魔神の属性、紙の大きさと強度が魔神の爵位、紙を折るセンスと腕前が練成魔士の練度―――最終的に魔術でなにをどうしたいかで、魔神の属性の向き・不向きが決まってきますが、練度さえあればそれを上回ることが可能です」
「ええと……つまり?」
「薄い板金ならば火に強いけれど水に沈みやすいとか、長方形の布地なら変形させやすいけれど解けやすいとか、そういった関係にあるのが属性と爵位です。これを例えば、薄い板金を水に乗せたいとすると、最低でも箱か船の形に折り上げなければ水没してしまう―――これが、魔神と魔術の相性であり、折る腕前が必要とされる抜本となります」
「あ。ひらべったい面でしかなかったものを、にょっきりと立ち上がらせるんだから、そのものの材質だけじゃなくて足場も踏まえてどう立たせたいか考えておかないと、コテンって共倒れになってしまうってことですか」
「その通り。しかも、その逆もまた然り。紙を切りたいだけのシーンでチェーンソーを取り出した場合、使い手が制御を完璧に徹底しなければ、威力があり過ぎて失敗してしまいます」
「へー」
「しかも、積算への支配が不充分なところには、魔術の効果もまた不完全になることを念頭に置かなければなりません。最低でも声と視線を及ぼすことが可能な範囲でなければ、望んだ効果は得ることが出来ない場合が多いのです。なので、視認の困難な自分自身の後頭部や頸椎腰背部へ魔術を使用するのは、非常に難儀と言えます。自然治癒を待った方が無難なくらいに」
「声と目? 指で触るのとかじゃ駄目なんすか?」
「接触は、適度ではないという意味で、最も取り返しがつかない事態を招く公算が高いので、積極的に採用すべきではありません」
「え? じゃあ、こないだデコピンばしってやって鍵開けたのは?」
「あれは、わたしが与えた衝撃波を、声音や目線の代用にしたようなものです。接触ではありません」
「じゃあ練度があれば、デコピンで自己治療が出来るんじゃないんですか?」
「そこまで個人を熟達させるより、大勢で組織を成熟させる方が理に適っていますので、わたしたちは通常は最低でも二人一組で行動することを基本とした教育を受けます。お互いに負傷を癒したり、前攻後衛を分担して背中を預け合うことになる……それでも治癒は、自分以外には行わない方が無難ではありますが」
「じゃあ練度って、どういう差になって出てくるもんなんですか?」
「大きな紙を与えたところで乳飲み子ならばクシャクシャに投げ捨てることしかできませんが、卓越した者であればミリ単位四方の紙片でだって馬を作れる。そういう感じ」
「うま? 馬なんて紙で作れるんですか?」
「馬どころか、城も、龍も……天使にだって挑みました。そういうものだと思っていたから。あの頃は」
「てんし?」
「御使い。まったく、どこの誰からの使いだというのでしょう? ああオカしい」
おかしいと言ったのか、可笑しいと言ったのか。そのへんの抑揚の機微が壊れてしまっていて、聞き取れなかったが。
長い傾聴の末、突然エニイージーはそれを解釈した。
(そっか。練成魔士なら、……本来は、こんなとこなんか、いないはずだもんな。しかも今、最低でもふたりタッグで行動って言ってた。この人は、元々いたところから はぐれた旅烏なんだ。それらしく、俺らとは違った勝手で話すので当然なんだ)
確かに、フラゾアインとの混血は珍しい。珍しいが、それ以上に練成魔士が珍しいし、そもそも旗司誓という職域自体からして混血者が多い。そういった判断を持ち込むという意識が、すっこ抜けていた。
(っつーか、まずもって、フラゾアインってのがなぁ……黄昏満ちゆくその髪に、夜搾りゆくその瞳、肌の乳色げに あはれ、ああ災いだ、災いだ―――なんたらかんたら、だか何だか知らんけど。水の代わりに生き血と酒を飲むんだっけ? 言われるだけ胡散臭いよなぁ。ここまでくると)
