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呼ぶ人
呼ぶ人19指南
しおりを挟む「そんなことが…。リンメルは大丈夫なんですか?」
「ウィンレイ様が連れていかれたようだから、間違いなく無事だ」
「そうですか…。よかった…」
心底安心したというクルクの顔に、セルツァーは嫉妬する。リンメルがいかに悪いことをしたかと言いたくなるが、それではクルクが悲しむかもしれないと我慢する。
それから、クルクは療養ということで、セルツァーの部屋で休むことになった。遠慮しまくるクルクをしょんぼりした顔で納得させた。
事件のあった次の日の夜、バルドが捕まった。これでさらに上を捕まえられるだろう。ひとまずは安心できた。
さらに次の日。
「リンメル…!」
クルクの様子を見に来たらしいリンメルの訪問に、クルクは顔を綻ばせる。
ものすごく気に入らないセルツァー。楽しそうに馬鹿リンメルと話しているのを複雑な顔で見ている。しかも、この先も一緒にいる予定になってるし。
「あ、そうだ。このお守り。大事な人からもらったんだよね。僕は大丈夫だったし、返すね」
「あ? …あー、いいよ。もう1つもらったんだ。ほら」
「あ、同じ石だね。新しいほうは少し白い模様があるけど、おそろいみたい」
「まあ、どこにでもあるもんだろ。安物だ。どっかの露天で売ってた気がする。だから、それはお前が持ってるといい。クルクは不幸そうだし」
「うえ?! いいの…?」
「ん。2つもいらないし」
「そっか…。うん。ありがとう」
「じゃーな。俺は教師とやらに会わないといけないらしい」
「うん。頑張って」
「おう」
リンメルが部屋を出ていってもクルクはにこにこと出ていった扉を見ている。
「…あんな馬鹿となんでお前が仲いいんだ。どうせ利用してるだけだろ」
嫉妬でそう言ったセルツァーだったが、すぐに不味いと思うも取り消せない。
「…そうかもしれない。けど、僕には他に友達がいないし…。あ。僕が勝手に思ってるんだけど。でも、リンメルも一緒にいていいって言ってくれたしっ」
まるで悪い男に騙されてる健気な人のようなことを言うクルクに、どういい訳しようかと考えていたセルツァーはさっきより機嫌を悪くした。
そしてヘコむ。あれより自分は下なのかと。
「唯一って、俺は? お前にとってはただの知り合いなだけか…?」
「え、え? ち、違いますよっ。でもっ」
「でも?」
「うー…、…セルツァーは優しいけれど、僕とは、その、世界が違うじゃないですか」
「だから、仲良くできない? なんで。俺が庶民を馬鹿にする連中と一緒だと思ってるのか?」
また、言い方が悪くなったセルツァーだが、しょうがない。仲良くなりたいのだ。必死だ。
「違います! …自信がもてないんですよ。僕なんかに、貴族で生徒会長のセルツァーが仲良くしてくれるわけないって。…偏見する人でないのは分かるんですけど…」
「そんなこと言われたら、どうすれば仲良くなれるんだ?」
「そ、それは…」
「まあまあ、クルクの気持ちも察してあげなよ」
「ウィンレイ様?! どうしてこちらに?」
2人の会話に入ってきたのは魔術師のウィンレイだ。寮で働く者があっさり通したのである。さらに話声が聞こえて気になったので寝室まで入った。
「リンメルが今度はちゃんと学校に行くのか見に? というのは冗談で話があるんだよ。その前に、セルツァー。どうしても仲良くなりたいって気持ちも分かるけど、クルクの気持ちを察してあげないと。庶民からした貴族ってのは雲の上の存在なんだ。それに、リンメルの話から推測するに、クルクは貴族に嫌な思いもしたことがあるようじゃないか」
「あ…。そうですね…。焦りすぎたでしょうか…」
言われて虐められているクルクを思い出した。貴族にたいしていい記憶がないのに、簡単に信用しろとはいかないだろう。
「そうだねー。でも、多少は強引にいかないと、知らない間にどこかに行ってしまうから、気をつけたほうがいい」
「分かりました。的確なアドバイスありがとうございます」
「あ、あの、僕は別にセルツァーのこと嫌いじゃないですよ?」
狙う側の2人が少し不穏なこと言ってるのを気づかないクルクはワンテンポ遅れてセルツァーのことをかばった。嫌な貴族達と同じだとは思ってないのだと伝えたい。
そんなクルクに2人は温かい目を向ける。
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