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第八話・乗り換えよう。
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※ナタリー独白
『約束よ』
『二人で歴史に名を残すような、すっごい冒険者になるの!』
『そしたら…結婚しましょう!』
幼いころ、ロイドと交わした約束
子供同士の、まるでお遊びみたいな誓いだったけれど、私にとってはそれがここまでこられた心の支えだった。
私たちが大きくなって村を出て、初めて冒険者の街にやってきた感動は今でも覚えている。
あの時私は「あまりキョロキョロしちゃダメよ、田舎者だって笑われちゃうから」ってロイドを注意してたけど、実をいうと私もワクワクしていた。
そうしてギルドに冒険者登録をして、この街の領主様に挨拶に行った。ギルドに登録した冒険者は身分関係なく領主様に挨拶に行く決まりらしい。
領主様に挨拶を終えて、私たちは試験を受けることになった。登録しただけでは冒険者にはなれず、その試験に合格して、初めて冒険者として認められる。
私とロイドはその試験を受け、合格した。これで私たちの夢に一歩近づけたんだって思うとうれしくなって、ついロイドに抱き着いてしまった。
それからギルドで報告すると、領主様がお祝いの食事会を開いてくれると受付の人から連絡を受けたから屋敷へ行って、泊めてもらうことになった。
思えば、それが全ての始まりだった。
食事会が済んでロイドと別々の部屋で寝ることになったから、私はメイドさんに用意してくれたらしい部屋へ案内してもらった。そうして連れてこられたのが…領主様の寝室だった。
メイドさんにはカギを掛けられ、私は訳も分からず領主様の前に連れてこられる。
そして…領主様に、私の身体を差し出せと命令された。
最初はもちろん断った。歳がだいぶ離れているおじさんとこんなことをするなんて死んでも嫌だし、初めてはロイドとがよかったから。
だけど断れば私だけじゃなくてロイドの冒険者資格をはく奪されて、しかも領主様お抱えの女冒険者たちに命じて命を奪うなんて脅されてしまってどうしようもなかった。
こうして…ロイドに捧げるはずだった私の初めては、無残にも散らされてしまった。
それからというもの、普段はロイドと一緒に冒険して、呼び出しがあれば領主様に体を使って奉仕する日々が始まった。
正直に言えば、ロイドに隠しごとをしながら笑ってごまかす日々は辛かったし、好きでもない人とこんなことするのは嫌だった。
だけどそんな日々も徐々に変わっていく。
冒険を繰り返すうちに仲間になったキャロやミモザも、仲間になったその日に領主様に呼び出された。
何をされたのかは簡単に想像できた。そして彼女たちも領主様に呼び出される日が増えてきた。
二人のどちらかが呼び出されるたびに、呼ばれなかったことに残念がる自分がいることに戸惑った。
違う、心がざわつくのは領主様に抱いてもらえないからじゃなくて、二人が大切な仲間だから心配なだけ。
そう言い聞かせ、揺らいでいく自分の心を見て見ぬふりをしてきた。
そして過ごしていくうちに邪教に遭遇して、奴らの襲撃を何度も退け、その功績でS級冒険者となったその日の夜。
私はロイドに告白された。
嬉しかった。彼もずっと同じ気持ちだったことが…そう、嬉しかったはずなのに…
告白されて、私たちは宿屋で、二人きりになった。
初めては領主様に奪われたけど、心はずっとロイドのものだから…
だけど…初めて見るロイドのものの大きさは、領主様のものと比べものにならなかった。
それを見た瞬間、私の中で何かが冷めていくのを感じだけど、きっと体を重ねればそんなこと気にならなくなると思い、始めた。
結果は…何も、感じなかった。いつも入れてもらっている領主様のものなら届く場所でも、ロイドのは全然届いていない。
もっと奥に入れてって言おうか迷っている間にロイドは達してしまい、そのまま眠ってしまった。
ようやく好きな人と結ばれたのに、初めて彼と肌を重ねたのに、私の心と体は満たされずモヤモヤとしたものだけが残る。
気が付けば私は、眠っているロイドを残して領主様の元へ行っていて…抱いてもらった。その瞬間、中途半端に熱の残った私の身体が、心が満たされていくのを感じた。
自分の意思で領主様の元へ行くのはこれが初めての事だった。これはロイドへの裏切り、それは分かっているのだけれど…
私は思い知ったのだ。ロイドと結ばれて、領主様の雄としての素晴らしさを!