噂をして影が差すのを忌避するのは分かるが、本体から見失ってしまうほどとなると、本末転倒だと感じてしまう。おそれてしまったら最後、枯れ木の節穴みっつでさえ怨霊にしてしまうのが人間というものなのだから、フラゾアインとてそうでないとは、どうしても考えられなかった。
(だって……ゼラさん。普通に、ここにいるしなー。寝起きして働いて、メシ食っては雑談して。生き血も飲んでねえと思うし。ここで、俺より前から、そうしてるってだけで)
なんの気なく、エニイージーは口を開いた。
「ゼラさん」
「はい」
「練成魔士なんすよね」
「そうですよ」
「なんで<彼に凝立する聖杯>に居るんですか?」
ふと、ゼラが奇妙な表情をした。あるまじきことだが……泣き所に触れられたとでも言うような。
あまりの折悪しさに、エニイージーは動転した。もとより前副頭領であり現部隊長第一席主席を相手にして、副座が気安く口を利けた筈もなかったのだが。本人がこだわる様子を見せないものだから、頭領と一緒くたにしてついつい軽軽しい振る舞いをしてしまっていた。あたふたと、謝り倒す。
「すんません! いえあの、深い意味は無いんですけど。なんかさっき、そんな話してたもんだから。すんません!」
「約束してしまったものですから。それを守ろうとして、果たすまでは、いるだけで」
「約束?」
「シザジアフとね」
さらりと打ち明けておいて、自分でも未練たらしさを持て余すように、心細いような忍び笑いを漏らす。
それを見ているのこそ忍びなく、ぼそぼそとエニイージーは話を逸らした。
「シザジアフさんて、どんな人だったんですか?」
「よりけり、ですね。語り口によって。さて君は、どんな話を聞きたいものやら。自慢話? 英雄譚? ちょっと意外にもナメクジが苦手なところ?」
「そうだったんすか!?」
「この茶の得体の知れない味と粘っこさとクサみは何じゃいなとポットの蓋を開けたところ、ぐらぐら釜茹でされてサナダムシのように膨れ上がった―――」
「いいっす! 俺も苦手になったっす! たった今から! なめくじゃー!」
あんぐりと口を開けていやいやと頭を振るのだが、ゼラは調子を変えず落ち込んでいく。最後は、もはや―――泣き言のように。
「わたしとしては、彼は同類でしかない。肉親同然だった者をかなぐり捨ててまで、のぞみを選んだ。彼はジルザキアを、わたしはティエゲを……もろとも全部、捨てた」
聞いて。
思わず―――へんてこな言い回しになりながらも―――エニイージーは大声を上げていた。
「俺は、親に捨てられましたことを、今はとんでもないくらい感謝しています!」
口ごたえではない。慰めでもない。純然たる本心だった。
盲点を突かれたといった顔つきでいるゼラに、畳み掛ける。
「だから頭領に拾われました! それだからここに来れました! 読み書きと金勘定が出来るようになって、働いた代わりに居場所にありつけて、―――笑って、笑い返して、それだけじゃないくらい、人らしくなれたって思うから! ありがとうございますって、あの親にだって言えます。今なら。きっと」
親。
旗司誓になってから、ずっと黙殺し続けてきた。手を引いて歩いてくれるような親ではなかったが……なによりも、もう自分の手は、旗幟を取っているのだから。そして、<彼に凝立する聖杯>にはザーニーイがいるのだから。親など、不要だと。
だとしてもこの手は、産んでくれた親から、五体満足に与えられたものだ。五本の指、五枚の爪、思い切り自由に動いて力を込めることが出来る健全たる掌。しかも、今では両利きである。旗司誓にとっての、かけがえない至宝だ。なればこそ―――
「だったら、そのジルザキアって人もティエゲって人も、そうかもしれないって……どうか分からないって、思うんです。俺は、頭領がここにいてくれたことに感謝しています。だったら、頭領をここに連れてきてくれたシザジアフ翁にも、その隣にいてくれたゼラさんにも―――感謝するっきゃないでしょう。それじゃいけませんですか?」
ゼラは、うんともすんとも言わなかった。力説に納得したと言うよりか、単に口ごもりたかっただけかもしれないが。
ふと、問うてくる。
「いけませんと言われたら、君はそれをやめますか?」
「いいえ」
「そうですよね。それが答えだ。君だけじゃなく―――全員の」
「え?」
「わたしも、あなたも。今だからじゃなく、誰しも昔から答えていた。誠実に……ただ、呼びかけてきた相手がいるから、報いようと。ティエゲだって。ジルザキアも。……これも」
そこで、手の中にあるパズルに目を落とした。
声は続いているが、向けられる先はエニイージーではなくなっていると―――そう思えた。
「ジルザキアはね。これが解けた。練成魔士としての素養を抜きにしても、ずば抜けた秀才だった」
「へ?」
「それを超える逸材が現れたなら失われてもいい程度の」
「へ……?」
「―――これでもう終わりだとか言う奴は、これだから……たまらないんだ……」
そこで、変化を嗅いでしまい……ぞっとする。
ゼラは、わらっていた。品良くはあるが、酷薄さながらに表皮を歪ませていた。
「こんなところで終わりになんか、とうに出来ないんだよ」
―――と。
「あれ? ……わたし今、なにか喋りました? ぼうっと―――して」
「いえあの、やっぱ変ですよゼラさん。疲労困憊してんのに、俺を探し回って、パズルまで尻拭いすっから」
「ですかねえ。あふ」
あくびする。どうやら、寝ぼけ半分の戯言だったようだ。なんの夢を見たのか……想像もつかないが。
ゼラは、とっくに口数が過ぎていた上で、誤魔化すにしても遅すぎると察したのだろう。かぶりをふって声を揺らし、言い残していった。
「やれやれ、寝言の前倒しにしても、駄弁が過ぎたようで。これはもらい受けましたよ。それではエニイージー、わたしはこれにて。おやすみなさい」
「お、やすみなさい」
その、回れ右した、小ぢんまりとした後姿を案じること……数秒。
エニイージーは、上司への敬礼と挨拶をし忘れていたことに気付いたが、やはり口にすることは出来なかった。
今のゼラを、部隊長第一席主席として送り出すのは憚られると―――そんな気がしたから。
エニイージーは悩んでいた。
「うーーーーーーーーん」
エニイージーは、ひたすら悩んでいた。
しかも、悩んでいただけではない。胡坐をかいて床に座り込んでいたし、目の前に取り出した珍奇な破片の塊をピンポイントにロック・オンし続けてもいたし、とか言いながらもバンダナを結い込んだ髻がうろうろする思考回路に合わせたようにぷらぷらするのを目で追ったりしながら、試行錯誤しつくした手を腕組みにしてもいた。
「どーなってんだよコレ。こんなカクカクしたきれっぱしの山が、なんであんなキューブになってたんだ? 俺だって、ぶきっちょな方じゃないのになあ」
への字の口を衝いて、つい自問が続く。それを咎める者どころか、聞く者もいないとくれば、懊悩はひたすら加速したが、図書庫には自分しかいないため相談も出来ない。そもそもは、自分の寝所にでもこのパズルを置きに行こうかと向かった途中で、ここなら手がかりがあるかもと立ち寄っただけだったのだが。ついつい長っ尻になるまま居座って小一時間。まあ悩み続けているので、かくいう実感も浅い。
ここは、図書庫と通称されている部屋だが、安置してあるのは書物だけに限らない。壁沿いに設けられた棚には、楽器や算盤、舶来遊戯盤から物差しに至るまで、しっちゃかめっちゃかに詰め込んである。なんの遺物なのか、落書きされたマネキンまであった。なんとはなしに、見たこともないジンジルデッデという先代翁の人柄が感じ取れる空気感である……さて楽しめるものとは何マス先にてかち合うものやらと、やにわの楽しみにときめいて賽を振るような。
その、びっくり箱じみた空間の真ん中で、エニイージーは頭を抱えているのだった。
「て言うか俺、落っこちる直前にチラ見できただけで、そもそもの完成形を知らねえじゃん。真っ白なジグソーパズルみたいなもんにしても、これ立体だし。無理。ぜってー無理」
