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35. 『……あのね、ミミル。なんだか“世界”がこっち見てる気がする』
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ぽかぽかの朝。
今日は園に行く前に、お庭で朝日を浴びながら、ミミルと一緒にお茶を飲む。
──ぼくにとって、それはとても大切な時間。
「……ミミル、聞いて。なんだか、最近すごく“見られてる”気がするんだ」
ミミルはうんうんと頷いた気がした。
べつに、誰かに嫌な目で見られてるわけじゃない。
でも、どこからか、ふわっと──
誰かの想いが、風に乗って届いてくるような。
「……変だね、こんなの。園で遊んでるだけなのに」
ぼくは自分でも苦笑する。
だけど、それは間違いじゃなかった。
◇
園に着くと、いつも通り園児たちがわらわらと寄ってくる。
「ルカ!おはよ!髪の毛、寝ぐせついてる~」
「ルカ、昨日ぼく夢でルカと一緒に空飛んだよ!」
「ルカ、今日もミミルかわいい!」
そのなかで──園の門の影から、じっとこちらを見ている**“見知らぬ男”**がいた。
細身の体に、長く揺れる銀髪。
目の奥が、なぜか……とても哀しそうだった。
「ルカ様……」
かすれた声。
その声に、ミミルがぴくっと反応した。
先生たちが気づいて駆け寄ろうとした瞬間、その男はふっと姿をかき消した。
◇
「……ルカ様。あの男、見覚えは?」
「いえ……でも、なんだろう。ミミルが反応してた……」
その日の夜。
ぼくの部屋の窓に、一枚の“葉っぱ”が貼りついていた。
よく見ると、それはただの葉じゃない。
──精霊たちが使う、封書。
【“異種の王”が、まもなくルカ様に会いに来ます】
「……え?」
その瞬間、ミミルがぼうっと光を放ち、
天井に“星のような文字”が現れた。
──ルカ様、来る日が来ました。
精霊、獣人、魔族、龍種──
すべての種族が、あなたの存在に“気づきはじめた”のです。
「……あのね、ミミル。なんだか“世界”がこっち見てる気がする」
ぼくは小さく呟いた。
でも、こわくない。
だって、みんながいる。
パパも、ママも、園のみんなも──
そして、ミミルがいる。
それだけで、十分だから。
◇
翌朝の魔法カレンダーの言葉はこうだった。
『ねぇ、世界。そんなに見つめられても……
まだぼく、ミルク飲んでるのに。』
──世界が、ルカを中心に“動きはじめた”。
その最初の兆しだった。
今日は園に行く前に、お庭で朝日を浴びながら、ミミルと一緒にお茶を飲む。
──ぼくにとって、それはとても大切な時間。
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でも、どこからか、ふわっと──
誰かの想いが、風に乗って届いてくるような。
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ぼくは自分でも苦笑する。
だけど、それは間違いじゃなかった。
◇
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かすれた声。
その声に、ミミルがぴくっと反応した。
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「いえ……でも、なんだろう。ミミルが反応してた……」
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そして、ミミルがいる。
それだけで、十分だから。
◇
翌朝の魔法カレンダーの言葉はこうだった。
『ねぇ、世界。そんなに見つめられても……
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