もはやロイドへの恋心も、かつて共に立派な冒険者になったら結婚しようという幼いころの約束も、全てが色褪せていた。
約束なんて儚いもの。ロイドと共に歩む未来よりも、領主様…いえ、ご主人様に全てを捧げる今に私の幸せはあったのだ。
その日から私の身も心も、領主様のものとなったのだった。
キャロもミモザも、気が付けば心身ともに領主様に溺れていき、私たちは競い合うように奉仕した。
月日は経ち、邪教の討伐が成された後、領主様がお祝いにと私たち全員に種付けをしてくださるということで三人とも部屋に呼び出された。
私たちが大喜びで領主様のものを受け入れていたその時、とうとうロイドに見つかってしまったのだ。
ロイドってばよぉーく見ないと分からないくらいちっさいものを勃起させていたから笑っちゃった。
だけどそんな彼でも私たちの大事な仲間なのだからなにか褒美を取らせようと、領主様とのラブラブセックスを見せつけた。
気が付いたらロイドはいなくなっていた。
追いかけた方がいいのかもだけど私たちは追わなかった。どうせその内戻ってくるだろうと思ったから。
そんなことより、今は大事な時期だ。
この屋敷には領主様に相手をしてもらおうと手柄を立てる有名な女冒険者たちが多く在籍しているから、今は領主様との夜の争奪戦となっている。
現在、王国を乗っ取るために、崩壊した邪教徒のアジトから回収した悪魔の魔石を手に、私たちは強化されている。
王国を乗っ取るなんて普通では考えられないけれど、手柄を多くとった者には褒美が待ってるって言うんだから頑張らなきゃ!
そのためにも、可哀そうだけど王国の人たちには犠牲になってもらいましょう。大丈夫、私たち含めてここにいる女冒険者たちは皆実力者ぞろいなんだから!
決意を固め、準備をしていたその時だった。
「セルド・ゴルドニア!貴様を国家転覆の疑いで拘束する!」
ロイドと、いつか前にクエストを共にした女冒険者のフィアと、見覚えのある男たち3人と
王国騎士団が、領主様の屋敷を襲撃しに来たのは…
『約束よ』
『二人で歴史に名を残すような、すっごい冒険者になるの!』
『そしたら…結婚しましょう!』
幼いころ、ロイドと交わした約束
子供同士の、まるでお遊びみたいな誓いだったけれど、私にとってはそれがここまでこられた心の支えだった。
私たちが大きくなって村を出て、初めて冒険者の街にやってきた感動は今でも覚えている。
あの時私は「あまりキョロキョロしちゃダメよ、田舎者だって笑われちゃうから」ってロイドを注意してたけど、実をいうと私もワクワクしていた。
そうしてギルドに冒険者登録をして、この街の領主様に挨拶に行った。ギルドに登録した冒険者は身分関係なく領主様に挨拶に行く決まりらしい。
領主様に挨拶を終えて、私たちは試験を受けることになった。登録しただけでは冒険者にはなれず、その試験に合格して、初めて冒険者として認められる。
私とロイドはその試験を受け、合格した。これで私たちの夢に一歩近づけたんだって思うとうれしくなって、ついロイドに抱き着いてしまった。
それからギルドで報告すると、領主様がお祝いの食事会を開いてくれると受付の人から連絡を受けたから屋敷へ行って、泊めてもらうことになった。
思えば、それが全ての始まりだった。
食事会が済んでロイドと別々の部屋で寝ることになったから、私はメイドさんに用意してくれたらしい部屋へ案内してもらった。そうして連れてこられたのが…領主様の寝室だった。
メイドさんにはカギを掛けられ、私は訳も分からず領主様の前に連れてこられる。
そして…領主様に、私の身体を差し出せと命令された。
最初はもちろん断った。歳がだいぶ離れているおじさんとこんなことをするなんて死んでも嫌だし、初めてはロイドとがよかったから。
だけど断れば私だけじゃなくてロイドの冒険者資格をはく奪されて、しかも領主様お抱えの女冒険者たちに命じて命を奪うなんて脅されてしまってどうしようもなかった。
こうして…ロイドに捧げるはずだった私の初めては、無残にも散らされてしまった。
それからというもの、普段はロイドと一緒に冒険して、呼び出しがあれば領主様に体を使って奉仕する日々が始まった。