小ぢんまりと床に置かれた物体は、型崩れした不格好な己が不服だから黙り込んでいますとでも言いたげに、雪崩れたままぽつんとしている。十数個あるひとつひとつのピースは、グーにし損ねた親指から小指までを毟って並べたような、あるいは規則的な木っ端微塵とでも形容したらいいのか、むしろ前衛的な建築を成す部品だとしたら収まりがつくのが―――とにかく変な組み木細工のようでもある。これが最終的にひとつに合体するなど、到底思えない。
にっちもさっちもいかず上を見上げると、ちらちらと埃が舞っていた。のんびりとした午後の光明を受けて、たどたどしい光り方をしている。
(綺麗だなあ。外仕事ばっかしてっと、こんなの見ないもんな。ここにこんなに入り浸るのも、見極め一羽の時以来か)
ふと見入って、頭上へと手を伸ばしてみる。四重揚羽という蝶々を使った奇妙な試験を思い出して、記憶の中の鱗粉に触れるように。
まるで、その手に託宣を授けるかのようなタイミングで―――物静かに、その声は振り落ちてきた。
「ああ、ここで見つけた……のかな? 自信ないけど。エニイージー?」
「え? ゼラさん。え?」
「よかった。ここにいましたか」
真後ろから、前触れなく現れたその人に、ぎょっとして腕を引っ込める。
確かにゼラだった。ただし―――先程よりも、目に見えてくたびれた様子ではある。エニイージーを探し回った挙句、たまたま独り言を聞きつけて発見できたのだろう。出入り口には扉も設置されていないので、物音でさえ出入り自由なのである。
なんの変哲もない一人分のスペースの床は、ひとりで陣取っている分には不満は無かったものの、二人目に闖入されては他にどうしようもなく手狭になった。ただでさえ周り中からしてごちゃごちゃした圧迫感が聳え立っているのを、それでも押しのけるようにしてエニイージーが身体をずらしたところに、するりとゼラが割り込んでくる。猫のように……エニイージーの背中側から右肩に、左手を添えて除かすようにしたはずみで、ふさ、と黒髪の束がこちらの肩口にかかった。おんぶをせがみ損ねた幼児のような姿勢だが。それこそ、じゃれてきた猫にも、これまたある動作だと言えた。
「ゼラさん。なにを―――?」
そしてその人が、右手で無造作にブロック片を掴んだ。掴んだなりに、くるりと指を振る。愛猫の喉でも撫でるように。それを、二回、三回、……
それはまさに瞬時のことで、手品でも見せつけられた気になるが。
そして、パズルは完成した。
「はい、お終い」
「えーーーーーー!?」
目を見開いて、絶叫する。がばっと、ゼラに向き直って、
「なんすか今の!? どんな秘訣ですか!? てぇか、なんでキューブになれたんですか、これ!?」
「これは、練成魔士のテストに使うものの模造品ですよ」
「テスト!?」
「感覚がひとつ多くないと、そうそう解けるものじゃないから。エニイージーでは半世紀かかっても解けないでしょう」
「マジすか!? じゃあ俺、半世紀かけて別のことやり遂げたいと思います!」
「是非ともそうしてください。生産的なことこの上ない」
なにやらこめかみを指先で押さえながら、忠言ついでにへたり込んだゼラが呼気を呻かせてくるが。
それのおかげで、そのパズルとやらの完成形を、しげしげと観察することが出来た。ゼラの片手に乗っかったそれは、凹と凸がもれなく組み合わさった、でこぼこのキューブだ。出っ張ったところだらけのメモ用紙留めのようにも見えたが、そもそも出っ張ったところだらけの時点で重石として役立たずではある。
どうやらゼラは、エニイージーの持ち逃げを疑ったのではなく、余計なことで悩ませまいとして、ここまでやってきてくれたようだ。素直にありがたいと思う一方で、
(なら、あの時に引き留めてくれたらよかったのに)
まあ、エニイージーから押し切るように持ち出してしまったから、時機を逸したのだろう。それか、もしかして万が一にでもこれをエニイージーが解けたなら、練成魔士として教育してみようという算段だったか。
