繊細な悪党

はるば草花

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呼ぶ人

呼ぶ人21アピール

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「…リンメルと仲がいいのも頷けます。ウィンレイ様はとても優しい方なんですね」


クルクはクルクで独自見解をし、リンメルとウィンレイは似ているなあなんて、のほほんと考えた。


「そうでもない。ただ天才なだけ?」

「ふふふっ」


普通しない自賛をしたウィンレイ。それもクルクからは、照れてごまかしたんだなと思う。間違いではなかったりするが、内緒である。


「ええーと、つまりは、ウィンレイ様が魔物退治をするので、クルクにも手伝ってほしいってことですか…?」

セルツァーも自分なりに解釈してみた。


「そうだね。それでいいかも。他に何人も実力のある人にもお願いするつもりだから。セルツァーも参加するだろう?」

「勿論です。…あ。…俺なんかで役に立ちますか?」

「ははっ。そこも問題ないよ。セルツァーは才能があると言ったことがあるだろう? それに例え才能がなくとも鍛える予定だから、問題ない」

「なるほど。さすがです。ウィンレイ様」

「安心した? それでクルクは手伝ってくれるかな?」

「はい…! 僕なんかで役に立つか分かりませんが、頑張りますっ」

「ん。いい子だ。まあ、魔物が大量に湧いてくるのはまだ先の話だし、まずは修行だから、まだとくに何か考えることもないよ。それと呼ぶ人としての注意事項としては、他の誰かが接触してきて助けてくださいとか、別の話をしてくる人がいるかもしれないけど、信用しないように。呼ぶ人を知ってる時点で変だから。クルクは簡単に可哀想だとか思いそうだけど、自分でなんでもできると思う痛い人間ではないと思っているよ」

「は、はい。気をつけます」

「そこは俺も注意します」

「ん。騎士も自分に過信しないようにね」

「はい…。今回のことで十分そう思いました」

「それじゃあ、邪魔者はもう帰るねー」

「い、いえ。そんなことは…!」


ウィンレイの言葉にセルツァーは慌てるが、ウィンレイはすぐに出ていった。


「あー…。クルク、さっきのウィンレイ様の言葉はだな…」

「なんですか?」


取り繕おうとするセルツァーであるが、鈍いクルクは全く分かってない。


「あー、いや…、そうだ。気持ちは整理できたのか? 俺も呼ぶ人にそんな意味があったなんて知らなかったんだ」

「はい。なんとなく、初めから知っていたような感覚です。だから、魔物を退治することに協力はします。………けど…」

「けど?」

「………やっぱり、僕が呼ぶ人なんて不安です。この先どうなってしまうのか…。魔物とかよりも、この先、人にどんなふうに見られるのだろうかって。…リンメルも今回のことを知ったら、僕から離れるんじゃないかって…」

「…クルク…。悪いが、クルクの苦しみを理解する以前にそこでリンメルの名が出てくるのが気に入らない」

「え? いけないことを言いましたか?」


何か怒らせるようなことを言ったかのとクルクは慌てる。


「…俺のことは? 俺には嫌われないか、不安にならないのか?」


焦ってはいけないとなったのに、リンメル一番であるのが気になってしまう。


「セルツァー…? …そんなの当然不安だよ。でも、セルツァーはっ」

「俺は?」

「…………僕のなんなのかな。友達?」

「………それは…」


セルツァーは迷う。ここで友達というべきかどうか。この想いは、別にあるのに。

その迷いをクルクは別の意味でとらえる。


「セルツァーは僕よりずっと世界にとって大事な存在だよ。僕にかまう必要はないから」

「そうじゃねえよ! 俺はっ…、ああ、くそっ。もう離れられるんなら、びびってる場合じゃないな。ウィンレイ様も言ってたし」

「セルツァー…?」

「クルク。俺はお前が好きなんだ! ゆくゆくは伴侶にしたいと思うほどに!」

「ふ、え? うそ…」


セツルァーの言葉は幻聴かと思うほど信じられない。けれど、クルクの頬は染まってしまう。


「嘘じゃない。そんな嘘言うわけないだろ」

「で、でも、僕とセルツァーじゃ…」

「身分が違う? そんなことで離れていこうとしないでくれ。たしかに反対される可能性は高い。けれど、俺はクルクがいいし、身分よりも魔術師になりたいんだ。ウィンレイ様の弟子になるつもりだ。だから、貴族なんて関係ないし。きっと反対するような奴がいたら、ウィンレイ様がどうにかしてくれる。あの人最強だから」


一気に良さをアピールした後、セルツァーはまっすぐにクルクを見る。


「好きなんだ。クルク」

「セルツァー…」


そんなふうに思われているなんて少しも気づかなかった。


「迷惑か?」

「それは…」


セルツァーの気持ちが迷惑? 少しもそうは思えない。むしろ。


「でも…」

「クルク………。…わかった…」

「え? あ…」


部屋を出てしまったセツルァー。拒絶されたんだろうと思ったクルクはひどく悲しかった。
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