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第六章
第152話
しおりを挟む屋台村に顔を出したら、まだイベント前にも関わらず、警備隊と守備隊が集まっていた。
「やあ。エミリア」
「お疲れさま。会議してたの?」
「ああ。先月のことがあっただろう?今回は取り締まりを強化しようって」
「これからひと通り買い物したら、家かダンジョンに引きこもるから。・・・あと、いつものように私の家の前、私服守備隊をお願い出来る?実は各地から集まるからだと思うけど・・・すでに店の周辺を彷徨かれて迷惑してるの」
「エミリアを見つけて絡む奴がいるって報告があるが」
「ああ。今日のお昼ね。ランチ買いに行って、戻る途中で女性に絡まれたのよ。「いつになったら開けるのよ!」って。「商人ギルドのフレンド取引店に登録しないなら殺すわよ!」って言われたから「私、商人ギルドに入っていませんが?」って返したら驚かれた」
「ああ。それですね。エミリアに絡んで殺す発言したことで、今も檻の中です。期間中は奥の広場で『公開』になります。中からは『石壁の牢屋』にしか見えませんが、外からは鉄柵の檻で丸見えです。声も、中にいると聞こえませんが、外へは丸聞こえです」
「あの人って貴族じゃないわよね?指輪が反応しなかったもん」
貴族排除の指輪をしているため、絡まれにくくなったはずですが・・・。
「ええ。豪商のひとり娘だそうですよ」
「豪商やその家族も排除対象にしないといけないかなあ?」
「『バカの侵入禁止』で魔導具を作って貰いましょうか。それをダンジョン都市の城門に設置すれば被害は減るのでは・・・」
「・・・バカが『自分はバッカで~す』って自覚してると思います?バカな奴ほど『自分はバカじゃない!』『壊れているに決まっている!』ってムキになって騒ぎますよ。それ自体が『バカの証明』だって気付かずに」
「・・・そこまでバカか?」
「バカでしょ?それも究極の。見世物期間中に『盛大にやらかす』と思うよ」
私の予言めいた言葉に脱力されました。
すでに『やらかしている』そうです。
「なんで私が牢屋に入らなきゃいけないのよ!私のパパが誰か分かってこんなことしてるの!?あの女を呼びなさいよ!商人ギルドに入っていない商人なんて頭が狂ってるんだわ!そんなヤツ!パパが来たら一発で殺してくれるわ!」
「おーおー。ご自慢のパパを呼んであげたら?」
「もう呼びました。明日にでも到着すると思いますよ」
「私とは接触禁止で」
「すでに都長が部外者のエミリアへの接触が禁止されています」
さすが都長。先月の騒動を覚えているようで。
「じゃあ。今日見て回ったらダンジョンに逃げ込むわ。『出てきてからの接触』を妨害してね」
「ああ。とりあえず、父親が到着したら都長が説教しまくる・・・。どうした?」
「・・・アレ」
私が不快な表情をしていたら心配されました。そのため『原因』を指差すと振り向いてその場でしゃがみ込みました。
檻の中の娘は、下着姿で腰を振っていました。
ああ。『男を連れ込んだ』などではなく、ドレスを脱いで下着姿になって、コルセットをひとりで外そうと奮闘していただけです。
ベッドを向いているため、私たちには背を向けています。そのため腰を振っているように見えたのです。
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