この世界は僕に甘すぎる 〜ちんまい僕(もふもふぬいぐるみ付き)が溺愛される物語〜

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36. 《ノア視点》 『……ボク以外のだれにも、さわらせたくないのに』

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ボクは、にこにこ笑ってる子が好きだ。
泣いてる子はちょっと苦手。
でも──ルカだけは、違う。

 

ルカが泣くと、胸の奥がぎゅってなる。
笑うと、その日一日、全部がうれしくなる。

……変だよね。
これが“好き”ってことなのかな?

 



 

「ノアくん、今日もルカと一緒に遊ぶの~?」
「そりゃそうでしょ!ルカはボクの一番のおともだちなんだから!」

口ではそう言ったけど、
胸の奥でくすぶる黒い感情を、誰にも見せられなかった。

──本当は、「おともだち」なんかじゃ、足りない。

 

今日もルカは、色んな子に囲まれてる。
アデルも、レオンも、カインくんも、ユリウスも。
それぞれが、ちょっとずつ違う表情でルカを見る。

 

「……いいな、ボクもルカと手つなぎたい……」

でも、恥ずかしくて言えなかった。

 



 

お昼寝の時間。
ルカはミミルをぎゅっと抱いたまま、すやすや眠ってた。

その顔を、ボクはじっと見ていた。
誰にも見られないように、そっと──その手に、自分の手を重ねる。

 

「……ボクね、ルカのこと、ずっと見てたんだよ」

ルカは眠ったまま。
だけど、その顔がふっとやわらいだ気がして、ボクはどきんってなった。

 

……このまま、時間が止まればいいのに。
誰もルカに近づかなくなればいいのに。

そんなことを思ってしまった自分に、ちょっとショックを受けた。

 



 

でもね──気づいちゃったんだ。
ボクの“すき”は、ほかの子と同じじゃない。
ボクは……ルカの隣にいたい。
“ともだち”でも、“家族”でもない、もっとちがうなにかになりたい。

 

だけど、ルカは──誰のものにもならない。

それが、すごく、さびしい。

でも、それでも……やっぱり、ルカが好き。

 



 

翌日のカレンダーには、こんな言葉が書かれていた。

『とくべつって、ひとりじゃなれない。
でも、みんなの“たいせつ”には、なれるよ』

 

それは、ボクの気持ちを代弁してくれたみたいで、
ちょっと泣きそうになった。

──ルカ、すきだよ。
ずっと、すきでいても、いいかな……?

 
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