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第二章
彼は生に執着し続けていた。
しおりを挟む『学園の怠惰! すでに貴族籍にない者を教師として推薦採用!』
『本人確認を怠った結果、多数の犯罪を見落とし多数の被害者を生み出した学園に責任はないのか⁉︎』
『推薦教師の実体! はたして推薦教師枠は必要か⁉︎』
『兄を騙り教師を騙った犯罪者、公開処刑へ』
『兄の殺害も示唆。しかし、供述の場所に遺体は見つからず』
学園裁判以降、連日世間を賑わせたこの事件は本日昼をもって第一幕が終演を迎え、明日からは第二幕の開始のベルが鳴り響き舞台の緞帳があがる。
『世紀の殺人犯 逆さ吊りによる鋸挽き刑に処される。鳥辺野にて鳥葬』
早朝から始まった処刑は一番残酷といわれる方法だった。
眠っている間に処方された薬で喉を潰されたあの男は、手足の骨を砕かれて文字通り処刑場に引きずりだされたという。
惨たらしい公開処刑には年齢制限が設けられた。
彼に処方された薬があったのか、彼自身の本来の強さからだったのか。
心臓に鋸が到達するまで、彼は生に執着し続けていた。
当事者が処刑されても彼の実家による賠償はこれからだ。
彼の事件により、実家による罪も表沙汰になった。
ここから紙面を賑わすのは父親の存在とその罪の内容となる。
本格的な終結は何年も先になるだろう。
裁判官役だった女生徒はとある施設へと向かっていた。
今回の学園裁判で最大の貢献者に会うためだ。
「この度は当研究所の新作をお試しくださりありがとうございます」
そう言って頭を下げるのは王都内にいくつもある小さな魔導具研究所の所長。
彼はホンジョラスが学園裁判で殺害を仄めかした彼の兄だ。
ホンジョラスが殺したはずの彼は生きていた。
それもそうだろう。
仲が良くない弟に呼び出されたのだから、裏に何かあると疑うのが当然だ。
自動人形
それはこの小さくて新しい魔導具研究所の新作だった。
所長は試運転として自分のデータを登録して弟にあわせた。
登録した相手に周囲は見え、久し振りにあった弟を完全に騙すことができた。
ただし、一方的な暴力を振るわれて殺害された。
動かなくなったことで殺害したと確信したのか、弟はそのまま去っていった。
ボディーを強化してより長時間対応できるようにした試作品が、あの舞台でホンジョラスが暴行を与え続けた裁判官だった。
「いいえ。お貸しくださったおかげで私も学生も無傷で閉廷することができました。こちらこそ本当にありがとうございました」
女学生が深く頭を下げると「いえいえ、こちらこそ」と所長も頭を下げる。
そうして互いに頭を下げあう。
そのうち、どちらかが土下座まで始めるのではないかと思われた頃、所長が頭を上げて「お互い様ということで」と打ち切った。
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