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なぜだろう?なぜ俺が虐げられるのだろう?俺はこの伯爵家の長男。いわば後継者。のハズ。
それが母上が亡くなり、父上が後妻を連れてきた。子連れの。その子をちゃんと俺は実の弟として受け入れ可愛がっていた。なのに…。
父上が亡くなった。後妻が家で大きな顔をするようになった。それにつれて可愛がっていた弟も大きな顔をするようになった。
後妻は「再婚しようかしら?」と言い始めた。それは俺がこの伯爵家を正式に継いでからにしてほしい。世間ではこの後妻の事を“女伯爵夫人”と言っている。
いやいや、領地経営とか領主的な仕事は全部俺に丸投げで社交に勤(いそ)しんでいたから。
伯爵として後妻の女は何かしただろうか?というくらい何もしてないから!
可愛がっていた弟は次期伯爵ヅラをつるようになったし、この家には夫人の知り合い?という男が出入りするようになった。
それに伴い、邪魔な俺は虐げられ、使用人と同じように扱われるようになった。
オカシイ…。
後妻の知り合い(自称)が出入りするようになってからというもの、弟と俺は血が繋がっているのだろうか?という思いがしてきた。
父上と男女の関係はあったかもしれない。しかし、弟は他の男の息子じゃないか?
だとするならば、次期伯爵を自称する弟はただの人。後妻だって爵位がある家の娘だっただろうか?没落貴族?
うちの伯爵家が乗っ取られる。一応歴史ある伯爵家なのだが、頭の悪い後妻によって乗っ取られるのは本意ではない。
と、ここまでは俺の頭の中の考え。腐っても俺は国の学園で首席を修めている。同学年にいる殿下も友人にいる。殿下にこの事を相談しよう。
「―――というわけなのだけど、どうだろうか?」
学園で早速殿下に相談した。
「家の問題だからね。歴史ある伯爵家がなくなるのは惜しいけど」
そうなのか…。殿下の力も及ばないのか。
「でもなぁ。君が虐げられている理由がよくわからない。虐げるというとなんだか非人道的だね」
そうなんだけど、解決策は?
「今のところ解決策はない」
マジで?悲しいです…。
「今のところは、ね?多分だけど、君を失えば伯爵家は没落するよ?一旦あの伯爵家から離れるのはどうだい?君が固執するから伯爵家は存続するんだ。そこで失えば?ジ・エンド。あの伯爵家がなくなるのは本当に惜しいんだけど、これしか手がないんだ」
やってみるか。
「その間、俺はどこにいれば?」
「そうだなぁ?王家が斡旋する住み込みの飲食店で働きながら、学園に通うってのはどうだい?」
ラジャー!未来の国王の立案だ。大丈夫だろう。
そうだ、俺の名前。コーデュリス=アークス。愛称はコー。
これから俺の伯爵家大掃除が始まるのだ
「いらっしゃいませー」
俺は物凄い速さで飲食店に馴染んだ。お客様の顔と名前もすぐに覚えた。
「お前さん、ずーっとうちで働かないかい?」
と、女将さんに言われるほど。
「いやぁ、あくまでも俺は臨時ですから。時が来たら俺は俺の居場所に戻ります」
とだけ伝えた。
日々、アークス伯爵家が没落していく情報もこの飲食店にいると入ってくる。殿下はそんなことも考えてたんだろうか?平民が貴族の情報を知っているのだからとんでもないのだろう。このまま大人しく没落して欲しい。
やばい!アークス伯爵家に出入りしていた男がこの飲食店に…。情報が欲しい。しかしばれるのは辛い。
そういうわけで、俺は殿下にお借りしている盗聴器を男が座るテーブルに仕掛け、女将さんには「トイレに行く」とその場を離れた。
「アークス伯爵家のババァよぉ、最近ちっとも羽振りが良くねーんだよ」
後妻の金目当てで付き合ってたのかこの男。
「しかしよぉ、俺の息子が伯爵?世も末だよなぁ。俺の息子だけあって、特に優れたところはないわけだ。そんなんで伯爵だぜ?絶対できねーって」
弟はこの男の息子なのか…。なるほど、俺と似てねーもんな。
「それにしても…」
声が小さくなったな。殿下、流石です。声が拾えます。
「伯爵はあっさり死んだな。ちょっと薬混ぜただけなのによぉ」
なにー?!父上は毒殺されたのか?後妻とこの男の計略で。
