繊細な悪党

はるば草花

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呼ぶ人

呼ぶ人17まとめ

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「セルツァー! 無事か…!」

「クランドか…。こっちは終わったが、そっちはどうだ?」


セルツァーが通った通路とは別の入り口の扉を壊して中に入ってきたのは、風紀委員長のグランドだ。


「ああ、こっちも問題ない。まだ完全に敵を捕獲できたかは分からないが、騎士団の方達も来ていただけたし、後で警備兵も来るだろう」

「そうか。安心はできないが、一番重要な呼ぶ人が意識を失っているし、こちらの手の中だ。さらに大きな問題が起きることはないだろうな」

「やはりクルクが呼ぶ人か…。ウィンレイ様の話によると学校には加護がかけられているので大事にはならないと言っていた」

「おおー。さすが。普通は加護なんて気休めだと思うんだが、あの人のなら効果ありそうだ。そういえば、黒い塊が幻獣に変わっていたが、ウィンレイ様の力でか」

「そうみたいだな…」

「なんだ? 機嫌悪いな。うまくいったろ。あー、とにかく、落ち着いたといってもやることはたくさんあるな」


セルツァーはクルクを抱え立ち上がる。生徒会長として、混乱しているだろう学校を立て直す必要がある。

歩き出すセルツァーにシェンがついてくる。

外に出て、すぐにクルクを安全な場所に連れていきたい衝動を抑え、生徒会などの仲間に指示を出す。その間クルクはずっと抱えている。

普段なら人気の生徒会長が平凡な生徒を抱えてるなんて…!と批判されそうなものであるが、今は混乱の中でそのことを気にする者はいなかった。

簡単な指示の後、さらに指示する為と安全な場所にクルクを連れていきたいので、生徒会室へと戻ることにした。


生徒会室は貴族の力でとても豪華に作ってあり、隣接する部屋には仮眠の為の寝台が置かれていて、そこにクルクを寝かせる。

横になるクルクの隣にシェンが座った。


「シェン。クルクを見ててくれな。怪我はなさそうだが、苦しんでいたら俺を呼べよ?」


セルツァーの言葉にシェンは頷き、安心したセルツァーは執務室へと戻って指示を出す。


「グランド。情報をまとめるぞ」

「ああ。敵と一部の関係者以外の学校の人間が無事なのは確認された。怪我をした者はいるが、なんとか大丈夫そうだ。早く学校を取り戻せてよかった」

「そうだな。その敵は?」

「だいたい捕まえたと思うが、どれだけいるか、はっきりしない」

「悪い。バルドを逃がしたせいだな」


学校での主導者であるバルドはセルツァーが生徒会室を出てすぐに逃げてしまった。


「いや、あの状況じゃしかたない。終わったことだし、これから捕まえる。状況から考えて今は逃げてるか隠れているだろうし、後で考えよう」

「そうだな。警備兵も多く来たし、学校の安全はひとまず確保されたろう。今後のことだが、まずは起きたことをまとめたい。俺はウィンレイ様のおかげでクルクの場所が分かって、おかしなことになっている魔法陣を鎮めることができた」

「…そうか…。その、ウィンレイ様なんだが」

「なんだ? ウィンレイ様がなにかあるのか?」

「…今回の敵側であるリンメルの罪をなしにしろといい、混乱途中でいなくなられた」


思い出したのか、グランドの顔は怖いことになっている。よく知ってるセルツァーは怯えることはないが。


「あれだけのことをされたんだから、十分だろう。あの男のことも、確かに腹は立つが、初めから言われていたことだ。おそらく、姿を消したのは力を使いすぎたせいじゃないのか? あれだけのことを1人でされたのだからな。そもそもありえないくらいのことをやっているんじゃないか?」

「力が…。そうか、そういうことか」


途中で消えたことが、力がなくなったからだと知ったグランドは落ち着いてきた。他のこともセルツァーの言うとおりで、もとから分かってはいた。頼らなければいけない自分に腹が立っていたのかもしれない。


「そういうことだ。詳しいことは他の者にも事情を聞く必要があるが、計画を阻止できたとはいえ、まだ脅威は残る。どうしたものか…。そういえば、偽物のクリュアはどうした?」

「怯えて建物の隅に隠れていたのを確保した。まだまともに話を聞ける状態じゃないな」

「チッ。当事者だってのに使えねえ。話はともかく、今後どうしてくれるか…」

「犯罪者として扱うには秘密が多いし、そっちが対処してくれ」

「分かってる。とにかく確保しといてくれ。俺に情報を渡してきた奴にどうにかしてもらう」


クルクを危険にさらしたクリュアをセルツァーは許せないでいた。おそらく、秘密の犯罪者としての扱いとなるだろう。適当な犯罪者にすることも可能だが、秘密を知りすぎていて、うっかり誰かに喋るかもしれないからだ。

クリュアの先がどうなるか、グランドは考えないことにした。いずれ騎士団員として裏のことを知る立場になるのだとしても。
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