2 / 5
第二話
しおりを挟む
悪役令嬢を断罪して数年の月日が経ち
学園を卒業した私はお城に仕える聖女として、攻略対象の王子様達にチヤホヤされる日々を送っていた。
そんなある日、私が城内を歩いていたら、王子様が見えた。
声をかけようと思って近づいてみると、他にも女がいた。5人だ。しかも人間じゃない。
「王子様、こちらの方々は?」
「やぁナディア、彼女たちは今日、僕らの卒業祝いに献上されたモンスター娘たちだよ」
モンスター娘
それは人間の女のような見た目をしたモンスターのことだ。
普通のモンスターとの違いはその姿だけじゃなく、人の言葉を話せるし、知能も人と同じだと言われている。たしかゲームの設定では遥か昔、勇者が魔王の手から世界を救って以来、人間とモンスターが共存するようになったらしい。最近では人間社会に進出し、人間と共に働くモンスター娘も増えて来てるとか。
「皆父上のお墨付きらしいんだ。これからこの国のために尽くしてくれるようだよ」
「今後ともよろしくお願いします。聖女様」
王子様が紹介してくれると、5人組のリーダーらしきモンスター娘がにっこりとあいさつをしてきた。
「…うん、これからよろしくねぇ?」
全員女なのが気に食わないけど、また悪役令嬢の時みたいにこき使えばいいわよね。
あの女の時みたいに仕事を全部押しつけて、王子様たちとまたデートに行くんだから!
…この時の私は、そう楽観的に思っていた。
彼女たちが来てから数週間後、教会を抜け出し城内を歩いていると、王子様を見かけた。声をかけようとすると、そばにモンスター娘の一人…小悪魔?がいた。
「ナディア、聖女の仕事は順調かい?」
「うん、もちろん!」
正直、聖女の仕事なんて毎朝教会でお祈りしたり、被災地での復興に手を貸したりとかいろいろと面倒なのよねぇ。
だから最近教会に来たモンスター娘である天使に仕事全部押しつけてきたの。
天使は光魔法使えるって言ってたし、大丈夫でしょ。それに聖女でヒロインである私の役に立てるんだから光栄に思いなさい。
「それより、久しぶりに会えたから一緒にお茶しませんか?」
「えっと、それは……」
「殿下、締め切りの近い仕事がまだ残っていますのでお急ぎください」
王子様が何故か言いよどんでいると、そばで黙ってた小悪魔が口をはさんできた。
私はあんたじゃなくて王子様に言ってるの!
そう注意してやろうかと思ったら、王子様は私に背を向けた。
「そうだね、行こうか」
「はい」
「え!ちょ、ちょっと!?」
そういうと王子様は小悪魔と一緒に行ってしまった。ヒロインである私を置いて…
「なによ…なによ!」
私は二人がいなくなると地団太を踏んだ。
なんで王子様は私じゃなくてあんな奴の言うことを聞いたの!?私の事を愛してるんじゃないの!?
「絶対許さない…あいつらみんなあの悪役令嬢みたいに追い込んでやるんだから」
親指をかじりながら私は小悪魔と王子様が行った廊下を睨んだ。
…だけどそれは叶わないどころか、私の幸せが崩壊することになるなんて、思いもしなかった。
学園を卒業した私はお城に仕える聖女として、攻略対象の王子様達にチヤホヤされる日々を送っていた。
そんなある日、私が城内を歩いていたら、王子様が見えた。
声をかけようと思って近づいてみると、他にも女がいた。5人だ。しかも人間じゃない。
「王子様、こちらの方々は?」
「やぁナディア、彼女たちは今日、僕らの卒業祝いに献上されたモンスター娘たちだよ」
モンスター娘
それは人間の女のような見た目をしたモンスターのことだ。
普通のモンスターとの違いはその姿だけじゃなく、人の言葉を話せるし、知能も人と同じだと言われている。たしかゲームの設定では遥か昔、勇者が魔王の手から世界を救って以来、人間とモンスターが共存するようになったらしい。最近では人間社会に進出し、人間と共に働くモンスター娘も増えて来てるとか。
「皆父上のお墨付きらしいんだ。これからこの国のために尽くしてくれるようだよ」
「今後ともよろしくお願いします。聖女様」
王子様が紹介してくれると、5人組のリーダーらしきモンスター娘がにっこりとあいさつをしてきた。
「…うん、これからよろしくねぇ?」
全員女なのが気に食わないけど、また悪役令嬢の時みたいにこき使えばいいわよね。
あの女の時みたいに仕事を全部押しつけて、王子様たちとまたデートに行くんだから!
