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呼ぶ人
呼ぶ人18体力回復
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夜になって目を覚ましたクルク。
「ここ、は…。あ、シェン」
見知らぬ場所に戸惑ったクルクだったが、シェンの姿を見て昼間に起きたことを思い出す。
「お。起きたか。身体はどうだ?」
「セルツァー…。大丈夫です」
ちょうど様子を見に来たセルツァーがクルクに声をかけた。セルツァーとのあれこれを思い出したクルクは頬を赤くする。
「そうか。立てるか?」
「あ、はい。わっ」
「おい。無理すんな」
寝台から立ち上がったクルクであるが、まだ体力が回復しておらず、身体のバランスを崩し、セルツァーが支えた。
「すみません。大丈夫です」
すぐ離れようとしたクルクだったが、やっぱり体力がなくて支えに頼るしかなかった。
「動くのもつらいなら無理せず言ってくれ」
「大丈夫ですよ。少しふらつくだけで」
「十分、大丈夫じゃないだろう…。食欲はあるか? おそらく、魔法陣の発動で力を使ってる。疲れているだろうから、食べて体力つけたほうがいいと思うんだが」
「食欲はとくにないですけど、お腹は空いてるって言ってますね」
「ははっ。なんだそれ。なるほど身体のほうが正直という奴か? 少しだけでも食べるといい」
「はい。ありがとうございます」
ふらつくクルクはセルツァーの支えで部屋から出る。そこは広くて豪華な部屋だった。
「ここは…?」
「俺の部屋。生徒会長専用の部屋で無駄に豪華だろ? これでも無駄な家具ははぶいたんだがな」
指示や話し合いがひとまず終わったセルツァーがクルクをここまで運んだ。
「ええ?! セ、セルツァーの部屋ですか?! あ、あの僕なんかがいていいんですか?」
「お前な…。部屋の主である俺がクルクの了承もえずに連れてきたんだ。問題なんてないだろ。とにかく、ちょうど料理が運ばれてきたところだ。好きなの食え」
「は、はい」
テーブルにはいくつもの料理が並べられていて、どれも美味しそうだ。
クルクは澄んだスープを手にとって口にする。
「美味しい…」
「そうか。好きなだけ食べろ」
「ふふっ。はい」
何故たくさんの料理があるのかと思えば、セルツァーが勢いよく食べていく。セルツァーも朝に食べてからずっと何も食べていなかったからだ。
返事をしたクルクだけども、お腹が騒いでもやっぱりまだ気分がいいとはいえなくて、スープと少しのサラダだけになった。シェンもやってきていて、果物や菓子を食べる。
「ふう。…さて。クルク」
「はい。なんでしょうか?」
ほとんどセルツァーの食べる姿を見ていたクルク。セルツァーが食べ終わって一息ついて話を切り出した。
「あー、その…、思い出したくないだろうが、儀式のことを話してくれないか?」
「儀式…。僕は何も…」
「わかってる。クルクが何も知らないのは。ただ、見たままのことを聞きたい。あの場にいたクリュアはまだ話ができる状態でなくてな」
「そういえば、クリュアはどうしたんですか?」
今までクリュアのことを忘れていたクルクはそのことに恥じる。
「別に怪我はないが、精神的にまいったのか、話をしてくれない」
「怪我がないんですね。よかった。クリュアも騙されたみたいなんです。知らない男の人にあの場所につれてかれて…」
クルクはわかった範囲のことを話す。儀式によって現れた存在が人を飲み込んでいくところは身体が震え、セルツァーがその背を撫でた。
「…嫌なことを思い出させて悪い」
「いえ。大事なことなんですよね? 僕でよければ力になります」
「そうか…。クルク。お前に言っておかなければならないことがある」
平気だと笑みを見せるクルクが、セルツァーには痛々しく見えて顔をしかめるが、逃げても進まないと、クルクに事実を話すことにする。
「なんでしょう?」
「今回の件で重要なのが、呼ぶ人という存在だ。その呼ぶ人が、クルクなんだ」
「それは…」
クルクは得体の知れない存在だと言われたようで、不安になる。
「クルク。言ったろ。そんなこと俺はどうでもいい。クルクはクルクだ。それに別に悪いことじゃない。神に好かれているってだけで、クルクはただのクルクだ」
「神に? そんなすごい人とも思えないですけど、僕がただの僕だって言ってくれるのは嬉しいかな」
「詳しくは専門家に話してもらう。今はとくに気にするな。後でも、気にするな。俺にとってはなんだろうと、クルクはクルクだ」
「はい…。ありがとうございます」
「それで、だ。あの儀式は呼ぶ人を利用して何かを召喚しようとしたらしい。詳しくはまだ分からないが」
