4 / 4
園田馨の場合。
2.崩れた平穏
しおりを挟む
今日程、これまでの自分の考えに後悔した日はないと思う。
放っておけば飽きると思った僕が馬鹿だった。
そう感じてしまうのは入学式の日に告白してきたあの男のせいだ。
あれから彼はほぼ毎日僕のクラスへと通いつめているらしい。
僕は卒業に必要な最低限の授業やテストにしか参加しておらず、毎日は学校へと通わない為人伝にしか聞いていないが、僕が居ない時もクラスへと来るらしい。
僕が学校へ来ていると分かれば休み時間の度に顔を出しに来て正直鬱陶しい。
しかも、来るのが早いのだ。これでは避けようがない。
今まで静かに過ごせて居たのに、彼のせいで煩くてしょうがない。
「…ねぇ、毎回来るの辞めてくれないかな。鬱陶しいよ。」
目の前で楽しそうに日常を語る彼に一言告げる。
ここまでしつこいのならばもう突き放す方がいいだろう。
そう思ったけれど…
「そ、そないなこと言わんといてや!学年がちゃうからこうして休み時間にしか仲良うなれへんし…」
どうやら彼は引き下がりそうもない。
だが、眉尻を下げ悲しそうにした。
「…そんなの、僕の知ったことじゃない。」
僕は何故だかその顔を見たくなくて、そう告げるとつい教室を飛び出してしまった。
「…あ、馨ちゃん!」
何故見たくないと思ってしまったのだろうか。
出会って数日の人間なのに…
僕はそんな思いを靄と一緒に心に抱えそのまま保健室へと向かった。
僕のサボる際に利用してる場所の1つで、屋上もそうなのだが今は行きたくなかった。
目の前に見えた扉を少し乱暴に開ける。
その音に中に居た教員である五十嵐先生は少し驚いて居た。
「…っと、何だ…園田か。どうした?また、サボりか?」
呆れ気味に問い掛けを投げてくるもその表情は優しく笑っていて、彼はどうやらマグカップを片手に何やら書類整理をしていたようで、机を散乱させていた。
「ちょっとだけベッド借る。ここに誰が来ても僕は居ないって言っておいて。」
短く告げると返答を聞くより先にベッドへと足を向け潜り込む。
嗚呼、なんて腹立たしい事なのだろう。
出会って数日の人間に振り回されている現状が、静かだった平穏を崩されたようなこの感覚が。
そして何より自分が少し彼を気にかけ始めていることが何より嫌だった。
少し眠って落ち着こう。
そうして僕は布団を深く被り瞳を閉じた。
放っておけば飽きると思った僕が馬鹿だった。
そう感じてしまうのは入学式の日に告白してきたあの男のせいだ。
あれから彼はほぼ毎日僕のクラスへと通いつめているらしい。
僕は卒業に必要な最低限の授業やテストにしか参加しておらず、毎日は学校へと通わない為人伝にしか聞いていないが、僕が居ない時もクラスへと来るらしい。
僕が学校へ来ていると分かれば休み時間の度に顔を出しに来て正直鬱陶しい。
しかも、来るのが早いのだ。これでは避けようがない。
今まで静かに過ごせて居たのに、彼のせいで煩くてしょうがない。
「…ねぇ、毎回来るの辞めてくれないかな。鬱陶しいよ。」
目の前で楽しそうに日常を語る彼に一言告げる。
ここまでしつこいのならばもう突き放す方がいいだろう。
そう思ったけれど…
「そ、そないなこと言わんといてや!学年がちゃうからこうして休み時間にしか仲良うなれへんし…」
どうやら彼は引き下がりそうもない。
だが、眉尻を下げ悲しそうにした。
「…そんなの、僕の知ったことじゃない。」
僕は何故だかその顔を見たくなくて、そう告げるとつい教室を飛び出してしまった。
「…あ、馨ちゃん!」
何故見たくないと思ってしまったのだろうか。
出会って数日の人間なのに…
僕はそんな思いを靄と一緒に心に抱えそのまま保健室へと向かった。
僕のサボる際に利用してる場所の1つで、屋上もそうなのだが今は行きたくなかった。
目の前に見えた扉を少し乱暴に開ける。
その音に中に居た教員である五十嵐先生は少し驚いて居た。
「…っと、何だ…園田か。どうした?また、サボりか?」
呆れ気味に問い掛けを投げてくるもその表情は優しく笑っていて、彼はどうやらマグカップを片手に何やら書類整理をしていたようで、机を散乱させていた。
「ちょっとだけベッド借る。ここに誰が来ても僕は居ないって言っておいて。」
短く告げると返答を聞くより先にベッドへと足を向け潜り込む。
嗚呼、なんて腹立たしい事なのだろう。
出会って数日の人間に振り回されている現状が、静かだった平穏を崩されたようなこの感覚が。
そして何より自分が少し彼を気にかけ始めていることが何より嫌だった。
少し眠って落ち着こう。
そうして僕は布団を深く被り瞳を閉じた。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
俺と結婚してくれ〜若き御曹司の真実の愛
ラヴ KAZU
恋愛
村藤潤一郎
潤一郎は村藤コーポレーションの社長を就任したばかりの二十五歳。
大学卒業後、海外に留学した。
過去の恋愛にトラウマを抱えていた。
そんな時、気になる女性社員と巡り会う。
八神あやか
村藤コーポレーション社員の四十歳。
過去の恋愛にトラウマを抱えて、男性の言葉を信じられない。
恋人に騙されて借金を払う生活を送っていた。
そんな時、バッグを取られ、怪我をして潤一郎のマンションでお世話になる羽目に......
八神あやかは元恋人に騙されて借金を払う生活を送っていた。そんな矢先あやかの勤める村藤コーポレーション社長村藤潤一郎と巡り会う。ある日あやかはバッグを取られ、怪我をする。あやかを放っておけない潤一郎は自分のマンションへ誘った。あやかは優しい潤一郎に惹かれて行くが、会社が倒産の危機にあり、合併先のお嬢さんと婚約すると知る。潤一郎はあやかへの愛を貫こうとするが、あやかは潤一郎の前から姿を消すのであった。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
行き場を失った恋の終わらせ方
当麻月菜
恋愛
「君との婚約を白紙に戻してほしい」
自分の全てだったアイザックから別れを切り出されたエステルは、どうしてもこの恋を終わらすことができなかった。
避け続ける彼を求めて、復縁を願って、あの日聞けなかった答えを得るために、エステルは王城の夜会に出席する。
しかしやっと再会できた、そこには見たくない現実が待っていて……
恋の終わりを見届ける貴族青年と、行き場を失った恋の中をさ迷う令嬢の終わりと始まりの物語。
※他のサイトにも重複投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる