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繊細な悪党
繊細な悪党9英雄はかっけー
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リンメルを信用してなさそうながらも風紀委員長のグランドは離れていく。しっかりいなくなったのを確認してリンメルはおっちゃんを見た。
「どうしてここに来たんだよ。あ、仕事探しに来た? うーん、あったか? まあ、広いし、どっかにはあるんじゃないか? 頑張れ」
遠慮なくおっちゃんの背をばしばし叩いて励ます。
リンメルの中ではおっちゃんは仕事が見つからなくて釣りするしかない人ということになっている。
布をかぶってる男をおっちゃんと分かったリンメルだが、布で半分顔が隠れているが、半分は見えていて、肌の状態から若いということくらい分かりそうなものだが、思いこみで気づかない。
「そうだ! おっちゃん。さっきさあ、呼ぶ奴ってのから腕の模様見せてもらったんだけど、それに似ててそれより上等の模様持ってる奴がいたんだよな。それも、俺が昔から知ってる奴が。どういうことだと思う? これってさあ、もしかしたら、クリュアは偽物で、クルクが本物なんじゃないか? それってすごい事実だよな! これはいい金もらえるかな。俺頑張ったからじゃね? さっそく報告に言ってくる!」
自分のすごさを話たかったリンメルはおっちゃんに話せて満足する。他言してはいけないと分かっていても、おっちゃんは別な気がするのだ。
ぶんぶん手を振って報告に向かう。
去るリンメルの背を見ておっちゃんは苦笑い。
「会う度いい情報くれるって運命なのかな。お馬鹿と運命が同じって微妙なんだけど。でも会ったんだものなあ。偶然にしても…」
クルクという存在の話は初めて聞いた。クリュアという、あんな嫌な人間が呼ぶ人なんて神は悪趣味だと思っていたが、そうではなかったらしい。
その情報をどうするか。向こう側が知ったならどう動くか。宮廷に報告の前に自分で動くかとウィンレイは歩き出す。
すぐにおっちゃんだと気づいたリンメルのことを思いだし、無意識に口角が上がっていた。
雇い主に報告すれば、無表情でよくやったと言われ褒美はなかった。
リンメルが不満を顔に出せば、成功のあかつきにはいくらでも褒美があるということで納得する。
今後はクリュアとクルクの2人の様子を見るように言われた。
クルクとはすでに交流があるので問題はない。
問題は別にあった。
「試験…だと?」
「そうだよ。これまでの実力を知るいい機会だね。…まあ、他の人にしめす為にもあるから…。頑張ろうね!」
リンメルがよい成績でないと上位学部でいられないのだと思いこんでいるクルクは励ます。
「無理だ。試験という奴でいい成績をとった記憶がない」
「僕も手伝うから頑張ろう。ね」
「ううう…」
学校で学んでいればやってくるのが試験であるが、リンメルには頭が痛い。
やる気が微塵も出てこない。
クルクに引っ張られながら歩くリンメルがやってきたのは、第2校舎の片隅である。
「図書室だと…」
「勉強するには静かでいいよ。とくにここはオススメで、人がほとんど来ないんだ」
クルクの言うように廊下に他の生徒はいなく、中にも1人もいない。試験間近だというのに少ないのは、他に新しい図書室があるのと、夜中に魔物が出るという噂があるからだ。来たばかりのリンメルは知らないが。
「うえー。やっぱ図書室って暗いしじめじめしてそうだし、本いっぱいあるし」
ただの偏見である。寂れていた時もあったが、今はクルクが手入れしているのでそこらの部屋より整然として清潔である。
クルクは苦笑しながらリンメルを席に案内した。
「でも静かだし、他に人がいないから気が楽だよ?」
「それはつまり静かにしなさいと、睨んできやがる眼鏡とかいないわけだな。それならマシだ」
「まあ、そういうことだね。じゃあ、分からないところどこかな」
「全部。つか試験ってどんな感じなんだ」
「えーと、リンメルはとくに歴史が苦手だったよね。それから勉強しようか」
「歴史なんて意味わからん。昔のじじいの話なんて聞いてどうなる」
「ええー、じじいって…。面白いよ? そうだなあ。この国の建国者のハルシュトの話をしようか? すごい人なんだよ」
意味が分からん歴史の話にリンメルは苦虫を噛み潰したような顔になりながらも勉強かと真面目が発動して話を聞く。
そんな状態だったが、クルクによってじょじょに変化する。
「それでっ、それでハシュはどうなったんだよ!」
建国の英雄を愛称呼びで話の先を促すほどになった。クルクの話は固い教師のような何年に何があったなどの話でなく、物語として面白かったのだ。
「どうしてここに来たんだよ。あ、仕事探しに来た? うーん、あったか? まあ、広いし、どっかにはあるんじゃないか? 頑張れ」
遠慮なくおっちゃんの背をばしばし叩いて励ます。
リンメルの中ではおっちゃんは仕事が見つからなくて釣りするしかない人ということになっている。
布をかぶってる男をおっちゃんと分かったリンメルだが、布で半分顔が隠れているが、半分は見えていて、肌の状態から若いということくらい分かりそうなものだが、思いこみで気づかない。
「そうだ! おっちゃん。さっきさあ、呼ぶ奴ってのから腕の模様見せてもらったんだけど、それに似ててそれより上等の模様持ってる奴がいたんだよな。それも、俺が昔から知ってる奴が。どういうことだと思う? これってさあ、もしかしたら、クリュアは偽物で、クルクが本物なんじゃないか? それってすごい事実だよな! これはいい金もらえるかな。俺頑張ったからじゃね? さっそく報告に言ってくる!」
自分のすごさを話たかったリンメルはおっちゃんに話せて満足する。他言してはいけないと分かっていても、おっちゃんは別な気がするのだ。
ぶんぶん手を振って報告に向かう。
去るリンメルの背を見ておっちゃんは苦笑い。
「会う度いい情報くれるって運命なのかな。お馬鹿と運命が同じって微妙なんだけど。でも会ったんだものなあ。偶然にしても…」
クルクという存在の話は初めて聞いた。クリュアという、あんな嫌な人間が呼ぶ人なんて神は悪趣味だと思っていたが、そうではなかったらしい。
その情報をどうするか。向こう側が知ったならどう動くか。宮廷に報告の前に自分で動くかとウィンレイは歩き出す。
すぐにおっちゃんだと気づいたリンメルのことを思いだし、無意識に口角が上がっていた。
雇い主に報告すれば、無表情でよくやったと言われ褒美はなかった。
リンメルが不満を顔に出せば、成功のあかつきにはいくらでも褒美があるということで納得する。
今後はクリュアとクルクの2人の様子を見るように言われた。
クルクとはすでに交流があるので問題はない。
問題は別にあった。
「試験…だと?」
「そうだよ。これまでの実力を知るいい機会だね。…まあ、他の人にしめす為にもあるから…。頑張ろうね!」
リンメルがよい成績でないと上位学部でいられないのだと思いこんでいるクルクは励ます。
「無理だ。試験という奴でいい成績をとった記憶がない」
「僕も手伝うから頑張ろう。ね」
「ううう…」
学校で学んでいればやってくるのが試験であるが、リンメルには頭が痛い。
やる気が微塵も出てこない。
クルクに引っ張られながら歩くリンメルがやってきたのは、第2校舎の片隅である。
「図書室だと…」
「勉強するには静かでいいよ。とくにここはオススメで、人がほとんど来ないんだ」
クルクの言うように廊下に他の生徒はいなく、中にも1人もいない。試験間近だというのに少ないのは、他に新しい図書室があるのと、夜中に魔物が出るという噂があるからだ。来たばかりのリンメルは知らないが。
「うえー。やっぱ図書室って暗いしじめじめしてそうだし、本いっぱいあるし」
ただの偏見である。寂れていた時もあったが、今はクルクが手入れしているのでそこらの部屋より整然として清潔である。
クルクは苦笑しながらリンメルを席に案内した。
「でも静かだし、他に人がいないから気が楽だよ?」
「それはつまり静かにしなさいと、睨んできやがる眼鏡とかいないわけだな。それならマシだ」
「まあ、そういうことだね。じゃあ、分からないところどこかな」
「全部。つか試験ってどんな感じなんだ」
「えーと、リンメルはとくに歴史が苦手だったよね。それから勉強しようか」
「歴史なんて意味わからん。昔のじじいの話なんて聞いてどうなる」
「ええー、じじいって…。面白いよ? そうだなあ。この国の建国者のハルシュトの話をしようか? すごい人なんだよ」
意味が分からん歴史の話にリンメルは苦虫を噛み潰したような顔になりながらも勉強かと真面目が発動して話を聞く。
そんな状態だったが、クルクによってじょじょに変化する。
「それでっ、それでハシュはどうなったんだよ!」
建国の英雄を愛称呼びで話の先を促すほどになった。クルクの話は固い教師のような何年に何があったなどの話でなく、物語として面白かったのだ。
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