「そうだったんですか…」
セルツァーは、クルクが儀式の場にいた時の、学校での出来事を話す。
「ここ、は…。あ、シェン」
見知らぬ場所に戸惑ったクルクだったが、シェンの姿を見て昼間に起きたことを思い出す。
「お。起きたか。身体はどうだ?」
「セルツァー…。大丈夫です」
ちょうど様子を見に来たセルツァーがクルクに声をかけた。セルツァーとのあれこれを思い出したクルクは頬を赤くする。
「そうか。立てるか?」
「あ、はい。わっ」
「おい。無理すんな」
寝台から立ち上がったクルクであるが、まだ体力が回復しておらず、身体のバランスを崩し、セルツァーが支えた。
「すみません。大丈夫です」
すぐ離れようとしたクルクだったが、やっぱり体力がなくて支えに頼るしかなかった。
「動くのもつらいなら無理せず言ってくれ」
「大丈夫ですよ。少しふらつくだけで」
「十分、大丈夫じゃないだろう…。食欲はあるか? おそらく、魔法陣の発動で力を使ってる。疲れているだろうから、食べて体力つけたほうがいいと思うんだが」
「食欲はとくにないですけど、お腹は空いてるって言ってますね」
「ははっ。なんだそれ。なるほど身体のほうが正直という奴か? 少しだけでも食べるといい」
「はい。ありがとうございます」
ふらつくクルクはセルツァーの支えで部屋から出る。そこは広くて豪華な部屋だった。
「ここは…?」
「俺の部屋。生徒会長専用の部屋で無駄に豪華だろ? これでも無駄な家具ははぶいたんだがな」
指示や話し合いがひとまず終わったセルツァーがクルクをここまで運んだ。
「ええ?! セ、セルツァーの部屋ですか?! あ、あの僕なんかがいていいんですか?」
「お前な…。部屋の主である俺がクルクの了承もえずに連れてきたんだ。問題なんてないだろ。とにかく、ちょうど料理が運ばれてきたところだ。好きなの食え」
「は、はい」
テーブルにはいくつもの料理が並べられていて、どれも美味しそうだ。
クルクは澄んだスープを手にとって口にする。
「美味しい…」
「そうか。好きなだけ食べろ」
「ふふっ。はい」
何故たくさんの料理があるのかと思えば、セルツァーが勢いよく食べていく。セルツァーも朝に食べてからずっと何も食べていなかったからだ。
返事をしたクルクだけども、お腹が騒いでもやっぱりまだ気分がいいとはいえなくて、スープと少しのサラダだけになった。シェンもやってきていて、果物や菓子を食べる。
「ふう。…さて。クルク」
「はい。なんでしょうか?」
ほとんどセルツァーの食べる姿を見ていたクルク。セルツァーが食べ終わって一息ついて話を切り出した。
「あー、その…、思い出したくないだろうが、儀式のことを話してくれないか?」
「儀式…。僕は何も…」
「わかってる。クルクが何も知らないのは。ただ、見たままのことを聞きたい。あの場にいたクリュアはまだ話ができる状態でなくてな」
「そういえば、クリュアはどうしたんですか?」
今までクリュアのことを忘れていたクルクはそのことに恥じる。
「別に怪我はないが、精神的にまいったのか、話をしてくれない」
「怪我がないんですね。よかった。クリュアも騙されたみたいなんです。知らない男の人にあの場所につれてかれて…」
クルクはわかった範囲のことを話す。儀式によって現れた存在が人を飲み込んでいくところは身体が震え、セルツァーがその背を撫でた。
「…嫌なことを思い出させて悪い」
「いえ。大事なことなんですよね? 僕でよければ力になります」
「そうか…。クルク。お前に言っておかなければならないことがある」
平気だと笑みを見せるクルクが、セルツァーには痛々しく見えて顔をしかめるが、逃げても進まないと、クルクに事実を話すことにする。
「なんでしょう?」
「今回の件で重要なのが、呼ぶ人という存在だ。その呼ぶ人が、クルクなんだ」
「それは…」
クルクは得体の知れない存在だと言われたようで、不安になる。
「クルク。言ったろ。そんなこと俺はどうでもいい。クルクはクルクだ。それに別に悪いことじゃない。神に好かれているってだけで、クルクはただのクルクだ」
「神に? そんなすごい人とも思えないですけど、僕がただの僕だって言ってくれるのは嬉しいかな」
「詳しくは専門家に話してもらう。今はとくに気にするな。後でも、気にするな。俺にとってはなんだろうと、クルクはクルクだ」
「はい…。ありがとうございます」
「それで、だ。あの儀式は呼ぶ人を利用して何かを召喚しようとしたらしい。詳しくはまだ分からないが」
「そうだったんですか…」
セルツァーは、クルクが儀式の場にいた時の、学校での出来事を話す。
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