自らの力で異世界へ

satomi

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偶然異世界転生を果たす人が多くいる中、私は自らの手で異世界転生をしようと思う!
そのために図書館で怪しげな本を読みまくった!
立ち読みで怪しげな呪術系の本を読みまくった!
挙句の果てに図書館の関係者以外立ち入り禁止にも入って怒られながらも異世界転生系の記述はないかと本を読んで、読んで……もうここまでする?ってほど読みまくった。


私の名前は、橘伊織。できれば、異世界転生であの有名な断罪シーンを見てみたい!!という野望を持っている。


あ、それで読みまくったら、ある図書に魔法陣で異世界に行けるという記述が…。どんな世界に行くものかわからないが、とりあえずものは試し。
魔法陣に乗ってみよう。
と、結構広いところで私は地面に魔法陣をかきかきかきかき…。
なんだか光につつまれて異世界に旅立ったようだ。


あ、そうそう。家には、ちょっと異世界に行ってくる。もう戻れないかもだけど、元気にやるから~。
と置き手紙をしておいた。突然いなくなったら、流石に心配するだろう。
異世界に行く。もう戻れないってのも心配するかもだけど、常々異世界に行きたいって言ってたし、大丈夫だよね。



私が辿り着いた異世界は見事アタリ!
私が見たかった断罪シーンがあるラノベの世界と見た!!
その、モブ令嬢として転生してるのね?ふむふむ。ということは断罪シーンが見れるんだー!!
やっほー!!


学園に通うと、王子はテンプレの通り男爵令嬢を連れてる…。あの子頭悪そう。王妃向きじゃないよね。
で、その子はハーレム状態になってた。正直羨ましいです。
しかしだ!婚約者がいる殿方に手を出すのは感心しないなぁ。頭…本当に悪い。お花畑?
あぁ、イケメン好きなんだっけ?だからって婚約者がいる殿方はいかんよ。


「今日もあのサマンサ様に嫌がらせを受けましたの」
ああ、嘘か。サマンサっていうのか。王子の婚約者の令嬢。
他にもいろんな名前が登場した。全部でっち上げの嘘かと思うと、嘘の天才だなぁと思う。

「サマンサがこの可愛いララを虐めるとは許せないな!」
その女には虐める価値もないと思うケドなぁ。
サマンサ嬢は忙しいんでしょう?その女を虐めるほど暇じゃないよ。

恋は盲目かなぁ?王子が阿呆になってて普通の事に気付かない。
阿呆は不敬か(笑)?骨抜きになってて?


それにしても政略結婚って大変だなぁ。
こんなにあっさり浮気するような男でも契約みたいなもんだから、嫁がなきゃだし。
サマンサ嬢だって、才色兼備のお嬢様だし引く手数多の超優良物件だろうになぁ。
悪いものにひっかかって…。ほろりと目に涙が…。


で、私待望の断罪シーン!
「私、べネス国第一王子コレットはそこにいるサマンサ嬢との婚約を破棄する!そして新たにこの隣にいるララ嬢と婚約することを宣誓する!」

少しは頭使ったのかなぁ?陛下がいない日にコレをやったんだもんね。陛下は絶対反対。ララみたいに頭悪くて、血筋もよろしくない娘は王家に相応しくないから。

「コレット、誰の許可を得てこのような茶番をしているんだ?」
うえ?陛下参上?

「陛下!本日は視察で王都を離れているのでは?」

「そんなのは嘘も方便だ。お前が怪しい動きをしていると進言した者がいたのでなぁ」
そんな人は私が読んだ小説にはいない…。
「陛下に申し上げます。サマンサ嬢はここにおりますララ嬢に度重なる嫌がらせをしたのです。そのような人間、国母に相応しくありません」

「ほう、サマンサ嬢はララ嬢に嫌がらせをするほど暇じゃないぞ?学園での授業の後王宮での王妃教育の後帰宅。このような生活のどこにララ嬢に嫌がらせをする暇があると思うんだ?」

「しかしっ、事実嫌がらせを受けているのです」

「その裏はきちんと取ったのだろうな。証人ではなく物証だ。ありもしない事をでっちあげる事は愚か者がすることぞ」

「…」

「証人しかおらんのか?はぁ、まったく情けない!真実を見ていないのだからな。まぁ、お前はララ嬢と婚約したわけでどうでもいいが」

「父上!」

「陛下だ。お前は廃嫡。王都から離れた別荘ででも暮らせ。それとも平民暮らしをしたいか?」

「平民暮らしなんか嫌よ。そんな事なら王子と別れる」

「ララ…」

「まぁ、こんなもんだ。この娘はお前自身ではなく王家の威光と贅沢(?)に惹かれたんだな。諦めろ、自分に見る目がなかったと」


「他の連中も同じだ」
ハーレム状態だったから、他のハーレム戦隊(?)隊員達に言ったのだろう。



はぁ、お腹いっぱーい。断罪シーンも見たし、満足♡
さて、この後どうしよう??この後については無計画だ。
「イオリ嬢」
「はい」
反射的に返事をしたら、相手は騎士だった。