正直に言えば、ロイドに隠しごとをしながら笑ってごまかす日々は辛かったし、好きでもない人とこんなことするのは嫌だった。
だけどそんな日々も徐々に変わっていく。
冒険を繰り返すうちに仲間になったキャロやミモザも、仲間になったその日に領主様に呼び出された。
何をされたのかは簡単に想像できた。そして彼女たちも領主様に呼び出される日が増えてきた。
二人のどちらかが呼び出されるたびに、呼ばれなかったことに残念がる自分がいることに戸惑った。
違う、心がざわつくのは領主様に抱いてもらえないからじゃなくて、二人が大切な仲間だから心配なだけ。
そう言い聞かせ、揺らいでいく自分の心を見て見ぬふりをしてきた。
そして過ごしていくうちに邪教に遭遇して、奴らの襲撃を何度も退け、その功績でS級冒険者となったその日の夜。
私はロイドに告白された。
嬉しかった。彼もずっと同じ気持ちだったことが…そう、嬉しかったはずなのに…
告白されて、私たちは宿屋で、二人きりになった。
初めては領主様に奪われたけど、心はずっとロイドのものだから…
だけど…初めて見るロイドのものの大きさは、領主様のものと比べものにならなかった。
それを見た瞬間、私の中で何かが冷めていくのを感じだけど、きっと体を重ねればそんなこと気にならなくなると思い、始めた。
結果は…何も、感じなかった。いつも入れてもらっている領主様のものなら届く場所でも、ロイドのは全然届いていない。
もっと奥に入れてって言おうか迷っている間にロイドは達してしまい、そのまま眠ってしまった。
ようやく好きな人と結ばれたのに、初めて彼と肌を重ねたのに、私の心と体は満たされずモヤモヤとしたものだけが残る。
気が付けば私は、眠っているロイドを残して領主様の元へ行っていて…抱いてもらった。その瞬間、中途半端に熱の残った私の身体が、心が満たされていくのを感じた。
自分の意思で領主様の元へ行くのはこれが初めての事だった。これはロイドへの裏切り、それは分かっているのだけれど…
私は思い知ったのだ。ロイドと結ばれて、領主様の雄としての素晴らしさを!
もはやロイドへの恋心も、かつて共に立派な冒険者になったら結婚しようという幼いころの約束も、全てが色褪せていた。
約束なんて儚いもの。ロイドと共に歩む未来よりも、領主様…いえ、ご主人様に全てを捧げる今に私の幸せはあったのだ。
その日から私の身も心も、領主様のものとなったのだった。
キャロもミモザも、気が付けば心身ともに領主様に溺れていき、私たちは競い合うように奉仕した。
月日は経ち、邪教の討伐が成された後、領主様がお祝いにと私たち全員に種付けをしてくださるということで三人とも部屋に呼び出された。
私たちが大喜びで領主様のものを受け入れていたその時、とうとうロイドに見つかってしまったのだ。
ロイドってばよぉーく見ないと分からないくらいちっさいものを勃起させていたから笑っちゃった。
だけどそんな彼でも私たちの大事な仲間なのだからなにか褒美を取らせようと、領主様とのラブラブセックスを見せつけた。
気が付いたらロイドはいなくなっていた。
追いかけた方がいいのかもだけど私たちは追わなかった。どうせその内戻ってくるだろうと思ったから。
そんなことより、今は大事な時期だ。
この屋敷には領主様に相手をしてもらおうと手柄を立てる有名な女冒険者たちが多く在籍しているから、今は領主様との夜の争奪戦となっている。
現在、王国を乗っ取るために、崩壊した邪教徒のアジトから回収した悪魔の魔石を手に、私たちは強化されている。
王国を乗っ取るなんて普通では考えられないけれど、手柄を多くとった者には褒美が待ってるって言うんだから頑張らなきゃ!
そのためにも、可哀そうだけど王国の人たちには犠牲になってもらいましょう。大丈夫、私たち含めてここにいる女冒険者たちは皆実力者ぞろいなんだから!
決意を固め、準備をしていたその時だった。
「セルド・ゴルドニア!貴様を国家転覆の疑いで拘束する!」
ロイドと、いつか前にクエストを共にした女冒険者のフィアと、見覚えのある男たち3人と
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