(……イヤそりゃねーなあって途中で踏ん切りがついたから、こうして来てくれたんだろうな。俺を無駄に、もたもたさせることもないだろうって)
練成魔士。
その卓抜した能力の片鱗とは、このような雑技にすら表れるものらしい。間断なくやってきた驚愕をひとしきり消化し終えてから、しみじみと呟く。
「感覚がひとつ多い、かあ……練成魔士って、ずっげーんすね」
「こんなもの、半魚人の鰓呼吸と大差ありません」
「鰓呼吸!?」
「陸地と水場を行き来する際に、出来なければ死ぬこともあるから、やるだけのこと。そんなものの見返りに、水陸両用になれた程度のことが凄いとされるとしても、―――良いことなのか悪いことなのか、わたしには分からない」
「すいりくりょうりょ……?」
「どっちつかずなだけなのに」
へどもどと鸚鵡返ししているエニイージーに、ゼラは単簡とばかり言い捨て続ける。悪態をつくのでもないが、かと言って限度を認めることに不愉快そうでもない。
どうやら埒の無い話は、疲労に後押しされてのことらしく、鬱陶しげでもなかった。お茶を濁して立ち去ってしまえばいいのに、会話を途絶させるでもなく、そのまま付け足してくる。
「……いえ。半魚人よりも……そうですね。わたしたち、練成魔士・魔神・魔術の関係性は、折り紙に似ています」
「折り紙? 折り紙って……あれですよね、一枚紙を法則立てて折っていくと、色んな動物や物体になるってやつ」
「はい」
さっきよりも憔悴しているようでいて、物言いだけはどこか優雅に、遊女じみた言葉遊びが仔細に続く。
「まず、紙をそういうものとして認識できること。これが、わたしの言った、ひとつ多い感覚です」
「そういうもの?」
「はい。そして、言ってみれば、紙の性質が魔神の属性、紙の大きさと強度が魔神の爵位、紙を折るセンスと腕前が練成魔士の練度―――最終的に魔術でなにをどうしたいかで、魔神の属性の向き・不向きが決まってきますが、練度さえあればそれを上回ることが可能です」
「ええと……つまり?」
「薄い板金ならば火に強いけれど水に沈みやすいとか、長方形の布地なら変形させやすいけれど解けやすいとか、そういった関係にあるのが属性と爵位です。これを例えば、薄い板金を水に乗せたいとすると、最低でも箱か船の形に折り上げなければ水没してしまう―――これが、魔神と魔術の相性であり、折る腕前が必要とされる抜本となります」
「あ。ひらべったい面でしかなかったものを、にょっきりと立ち上がらせるんだから、そのものの材質だけじゃなくて足場も踏まえてどう立たせたいか考えておかないと、コテンって共倒れになってしまうってことですか」
「その通り。しかも、その逆もまた然り。紙を切りたいだけのシーンでチェーンソーを取り出した場合、使い手が制御を完璧に徹底しなければ、威力があり過ぎて失敗してしまいます」
「へー」
「しかも、積算への支配が不充分なところには、魔術の効果もまた不完全になることを念頭に置かなければなりません。最低でも声と視線を及ぼすことが可能な範囲でなければ、望んだ効果は得ることが出来ない場合が多いのです。なので、視認の困難な自分自身の後頭部や頸椎腰背部へ魔術を使用するのは、非常に難儀と言えます。自然治癒を待った方が無難なくらいに」
「声と目? 指で触るのとかじゃ駄目なんすか?」
「接触は、適度ではないという意味で、最も取り返しがつかない事態を招く公算が高いので、積極的に採用すべきではありません」
「え? じゃあ、こないだデコピンばしってやって鍵開けたのは?」
「あれは、わたしが与えた衝撃波を、声音や目線の代用にしたようなものです。接触ではありません」
「じゃあ練度があれば、デコピンで自己治療が出来るんじゃないんですか?」
「そこまで個人を熟達させるより、大勢で組織を成熟させる方が理に適っていますので、わたしたちは通常は最低でも二人一組で行動することを基本とした教育を受けます。お互いに負傷を癒したり、前攻後衛を分担して背中を預け合うことになる……それでも治癒は、自分以外には行わない方が無難ではありますが」
「じゃあ練度って、どういう差になって出てくるもんなんですか?」
「大きな紙を与えたところで乳飲み子ならばクシャクシャに投げ捨てることしかできませんが、卓越した者であればミリ単位四方の紙片でだって馬を作れる。そういう感じ」
「うま? 馬なんて紙で作れるんですか?」
「馬どころか、城も、龍も……天使にだって挑みました。そういうものだと思っていたから。あの頃は」
「てんし?」
「御使い。まったく、どこの誰からの使いだというのでしょう? ああオカしい」
おかしいと言ったのか、可笑しいと言ったのか。そのへんの抑揚の機微が壊れてしまっていて、聞き取れなかったが。
長い傾聴の末、突然エニイージーはそれを解釈した。
(そっか。練成魔士なら、……本来は、こんなとこなんか、いないはずだもんな。しかも今、最低でもふたりタッグで行動って言ってた。この人は、元々いたところから はぐれた旅烏なんだ。それらしく、俺らとは違った勝手で話すので当然なんだ)
確かに、フラゾアインとの混血は珍しい。珍しいが、それ以上に練成魔士が珍しいし、そもそも旗司誓という職域自体からして混血者が多い。そういった判断を持ち込むという意識が、すっこ抜けていた。
(っつーか、まずもって、フラゾアインってのがなぁ……黄昏満ちゆくその髪に、夜搾りゆくその瞳、肌の乳色げに あはれ、ああ災いだ、災いだ―――なんたらかんたら、だか何だか知らんけど。水の代わりに生き血と酒を飲むんだっけ? 言われるだけ胡散臭いよなぁ。ここまでくると)
噂をして影が差すのを忌避するのは分かるが、本体から見失ってしまうほどとなると、本末転倒だと感じてしまう。おそれてしまったら最後、枯れ木の節穴みっつでさえ怨霊にしてしまうのが人間というものなのだから、フラゾアインとてそうでないとは、どうしても考えられなかった。
(だって……ゼラさん。普通に、ここにいるしなー。寝起きして働いて、メシ食っては雑談して。生き血も飲んでねえと思うし。ここで、俺より前から、そうしてるってだけで)
なんの気なく、エニイージーは口を開いた。
「ゼラさん」
「はい」
「練成魔士なんすよね」
「そうですよ」
「なんで<彼に凝立する聖杯>に居るんですか?」
ふと、ゼラが奇妙な表情をした。あるまじきことだが……泣き所に触れられたとでも言うような。
あまりの折悪しさに、エニイージーは動転した。もとより前副頭領であり現部隊長第一席主席を相手にして、副座が気安く口を利けた筈もなかったのだが。本人がこだわる様子を見せないものだから、頭領と一緒くたにしてついつい軽軽しい振る舞いをしてしまっていた。あたふたと、謝り倒す。
「すんません! いえあの、深い意味は無いんですけど。なんかさっき、そんな話してたもんだから。すんません!」
「約束してしまったものですから。それを守ろうとして、果たすまでは、いるだけで」
「約束?」
「シザジアフとね」
さらりと打ち明けておいて、自分でも未練たらしさを持て余すように、心細いような忍び笑いを漏らす。
それを見ているのこそ忍びなく、ぼそぼそとエニイージーは話を逸らした。
「シザジアフさんて、どんな人だったんですか?」
「よりけり、ですね。語り口によって。さて君は、どんな話を聞きたいものやら。自慢話? 英雄譚? ちょっと意外にもナメクジが苦手なところ?」
「そうだったんすか!?」
「この茶の得体の知れない味と粘っこさとクサみは何じゃいなとポットの蓋を開けたところ、ぐらぐら釜茹でされてサナダムシのように膨れ上がった―――」
「いいっす! 俺も苦手になったっす! たった今から! なめくじゃー!」
あんぐりと口を開けていやいやと頭を振るのだが、ゼラは調子を変えず落ち込んでいく。最後は、もはや―――泣き言のように。