殿下…感謝します。この盗聴器に録音機能があって。今までの会話は全部録音されています。
翌日、俺は殿下に昨日録音した盗聴の全てを聞いていただいた。
「これは…酷いなぁ。えーっと、この男は後妻に金目当てで近づいた。後妻の連れ子はこの男の子。伯爵はこの男と後妻により毒殺された。という証拠となるね」
俺は後妻とこの男が自分の親の仇になる事がこの話でわかった。
「これ、証拠としては十分なんだけど…。盗聴も罪なんだよね。禁固2か月だったかな?」
「そのくらい平気です!これを証拠として、あの親子を一刻も早く伯爵家から追放してください!嗚呼、あの親子について行く使用人いるのかなぁ?いい使用人は残ってるのかなぁ?」
殿下の権力を用いて出来る限り早く裁判を起こした。それでも2週間後だった。
「……以上証拠が揃っているが異論があるものは?」
「でっち上げですわ!」
どうやってでっち上げるんだよ…。
「でっち上げの根拠は?」
「わたくしと伯爵は本当に愛し合っていたんですもの」
この話を聞いてもまだ言う所が凄いな。死人に口なし。というやつだな。
「科学的根拠が全くありません。それよりも録音した声の方がよっぽど…」
「伯爵家を乗っ取ろうとした罪は重い。そこの平民の男、終生鉱山夫として働くように。自称伯爵夫人、辺境の地にある修道院にて己の犯した罪の重さについて深く反省しろ。二人の間に生まれた息子はどの罪にも加担していない。よって無罪。しかしながら、今後は平民として暮らすのだ。よいな」
このように法廷では決められた。
正直、後妻とあの男は殺したいくらい憎い。しかし、法廷で思った。死んでは一瞬だけど、生きて償うのは一生かかる。こっちの方が辛い。
弟は俺に助けを求めた。
今更なんだろう?昔この弟にも虐げられたことを俺は覚えている。そのことを考えるととてもじゃないが、助ける気にはならない。
こうして俺の伯爵家大掃除が終わり、伯爵家に戻った。
思ったよりも、以前からの使用人が残っていてよかった。
「坊っちゃんおかえりなさいませ!」と、俺は歓待された。よかった、使用人たちには嫌われていない。
「もう、あの後妻の女は人使いが荒くって何度辞めようと思ったか…」
と、一人のメイドが愚痴ると同調するように10人近く頷く。
「俺はみんなが残っていてくれて嬉しいよ。またよろしく頼むね」
アークス伯爵家の復興はこれからだ。
それが母上が亡くなり、父上が後妻を連れてきた。子連れの。その子をちゃんと俺は実の弟として受け入れ可愛がっていた。なのに…。
父上が亡くなった。後妻が家で大きな顔をするようになった。それにつれて可愛がっていた弟も大きな顔をするようになった。
後妻は「再婚しようかしら?」と言い始めた。それは俺がこの伯爵家を正式に継いでからにしてほしい。世間ではこの後妻の事を“女伯爵夫人”と言っている。
いやいや、領地経営とか領主的な仕事は全部俺に丸投げで社交に勤(いそ)しんでいたから。
伯爵として後妻の女は何かしただろうか?というくらい何もしてないから!
可愛がっていた弟は次期伯爵ヅラをつるようになったし、この家には夫人の知り合い?という男が出入りするようになった。
それに伴い、邪魔な俺は虐げられ、使用人と同じように扱われるようになった。
オカシイ…。
後妻の知り合い(自称)が出入りするようになってからというもの、弟と俺は血が繋がっているのだろうか?という思いがしてきた。
父上と男女の関係はあったかもしれない。しかし、弟は他の男の息子じゃないか?
だとするならば、次期伯爵を自称する弟はただの人。後妻だって爵位がある家の娘だっただろうか?没落貴族?
うちの伯爵家が乗っ取られる。一応歴史ある伯爵家なのだが、頭の悪い後妻によって乗っ取られるのは本意ではない。
と、ここまでは俺の頭の中の考え。腐っても俺は国の学園で首席を修めている。同学年にいる殿下も友人にいる。殿下にこの事を相談しよう。
「―――というわけなのだけど、どうだろうか?」
学園で早速殿下に相談した。
「家の問題だからね。歴史ある伯爵家がなくなるのは惜しいけど」
そうなのか…。殿下の力も及ばないのか。
「でもなぁ。君が虐げられている理由がよくわからない。虐げるというとなんだか非人道的だね」
そうなんだけど、解決策は?
