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第十二章
第644話
しおりを挟むあの惨劇で大陸以外に住んでいる人たちは無事だったのか? と聞かれれば答えは否である。小さいからこそ見逃されたか気にもされなかったのだろう。ただタムスロン大陸に近い島々はいくらか被害はあった様子。とはいえ、島にかけられた水の神による加護と火山島なら火の神、植物の楽園なら地の神の加護などで守られているため大きな被害はなかったようだ。
「火山の活性化とか~」
「ないようだな」
「津波が」
「神の加護と魔導具が守ったみたいだな」
神が直接支配下に置いている島々は、まだ確定していないがナナシによって滅ぼされずに済んだ。
「やっぱり、人々を殺して封印を解こうとしたんだね」
しかし、王都は神が守護していることが多い。ナナシは……神の手から逃れたようだ。
いくつかの島は波消しブロックのような小島に取り囲まれている。巨人族の島として知られ始めたピュリアス島もそのひとつだ。そう、小島に囲まれているため航路から外れている。
「航路を引き入れるには小島を壊し、旅客船が着岸できる港をつくることになります」
その言葉にピュリアス島の人たちは断った。たとえ小島であっても壊せば海流が変わる。
「自然を壊してまで得る幸福などありはしない」
航路を管理する海上運搬船ギルドは「これを逃せば二度と申請は受理されない」などと訴えたが、それは航路が増えて乗客が多くなれば自分たちのギルドが潤うからだ。港の使用料と船舶着岸・離岸料を島に払っても、それを上回る稼ぎがギルドに入る。
「やはり、あの方々の仰った通りだ」
「ここまで予測されていたとは」
ピュリアス島は海上運搬船ギルドに航路の申請をしていない。本が売れたことでピュリアス島の存在が知られた。しかし、ピュリアス島はエミリアたちのように、風魔法や水魔法を使ってでしか訪れた人はいない。秘島であり秘湯でもあった。しかし海上運搬船ギルドにピュリアス島への航路を問い合わせる人々が多く、金のなる新航路を開くことに欲をみせた。
彼らもまた近くまで船でやってきて小島に着岸。小島から水魔法で海面を渡って来たのだ。
「欲を見せるのはおやめください。ここは火山の島、神の意に逆らって小島ひとつを失えば、火の神の怒りを買います。あなた方はご家族や所属する国の死を望むのですか」
それは古い罪によるもの。
今回のように断られた人々が、勝手に小島のひとつを破壊した。壊したことで乱れた海流に飲まれて船は沈んだ。生き延びたのは甲板にいて水や風の魔法が使えて難を逃れた者。彼らが救助されて国に戻ったときには、国は火を纏った竜巻に飲み込まれて滅んだ後だった。
結局、ピュリアス島は今でも小島に囲まれて、魔法で海を越えてやってきた人たちを迎えている。
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