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第二章
無様なのはあなたです。
しおりを挟む「ホンジョラス先生、拒否なさるということでよろしいでしょうか」
「よろしいもクソもねえ! 貴様、文官候補らしいな。今から内定を取り消しにされたいか!」
ホンジョラスの脅しに見届け人である生徒たちが騒つく。
すでに裁判長により裁判の宣言は為されており、いまは裁判中で魔導具による記録も始まっているのだ。
この場で脅迫罪が追加された瞬間である。
「ホンジョラス先生、ご退席を。これより被告人不在で学園裁判を続けます」
「ふざけんじゃねえ!」
ホンジョラスは机越しに裁判官の胸ぐらを掴んで持ち上げる。
机も椅子も大きな音を響かせて倒れるが、学生たちの目は持ち上げられ宙に浮いたままでもけっしてホンジョラスから目をそらさない裁判官に集中している。
その目に怯える素振りはみえず。
ホンジョラスにとって、それは認めることのできない事態だった。
「裁判を勝手にはじめてんじゃねえよ」
「すでに宣言は済み、あなたが舞台に上がられる前から開廷しています」
「そんなこと認めていねえ!」
「私が宣言をしました」
「勝手なことをしてんじゃねえ‼︎」
ホンジョラスは裁判官を足下に叩きつけると何度も踏みつける。
「今すぐやめろ」
「いいえ、やめません」
「こっの! クソがっ!」
怒りに任せて踏みつけるが、誰一人止めようとしない。
その様子に不気味さを感じたのか、ホンジョラスは足を下ろす。
……裁判官の顔の上に。
そして力を加えて踏み潰す。
「さあ! この場で無様にぶっ殺されたくなければ『わたしがわるうございました。あなたは無罪です』と宣言しろ」
「無様なのはあなたです。私は一切悪くない。あなたは間違いなく有罪です」
「キッサマー!」
ガンッガンッと裁判官を踏みつけるホンジョラス。
「貴様を誰も助けようとしない。貴様はこのまま殺しても誰も泣いてくれないだろう。あのブリオーシュのようにな」
「ブリオーシュ、君? ですか。3学年Bクラスの行方不明になっている学生ですね。彼がどうしましたか?」
「ああ、お前は知らないか。ブリオーシュは私が殺した、この手でな。アイツはいつも『暴力による脅しをするな』と歯向かってきやがった。私は貴族に因縁をつけて殺すためにここに来たんだ! ひとつ違いの優秀な兄貴も殺して、な。そしてふざけた正義感を振りかざすブリオーシュの奴は手足をブチ切って、一緒にいたオスリグに穴を掘らせて生き埋めにしてやった。オスリグの奴は自殺したように木にぶら下げてやったよ、口封じにな」
「オスリグ君、……ああ2学年Aクラスの学生ですね。ブリオーシュ君が行方不明になった同日に郊外にて首を絞められて亡くなっています。そうですか、これはあなたの犯罪ですか」
今もなお静まり返る講堂。
しかし、ホンジョラスは悦に入っていた。
『みんなは私の強さに慄いている』と。
しかし、ホンジョラス本人は自覚していない……いま三名の殺害を自供したことを。
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