「今のところ解決策はない」
マジで?悲しいです…。
「今のところは、ね?多分だけど、君を失えば伯爵家は没落するよ?一旦あの伯爵家から離れるのはどうだい?君が固執するから伯爵家は存続するんだ。そこで失えば?ジ・エンド。あの伯爵家がなくなるのは本当に惜しいんだけど、これしか手がないんだ」
やってみるか。
「その間、俺はどこにいれば?」
「そうだなぁ?王家が斡旋する住み込みの飲食店で働きながら、学園に通うってのはどうだい?」
ラジャー!未来の国王の立案だ。大丈夫だろう。
そうだ、俺の名前。コーデュリス=アークス。愛称はコー。
これから俺の伯爵家大掃除が始まるのだ
「いらっしゃいませー」
俺は物凄い速さで飲食店に馴染んだ。お客様の顔と名前もすぐに覚えた。
「お前さん、ずーっとうちで働かないかい?」
と、女将さんに言われるほど。
「いやぁ、あくまでも俺は臨時ですから。時が来たら俺は俺の居場所に戻ります」
とだけ伝えた。
日々、アークス伯爵家が没落していく情報もこの飲食店にいると入ってくる。殿下はそんなことも考えてたんだろうか?平民が貴族の情報を知っているのだからとんでもないのだろう。このまま大人しく没落して欲しい。
やばい!アークス伯爵家に出入りしていた男がこの飲食店に…。情報が欲しい。しかしばれるのは辛い。
そういうわけで、俺は殿下にお借りしている盗聴器を男が座るテーブルに仕掛け、女将さんには「トイレに行く」とその場を離れた。
「アークス伯爵家のババァよぉ、最近ちっとも羽振りが良くねーんだよ」
後妻の金目当てで付き合ってたのかこの男。
「しかしよぉ、俺の息子が伯爵?世も末だよなぁ。俺の息子だけあって、特に優れたところはないわけだ。そんなんで伯爵だぜ?絶対できねーって」
弟はこの男の息子なのか…。なるほど、俺と似てねーもんな。
「それにしても…」
声が小さくなったな。殿下、流石です。声が拾えます。
「伯爵はあっさり死んだな。ちょっと薬混ぜただけなのによぉ」
なにー?!父上は毒殺されたのか?後妻とこの男の計略で。
殿下…感謝します。この盗聴器に録音機能があって。今までの会話は全部録音されています。
翌日、俺は殿下に昨日録音した盗聴の全てを聞いていただいた。
「これは…酷いなぁ。えーっと、この男は後妻に金目当てで近づいた。後妻の連れ子はこの男の子。伯爵はこの男と後妻により毒殺された。という証拠となるね」
俺は後妻とこの男が自分の親の仇になる事がこの話でわかった。
「これ、証拠としては十分なんだけど…。盗聴も罪なんだよね。禁固2か月だったかな?」
「そのくらい平気です!これを証拠として、あの親子を一刻も早く伯爵家から追放してください!嗚呼、あの親子について行く使用人いるのかなぁ?いい使用人は残ってるのかなぁ?」
殿下の権力を用いて出来る限り早く裁判を起こした。それでも2週間後だった。
「……以上証拠が揃っているが異論があるものは?」
「でっち上げですわ!」
どうやってでっち上げるんだよ…。
「でっち上げの根拠は?」
「わたくしと伯爵は本当に愛し合っていたんですもの」
この話を聞いてもまだ言う所が凄いな。死人に口なし。というやつだな。
「科学的根拠が全くありません。それよりも録音した声の方がよっぽど…」
「伯爵家を乗っ取ろうとした罪は重い。そこの平民の男、終生鉱山夫として働くように。自称伯爵夫人、辺境の地にある修道院にて己の犯した罪の重さについて深く反省しろ。二人の間に生まれた息子はどの罪にも加担していない。よって無罪。しかしながら、今後は平民として暮らすのだ。よいな」
このように法廷では決められた。
正直、後妻とあの男は殺したいくらい憎い。しかし、法廷で思った。死んでは一瞬だけど、生きて償うのは一生かかる。こっちの方が辛い。
弟は俺に助けを求めた。
今更なんだろう?昔この弟にも虐げられたことを俺は覚えている。そのことを考えるととてもじゃないが、助ける気にはならない。
こうして俺の伯爵家大掃除が終わり、伯爵家に戻った。
思ったよりも、以前からの使用人が残っていてよかった。
「坊っちゃんおかえりなさいませ!」と、俺は歓待された。よかった、使用人たちには嫌われていない。
「もう、あの後妻の女は人使いが荒くって何度辞めようと思ったか…」
と、一人のメイドが愚痴ると同調するように10人近く頷く。
「俺はみんなが残っていてくれて嬉しいよ。またよろしく頼むね」
アークス伯爵家の復興はこれからだ。
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