…この時の私は、そう楽観的に思っていた。
彼女たちが来てから数週間後、教会を抜け出し城内を歩いていると、王子様を見かけた。声をかけようとすると、そばにモンスター娘の一人…小悪魔?がいた。
「ナディア、聖女の仕事は順調かい?」
「うん、もちろん!」
正直、聖女の仕事なんて毎朝教会でお祈りしたり、被災地での復興に手を貸したりとかいろいろと面倒なのよねぇ。
だから最近教会に来たモンスター娘である天使に仕事全部押しつけてきたの。
天使は光魔法使えるって言ってたし、大丈夫でしょ。それに聖女でヒロインである私の役に立てるんだから光栄に思いなさい。
「それより、久しぶりに会えたから一緒にお茶しませんか?」
「えっと、それは……」
「殿下、締め切りの近い仕事がまだ残っていますのでお急ぎください」
王子様が何故か言いよどんでいると、そばで黙ってた小悪魔が口をはさんできた。
私はあんたじゃなくて王子様に言ってるの!
そう注意してやろうかと思ったら、王子様は私に背を向けた。
「そうだね、行こうか」
「はい」
「え!ちょ、ちょっと!?」
そういうと王子様は小悪魔と一緒に行ってしまった。ヒロインである私を置いて…
「なによ…なによ!」
私は二人がいなくなると地団太を踏んだ。
なんで王子様は私じゃなくてあんな奴の言うことを聞いたの!?私の事を愛してるんじゃないの!?
「絶対許さない…あいつらみんなあの悪役令嬢みたいに追い込んでやるんだから」
親指をかじりながら私は小悪魔と王子様が行った廊下を睨んだ。
…だけどそれは叶わないどころか、私の幸せが崩壊することになるなんて、思いもしなかった。
25
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢に相応しいエンディング
無色
恋愛
月の光のように美しく気高い、公爵令嬢ルナティア=ミューラー。
ある日彼女は卒業パーティーで、王子アイベックに国外追放を告げられる。
さらには平民上がりの令嬢ナージャと婚約を宣言した。
ナージャはルナティアの悪い評判をアイベックに吹聴し、彼女を貶めたのだ。
だが彼らは愚かにも知らなかった。
ルナティアには、ミューラー家には、貴族の令嬢たちしか知らない裏の顔があるということを。
そして、待ち受けるエンディングを。
ナイスミドルな国王に生まれ変わったことを利用してヒロインを成敗する
ぴぴみ
恋愛
少し前まで普通のアラサーOLだった莉乃。ある時目を覚ますとなんだか身体が重いことに気がついて…。声は低いバリトン。鏡に写るはナイスミドルなおじ様。
皆畏れるような眼差しで私を陛下と呼ぶ。
ヒロインが悪役令嬢からの被害を訴える。元女として前世の記憶持ちとしてこの状況違和感しかないのですが…。
なんとか成敗してみたい。
悪役令嬢の慟哭
浜柔
ファンタジー
前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。
だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。
※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。
※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。
「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。
「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。
この悪役令嬢には悪さは無理です!みんなで保護しましょう!
naturalsoft
恋愛
フレイムハート公爵家令嬢、シオン・クロス・フレイムハートは父に似て目付きが鋭くつり目で、金髪のサラサラヘアーのその見た目は、いかにもプライドの高そうな高飛車な令嬢だが、本当は気が弱く、すぐ涙目でアワアワする令嬢。
そのギャップ萌えでみんなを悶えさせるお話。
シオンの受難は続く。
ちょっと暇潰しに書いたのでサラッと読んで頂ければと思います。
あんまり悪役令嬢は関係ないです。見た目のみ想像して頂けたらと思います。
もしもヒロインが生粋の貴族であったなら!(by転生悪役令嬢より
naturalsoft
恋愛
初めまして。いつもお馴染みの【シオン】と申します。今回は久々の悪役令嬢を務めさせて頂きますわ。
最近は、髪の色と同じく頭の中身がピンク色のヒロインばかりなので、一風変わったヒロインをお楽しみ下さいませ~
これが本当の【真】のヒロインの在るべき姿なのですから………
逆ハーレムエンド? 現実を見て下さいませ
朝霞 花純@電子書籍発売中
恋愛
エリザベート・ラガルド公爵令嬢は溜息を吐く。
理由はとある男爵令嬢による逆ハーレム。
逆ハーレムのメンバーは彼女の婚約者のアレックス王太子殿下とその側近一同だ。
エリザベートは男爵令嬢に注意する為に逆ハーレムの元へ向かう。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる