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第八章
第317話
しおりを挟む『カーバンクルは無害で可愛い』とみんなから認められたものの、今は表に出さないということで決定した。単純に屋台村のイベントが三日後に始まるため、いたずらっ子を外に出していたら危ない、ということになった。ちなみに、まだなれていないため、地面を走ってて間違って踏んだら怖いという声もあった。
そして、そろそろ不審者が現れる……
「エミリアちゃん、来るのはエリーとエルフの里の方たちよ」
「エリーさんと不愉快なエルフたち」
「まあ……、たしかに不愉快だろうな。連れてこられた連中は」
「別に来んでもいいんだよ」
「じゃあ、追い返すか?」
「エリーさんのときみたいに、奴隷に堕ちた三人を見た瞬間にブン殴ったら。エリーさんと私は顔見知りでも、エリーさんが連れてくる人は知らない人だから」
「エミリアちゃん……」
私の『エリーさんは顔見知り』と聞いて、ミリィさんが悲しそうな表情になった。でも、付き合いは冬季にダンジョンに挑戦にきた二回。その前に犯罪ギルドの件で「はじめまして」をして、そして今回の件。顔見知りとか知り合いといえる程度しか関わっていない。それに冬季でも一緒にいないし、顔をあわせるのも数回程度。どちらもダンジョンに入っていたり、引きこもって錬金や調合などをしているから。
「エミリア。エリーたちは昨日王都に着いたらしいぞ」
「じゃあ、乗合馬車であと三日?」
「いいえ、王都から飛んできたからもう着いたわよ」
バラクルの入り口から声が聞こえて振り向くと、そこにはシルエットが……。逆光で大きな人たちの影になっていて、エリーさんの声が聞こえたのに姿が確認できません。
「今日のバラクルは臨時休業で~す」
「ちょっと、エミリアちゃん!」
私の言葉に慌てたエリーさんの声。やっぱりエリーさんいるんだ、なんて思ったら、一瞬で私の隣にきたエリーさんに抱きしめられた。
「あれ? エリーさんだ」
「久しぶり、エミリアちゃん」
頭に頬ずりしてくるエリーさん。
「エリー、久しぶりね」
「ああ、みんなにも迷惑かけてるな」
挨拶のときだけ顔を上げたものの、ふたたび頭に頬ずりを再開するエリーさん。その様子に私の視界に映る人たちは苦笑している。背後にいるだろうエルフたちは姿が見えないから、どんな表情をしているのかわからない。
「エリー、ちょっと扉を見てみろ。そうすればエミリアがエリーに気付かなかった理由がわかるぞ」
ルーバーの言葉に従うように振り向いたエリーさんは「ああ、影になってて見えなかったのか」と納得したように呟いた。
「そういうことだ。エミリアがエリーを忘れたんじゃなく小さくて見えな……イデェ‼︎」
ドゴォ! という音と共にルーバーの大腿部にエリーさんの蹴りが入った。
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