この人が陛下に進言したらしい。
私があまりにも好奇心たっぷりの目で見ていたので、マークしていたという話だ。
彼は近衛騎士だという。
なるほど、陛下に進言できる立場の人間ですか…。

「イオリ嬢はこうなる事を予期していたようだが…?」
スルドイなぁ。だって、本で読んだんだもん。陛下によって逆に王子が断罪されるってのは目新しいかったけど。

「そうですね。陛下が仰ったように、冷静に考えればサマンサ嬢がララ嬢を虐める暇はありませんからね。イジメるなら余程暇な人でしょう?」

「そうだな。ところで、イオリ嬢の生家の爵位は?」

「それ関係あります?」

「大アリだ」

「子爵家です。こうして近衛騎士の方と話すのは畏れ多いですわ」

「その割には普通なんだよな」
そうでしょう?だって、爵位って概念がない世界から来てるから。

「うーん、うちが侯爵家なんだよなぁ…」

「自慢ですか?」

「そうではなくてだなぁ。貴女のような、未来を見越す賢い女性に興味がある。私と婚約をしてほしい」
ハァ?血迷ったのか?この人、侯爵家で、背が高くてイケメンの近衛騎士。モテるでしょうに。何で私なの~!!

「私は別に先を見越しているわけではありません」
本で読んだだけだし。

「でも、殿下がどうなるかはわかっていたんだろう?」

「はぁまぁ」
嘘はつけないよなぁ。ついたら途端に首と胴が離れそうだ…。


「そうだ、私の名は、ピクルスル=ハインリヒだ。侯爵家な」
ここで侯爵家の威光を使う?私はピクルスは抜く派なんだよな~。

「ね、ルゥって呼んでいい?」

「いいが…愛称で呼ぶのは親しい間柄だけだ。家族とかな」

「ならハインリヒ次期侯爵閣下って呼ぶけど?」

「ルゥで…」
私の勝ちだ。

「イオリ嬢、早速だがうちで暮らしてもらいたい」
私は今の子爵家になんの感傷もないからいいけど早くない?

「それはルゥの婚約者として?」

「まぁ、そうだ」
赤面するなら提案するなよ。
私もこの世界の常識とか教養とかマナーとか勉強したいし、ルゥのとこに行くのはいい機会かも。

「りょーかい。そんじゃあ、お邪魔しますね、次期旦那様♡」
うわー、耳まで真っ赤。おちょくると面白いことが判明。おちょくって遊ぼう!


そんなんで私はハインリヒ侯爵家にお邪魔することになった。
侯爵閣下も夫人も私を歓迎してくれた。歓迎というか、大歓迎?
話によると、ルゥは幼い頃からもうそれは、モテてモテて……。秋波を浴びまくった結果女性に全く興味を持たずにいて、侯爵夫妻は地味にこのままだと侯爵家は自分の代で終わるんじゃないかと思っていた。
そうだ。
要するに、私がルゥと結ばれてハインリヒ家が続く!バンザーイ!!だ。
…私は本当にルゥと結ばれるんだろうか?

まぁ私に非があるとはいえ、ルゥで遊び過ぎました。
おちょくって遊んでたら、本気でルゥに組み敷かれてしまいました。
18才だからいいんですけど、ムードってもんが…。そして、この世界って婚前交渉アリなのか
なんか淑女たるもの貞淑にって感じでけどなぁ。まさか、『ただし婚約者は除く』というやつですか?
しかも妊娠したみたいなんですけど…。いや、侯爵夫妻は諸手を挙げて喜んだけど、アリなの?ねぇ?

「私の子かぁ…。私とイオリの子だから、さぞかし可愛いに違いない。男の子なら立派な騎士だなぁ。女の子なら?そりゃあ、嫁にはやらないで俺とイオリとその子の3人で暮らすんだ♪」
などとルゥは楽しそうだ。
アリなのか…。

異世界は不思議だと思う。自分で選んだ道みたいなものだから受け入れないといけないのか。
しかし、コレは…


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