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繊細な悪党
繊細な悪党16自己紹介
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リンメルは部屋を出て驚く。
さらに広い部屋に出たからだ。クリュアの部屋に行ったことあるリンメルだが、そこより広く、無駄そうな装飾や家具はなく、それでいて質の高いものが置いてある。
向かい合って朝食を食べることになった。普通の朝食といった感じなのに、リンメル驚愕のうまさであった。
「さて、まずは自己紹介か」
テーブルの上が片づけられるとウィンレイが話を切り出す。
「あ? ウィンレイだろ。おっちゃんの代わりの」
「そうだけど。…それだけで納得なわけ?」
「む?…いや、納得してない」
名前とおっちゃんとの知り合いということ以外に重要なことがないリンメルだったが、納得かと言われるとしてないと言いたくなった。
「はいはい。俺は魔術師なんだけど、それは知ってる?」
「そんなの魔術使ったの見てたし分かってる」
言われて納得。ウィンレイが使っていた不思議な現象が魔術だったのかと。
「…そう? それで俺は、国の魔術師団の団長ってのなんだ」
「へー…。偉い奴ってことか?」
さすがに本人は言わないが、若き天才魔術師として他国にも知られているのが、ウィンレイである。
「そうなるけど、俺は好きじゃないんだ。仕事面倒で。俺を団長にした連中は無能でいつも頼ってくるのに嫌みばっかり言ってくるんだよねー」
本人がなる気のなかった団長にされてしまった原因は力を利用というのもあるが、その能力が恐れられたせいだ。
「上司とかそんなもんじゃねえか? 一番上とかだとそれほどじゃねえけど」
悪い集団に関わっていたので、上司が最悪だったこともある。そしてトップはわりとまともだと聞かされていた。さらに余所の集団のトップ最悪という噂も聞いてはいる。しかし上司最悪のほうがよく耳にしていて体験していることだ。
「リンメルが分かったようなこと言ってる! たしかにそうだけど」
「ああん?」
失礼なことを多く言うウィンレイの見た目は典型的優男で、リンメルの嫌いなタイプなわけで、おっちゃんの知り合いでなければ殴ってる。
「自己紹介はこんなもんでいいか。で、リンメルの処遇なんだけど」
「は? 処遇ってなんだよ」
「グランドがすごいお怒りだったろ? 国にとって敵側にいた自覚ある?」
「…国相手だったのか?」
まだ全容を理解していないよリンメル。
「考えれば分かると思うけど。で、君を雇った人は反逆罪。もしくは世界を脅かした大罪人扱いになるかもしれない。国がどこまで隠蔽するかによるけど。それをリンメルは手伝った立場になるわけだ」
「そんなつもりは…」
「そんなの関係ないさ。悪いことしてると知ってたし」
「俺、どうなるんだ?」
やっと少し理解したリンメルは顔を青ざめさせる。
「普通だとけっこう罪重くなるけど、リンメルは重要情報を提供したって功績もあるから、差し引きされるだろう」
本人は情報提供した意志はないが、貢献したのは確かで、しかもウィンレイは分かっててリンメルを放置していたのだ。ウィンレイの方針でとなれば咎めにくい。
「それは大丈夫ってこと?」
「そうなるけど、ただ、俺のとこで保護することが条件になった」
「はあ? なんだよそれ」
保護の話は完全に嘘である。昨日すぐに学校から離れて寝てたのにそんな話し合いする間はない。後でそういうことにする気だ。
「犯罪者を無罪放免とはいかないだろ。それとも牢屋に入りたい?」
「う…。だけど、お前んとこでも牢屋と似たようなものじゃないか?」
「ここで住むってだけだよ? それ以外は自由だ。それとおっちゃんのこともある」
実はおっちゃんは自分でしたと馬鹿リンメルに言っても簡単には信じないだろうと考えたウィンレイは今は言わないことにする。
「おっちゃん?」
「俺はおっちゃんにリンメルのこと頼まれたし、おっちゃんは遠くに行ってるからしばらく会えないそうだし。それに俺が魔術でおっちゃんと連絡とれるよ」
「むむ…。…おっちゃんにちゃんと伝えるか?」
「もちろん」
「むー、まあ、それなら?」
「決まりだね」
うまく話がまとまったが、ウィンレイはいくら自分が騙すのに自信があったとしても、リンメルのあっさり引っかかってることに不安を感じた。
だとしてもこれからはしっかりお守り持たせるから心配ないかという考えに至る。
さらに広い部屋に出たからだ。クリュアの部屋に行ったことあるリンメルだが、そこより広く、無駄そうな装飾や家具はなく、それでいて質の高いものが置いてある。
向かい合って朝食を食べることになった。普通の朝食といった感じなのに、リンメル驚愕のうまさであった。
「さて、まずは自己紹介か」
テーブルの上が片づけられるとウィンレイが話を切り出す。
「あ? ウィンレイだろ。おっちゃんの代わりの」
「そうだけど。…それだけで納得なわけ?」
「む?…いや、納得してない」
名前とおっちゃんとの知り合いということ以外に重要なことがないリンメルだったが、納得かと言われるとしてないと言いたくなった。
「はいはい。俺は魔術師なんだけど、それは知ってる?」
「そんなの魔術使ったの見てたし分かってる」
言われて納得。ウィンレイが使っていた不思議な現象が魔術だったのかと。
「…そう? それで俺は、国の魔術師団の団長ってのなんだ」
「へー…。偉い奴ってことか?」
さすがに本人は言わないが、若き天才魔術師として他国にも知られているのが、ウィンレイである。
「そうなるけど、俺は好きじゃないんだ。仕事面倒で。俺を団長にした連中は無能でいつも頼ってくるのに嫌みばっかり言ってくるんだよねー」
本人がなる気のなかった団長にされてしまった原因は力を利用というのもあるが、その能力が恐れられたせいだ。
「上司とかそんなもんじゃねえか? 一番上とかだとそれほどじゃねえけど」
悪い集団に関わっていたので、上司が最悪だったこともある。そしてトップはわりとまともだと聞かされていた。さらに余所の集団のトップ最悪という噂も聞いてはいる。しかし上司最悪のほうがよく耳にしていて体験していることだ。
「リンメルが分かったようなこと言ってる! たしかにそうだけど」
「ああん?」
失礼なことを多く言うウィンレイの見た目は典型的優男で、リンメルの嫌いなタイプなわけで、おっちゃんの知り合いでなければ殴ってる。
「自己紹介はこんなもんでいいか。で、リンメルの処遇なんだけど」
「は? 処遇ってなんだよ」
「グランドがすごいお怒りだったろ? 国にとって敵側にいた自覚ある?」
「…国相手だったのか?」
まだ全容を理解していないよリンメル。
「考えれば分かると思うけど。で、君を雇った人は反逆罪。もしくは世界を脅かした大罪人扱いになるかもしれない。国がどこまで隠蔽するかによるけど。それをリンメルは手伝った立場になるわけだ」
「そんなつもりは…」
「そんなの関係ないさ。悪いことしてると知ってたし」
「俺、どうなるんだ?」
やっと少し理解したリンメルは顔を青ざめさせる。
「普通だとけっこう罪重くなるけど、リンメルは重要情報を提供したって功績もあるから、差し引きされるだろう」
本人は情報提供した意志はないが、貢献したのは確かで、しかもウィンレイは分かっててリンメルを放置していたのだ。ウィンレイの方針でとなれば咎めにくい。
「それは大丈夫ってこと?」
「そうなるけど、ただ、俺のとこで保護することが条件になった」
「はあ? なんだよそれ」
保護の話は完全に嘘である。昨日すぐに学校から離れて寝てたのにそんな話し合いする間はない。後でそういうことにする気だ。
「犯罪者を無罪放免とはいかないだろ。それとも牢屋に入りたい?」
「う…。だけど、お前んとこでも牢屋と似たようなものじゃないか?」
「ここで住むってだけだよ? それ以外は自由だ。それとおっちゃんのこともある」
実はおっちゃんは自分でしたと馬鹿リンメルに言っても簡単には信じないだろうと考えたウィンレイは今は言わないことにする。
「おっちゃん?」
「俺はおっちゃんにリンメルのこと頼まれたし、おっちゃんは遠くに行ってるからしばらく会えないそうだし。それに俺が魔術でおっちゃんと連絡とれるよ」
「むむ…。…おっちゃんにちゃんと伝えるか?」
「もちろん」
「むー、まあ、それなら?」
「決まりだね」
うまく話がまとまったが、ウィンレイはいくら自分が騙すのに自信があったとしても、リンメルのあっさり引っかかってることに不安を感じた。
だとしてもこれからはしっかりお守り持たせるから心配ないかという考えに至る。
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