「わたしとしては、彼は同類でしかない。肉親同然だった者をかなぐり捨ててまで、のぞみを選んだ。彼はジルザキアを、わたしはティエゲを……もろとも全部、捨てた」
聞いて。
思わず―――へんてこな言い回しになりながらも―――エニイージーは大声を上げていた。
「俺は、親に捨てられましたことを、今はとんでもないくらい感謝しています!」
口ごたえではない。慰めでもない。純然たる本心だった。
盲点を突かれたといった顔つきでいるゼラに、畳み掛ける。
「だから頭領に拾われました! それだからここに来れました! 読み書きと金勘定が出来るようになって、働いた代わりに居場所にありつけて、―――笑って、笑い返して、それだけじゃないくらい、人らしくなれたって思うから! ありがとうございますって、あの親にだって言えます。今なら。きっと」
親。
旗司誓になってから、ずっと黙殺し続けてきた。手を引いて歩いてくれるような親ではなかったが……なによりも、もう自分の手は、旗幟を取っているのだから。そして、<彼に凝立する聖杯>にはザーニーイがいるのだから。親など、不要だと。
だとしてもこの手は、産んでくれた親から、五体満足に与えられたものだ。五本の指、五枚の爪、思い切り自由に動いて力を込めることが出来る健全たる掌。しかも、今では両利きである。旗司誓にとっての、かけがえない至宝だ。なればこそ―――
「だったら、そのジルザキアって人もティエゲって人も、そうかもしれないって……どうか分からないって、思うんです。俺は、頭領がここにいてくれたことに感謝しています。だったら、頭領をここに連れてきてくれたシザジアフ翁にも、その隣にいてくれたゼラさんにも―――感謝するっきゃないでしょう。それじゃいけませんですか?」
ゼラは、うんともすんとも言わなかった。力説に納得したと言うよりか、単に口ごもりたかっただけかもしれないが。
ふと、問うてくる。
「いけませんと言われたら、君はそれをやめますか?」
「いいえ」
「そうですよね。それが答えだ。君だけじゃなく―――全員の」
「え?」
「わたしも、あなたも。今だからじゃなく、誰しも昔から答えていた。誠実に……ただ、呼びかけてきた相手がいるから、報いようと。ティエゲだって。ジルザキアも。……これも」
そこで、手の中にあるパズルに目を落とした。
声は続いているが、向けられる先はエニイージーではなくなっていると―――そう思えた。
「ジルザキアはね。これが解けた。練成魔士としての素養を抜きにしても、ずば抜けた秀才だった」
「へ?」
「それを超える逸材が現れたなら失われてもいい程度の」
「へ……?」
「―――これでもう終わりだとか言う奴は、これだから……たまらないんだ……」
そこで、変化を嗅いでしまい……ぞっとする。
ゼラは、わらっていた。品良くはあるが、酷薄さながらに表皮を歪ませていた。
「こんなところで終わりになんか、とうに出来ないんだよ」
―――と。
「あれ? ……わたし今、なにか喋りました? ぼうっと―――して」
「いえあの、やっぱ変ですよゼラさん。疲労困憊してんのに、俺を探し回って、パズルまで尻拭いすっから」
「ですかねえ。あふ」
あくびする。どうやら、寝ぼけ半分の戯言だったようだ。なんの夢を見たのか……想像もつかないが。
ゼラは、とっくに口数が過ぎていた上で、誤魔化すにしても遅すぎると察したのだろう。かぶりをふって声を揺らし、言い残していった。
「やれやれ、寝言の前倒しにしても、駄弁が過ぎたようで。これはもらい受けましたよ。それではエニイージー、わたしはこれにて。おやすみなさい」
「お、やすみなさい」
その、回れ右した、小ぢんまりとした後姿を案じること……数秒。
エニイージーは、上司への敬礼と挨拶をし忘れていたことに気付いたが、やはり口にすることは出来なかった。
今のゼラを、部隊長第一席主席として送り出すのは憚られると―――そんな気がしたから。
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