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繊細な悪党
繊細な悪党8印
しおりを挟む「それは、詳しくは、まだ情報があまりなくてね」
なんだ本人も知らんのか…。
俺が呆れた目でもしたのかクリュアが焦る。
「いいものを見せてあげるよ。ほら」
「…入れ墨?」
クリュアが左腕をまくって腕を見せた。赤いなんかの模様が腕をぐるぐる巻いている。
「違うよ。これは呼ぶ人の印だ。神を表す文様なんだ」
「へー…、これ、生まれた頃から?」
「も、もちろん。小さい頃はこの意味が分からなかったけど、呼ぶ人の印だと知ってここに来たんだ」
「知ってここに?」
「呼ぶ人は国の為に行動をしないといけないからね。王都に近いここに来たんだ」
「ふーん」
それから呼ぶ人について話を聞いたが、曖昧なものばかりだった。
それからお茶会を始めるというクリュアの提案を丁重に断ったリンメルはクルクの部屋へとやってきた。
クルクは突然の訪問に驚きつつも嬉しそうに迎え入れる。
「どうしたの? 分からないところがある? あ、今日もプルフ焼き作ったんだ。前においしいって言ってたから」
「ホントか? くうくう。つか言われると腹減ったな」
「そうなの? じゃあ簡単なものだけど、食事してく?」
「おー、頼む」
クルクに会いに来た理由を忘れて食べ物に食いついたリンメル。そのままクルクと食事を堪能する。
「ふー。満足」
「よかった。じゃあ、お茶とプルフ焼き用意するね」
「んー」
少し眠くなりつつ、しっかりお菓子を食うリンメル。
「それで、なにか用事?」
「あ? ああ、そうだ! お前に聞きたいっつーか、見せてもらいたいんだけど」
「え、なに、わ」
クルクの了承をとることなくリンメルはクルクの腕をまくる。そこには、腕をぐるぐると巻く赤い模様があった。
クリュアのものより遙かに繊細で美しい。蔦と花の模様のようで、リンメルは知らないが、とある神をしめす文様である。
クルクは慌ててそれを隠す。
「ど、どうしたの?」
とても小さい頃に模様のことでからかわれたことが多かったクルクは現在は隠している。
「それってさあ、孤児院に来た最初からあるんだよな?」
「そうだよ。リンメルは一緒に育ったんだから、知ってるでしょ?」
「まあな。それってなんであるか知ってるか?」
「なんでって言われても…。前はなにかの意味で両親が描いたのかなって思ってたけど、身体が大きくになるにつれ模様が変わってるから、変な痣なのかなって思ってるよ。だいぶ変だけど」
「そっか。じゃ、帰るわ。メシはうまかった」
「え、ありがと。え?」
リンメルが何をしにきたのか、クルクは結局分からないままだった。
自分の部屋に帰る間、リンメルは考える。
クルクの腕にある模様の理由を。
「あれ? え、おっちゃん?」
寮の中で風紀に捕まっている不審者がいると思っていたら、あの池で会うおっちゃんだった。顔は見えないが体格とかで分かった。
「お前の知り合いか?」
「うげ、風紀委員長なんでこんなとこにいんだよ。寮だぞ、ここ」
リンメルにはとても苦手な風紀。しかも委員長なんて絶対仲良くなりたくない。風紀は乱してこそだ。
「用があっただけだ。それより知り合いなのか? 何も言わないから、警備の者に渡そうと思ってたんだが」
「ああ、知り合い。親戚のおっちゃん。きっと俺に会いにきて迷ったんだな」
さらっと嘘をついた。
「そうか。それならちゃんとそういう場所があるだろ。今後はそうするように」
「分かった。おっちゃんは俺が迷わないように案内するから委員長は帰っていいよ。それか用をすませなよ」
「わかった。ちゃんと案内しろよ」
「はいはーい」
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