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第七章
第242話
しおりを挟む王都では、結界が強化されてひと月たっても中に入ることも確認することもできていないらしい。時々、激しい竜巻が起きているらしく「魔物が暴れている」と言われているそうだ。これは情報部が得たものだったが……
「王族や貴族は心配されていないの?」
「ぜんっぜん、ですね。このまま食べられてしまった方が嬉しいようです。口にはだしていませんが」
「……やっぱり、キマイラたちに食べてもらう?」
「食あたりを起こすから止めてください」
「お前らなぁ……」
エミリアとアゴールの会話に、ダイバが苦笑する。仮にも国王という偉い立場の連中を神獣に食べさせるかどうかという話も問題だが、エミリアを止める理由として「神獣が食べたら食あたりを起こす」と言っているのだ。
……もう少し言い方があるのではないだろうか。
当初の予定だった『ピピンとリリンに負の思考を食べてもらう』ことに変更はない。『神の罰が済んでから』という言葉が冒頭に追加されただけだ。そこで残った問題、『王族や貴族の中で罰を受けない子供たちをどうするか』が、文字通りの問題というか課題となった。
「今まで通りの教育ではまた良からぬことを考え、正当化させるのではないか?」
「しかし、今の国王は出られないだろ」
「罰を受けた腹を抱えて、まともに政策ができると思うか?」
「『子供可愛さ』から、ふたたび道を踏み外すぞ」
「しかし、国王たちにはこの混乱の責任はとってもらう必要があるだろう?」
そう、国政を担う立場でありながら暴走した彼らは、神から罰を受けたとしてもそれで良しとはならない。人として、人の世界で生きている以上、公で罰を受ける必要がある。
ちなみに国王と宰相は、木賃宿の男娼館で働かされて、現在は新たな生命が誕生している。流産という殺人を犯すこともできず、神が許すはずもなく。彼らはこのまま翌月には出産を迎える。
神の罰と言うことで、十月十日ではなく二十日で出産するのだ。ちなみに婦人科のひと月は二十八日。つまり十月十日とあるが、実際には妊娠期間は二百九十日だ。
「ハツカネズミか?」
一説では妊娠期間が約二十日と言うことで名付けられたというハツカネズミ。そんな短期間で人間が生まれるのか? と思ったが、それはそれは『神の為せる技』というより他にない。胎内の時間が違うそうだ。私たちが一日過ごす間に、胎内では十四日分の時間が流れている。無属性の『空間魔法』と暗属性の一つ『時間魔法』に近いらしい。出産の神が関係しているそうだが、妖精たちは口を噤む。そういうときは『人が知ってはいけない内容』のようで、必死に口を押さえて言わない。だから、私も「言えないこと?」と聞いてみる。肯定されたら、それ以上は聞かない。
私に言えないことが苦しいらしく、妖精たちの表情が辛く悲しそうなのだ。泣きそうな表情で、それでも言えない自分たちが悪いと思っているようで……。だから、深くは聞かないことにしている。
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