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エリザベスの訪問
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しおりを挟むシムは暖かいお茶に視線を落として、夫人の話を黙って聞く。
美味しい紅茶に映る自分は髪の毛もストレートではなく、つくづく冴えない見た目だなと自分を見て思った。
「…そういうことだから、次の視察には私達の今後がかかっているから協力して欲しいの。
分かってくれるわね。」
話はこうである。
ジェーンはこの訪問で嫁に行ける先若くは婿養子を捜す、"その邪魔にならないようにする"こと。
そしてシムの大切な庭が恋の場に使われたとしても快く明け渡してほしいという事。
シムは大切な庭が使われる事を嫌だとは全く感じてはいないが、シムはジェーンお嬢様を少し可哀相に思っていた。
まだ14という歳で家を守る事を任されることは恐らくとても辛いことだ。
シムはこの8年間ただ庭と向き合ってきた。
一般庶民からは想像出来ない重圧や期待を背負っているであろうジェーンはなんて強い人間なんだろうと想像する。
自分の子どもにそのような重責を押し付けなければならないこの夫人もきっと苦しいのかもしれない。
家族のいないシムにとってどれも想像の域を超えることができないが、とても不器用な関係のように思えた。
「俺の庭を、未来のお婿様にも、気に入ってもらえたら嬉しいです」
夫人を気遣い口に出た言葉に、夫人は何とも言いがたい複雑な顔をした後俯き「そうね」と微笑んだ。
「あなたもね、宮廷からの訪問が続く1週間は表に出ていてほしいの。
庭のことを聞かれたら、ぜひたくさん教えてあげてほしいから。」
シムは一瞬目を見開き、すぐに顔をこわばらせた。
貴族たちの会話に自分が到底混ざれる訳が無い。
人様の前に立てる服は一枚だってない、何よりこのような風貌のちんけな男が表になど出たらテューリンゲン夫妻の顔に泥を塗りかねない。
「…俺は…遠慮します、話すのは得意では、ないです。それにこんな見た目、なので」
俯くシムに夫人は優しく微笑みシムを見つめる。
「そんなこと言わないでちょうだいよシム。
旅をしてわざわざここまで皆さんはいらしてくれるのよ。
庭を見たら心を癒されるわきっと。
なにより庭と一緒に、あなたも誇りなの。」
その言葉におずおずと夫人を見つめ返す。
まだ納得は仕切れていないものの、誇りと言ってもらったことに胸が温まる。
夫人の優しく包むような笑顔にはい…と小さく頷いた。
シムはとても緊張していた。
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