私は聖女ではないですか。じゃあ勝手にするので放っといてください。

アーエル

文字の大きさ
631 / 791
第十二章

第644話

しおりを挟む

あの惨劇で大陸以外に住んでいる人たちは無事だったのか? と聞かれれば答えはいなである。小さいからこそ見逃されたか気にもされなかったのだろう。ただタムスロン大陸に近い島々はいくらか被害はあった様子。とはいえ、島にかけられた水の神による加護と火山島なら火の神、植物の楽園なら地の神の加護などで守られているため大きな被害はなかったようだ。

「火山の活性化とか~」
「ないようだな」
「津波が」
「神の加護と魔導具が守ったみたいだな」

神が直接支配下に置いている島々は、まだ確定していないがナナシによって滅ぼされずに済んだ。

「やっぱり、人々を殺して封印を解こうとしたんだね」

しかし、王都は神が守護していることが多い。ナナシは……神の手からのがれたようだ。


いくつかの島は波消しブロックのような小島に取り囲まれている。巨人族の島として知られ始めたピュリアスとうもそのひとつだ。そう、小島に囲まれているため航路から外れている。

「航路を引き入れるには小島を壊し、旅客船が着岸できる港をつくることになります」

その言葉にピュリアス島の人たちは断った。たとえ小島であっても壊せば海流が変わる。

「自然を壊してまで得る幸福などありはしない」

航路を管理する海上運搬船ギルドは「これを逃せば二度と申請は受理されない」などと訴えたが、それは航路が増えて乗客が多くなれば自分たちのギルドが潤うからだ。港の使用料と船舶着岸・離岸料を島に払っても、それを上回る稼ぎがギルドに入る。

「やはり、あの方々の仰った通りだ」
「ここまで予測されていたとは」

ピュリアス島は海上運搬船ギルドに航路の申請をしていない。本が売れたことでピュリアス島の存在が知られた。しかし、ピュリアス島はエミリアたちのように、風魔法や水魔法を使ってでしか訪れた人はいない。秘島であり秘湯でもあった。しかし海上運搬船ギルドにピュリアス島への航路を問い合わせる人々が多く、金のなる新航路を開くことに欲をみせた。
彼らもまた近くまで船でやってきて小島に着岸。小島から水魔法で海面を渡って来たのだ。

「欲を見せるのはおやめください。ここは火山の島、神の意に逆らって小島ひとつを失えば、火の神のいかりを買います。あなた方はご家族や所属する国の死を望むのですか」

それは古い罪によるもの。
今回のように断られた人々が、勝手に小島のひとつを破壊した。壊したことで乱れた海流に飲まれて船は沈んだ。生き延びたのは甲板デッキにいて水や風の魔法が使えて難を逃れた者。彼らが救助されて国に戻ったときには、国は火を纏った竜巻に飲み込まれて滅んだ後だった。

結局、ピュリアス島は今でも小島に囲まれて、魔法で海を越えてやってきた人たちを迎えている。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

だから聖女はいなくなった

澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
「聖女ラティアーナよ。君との婚約を破棄することをここに宣言する」 レオンクル王国の王太子であるキンバリーが婚約破棄を告げた相手は聖女ラティアーナである。 彼女はその婚約破棄を黙って受け入れた。さらに彼女は、新たにキンバリーと婚約したアイニスに聖女の証である首飾りを手渡すと姿を消した。 だが、ラティアーナがいなくなってから彼女のありがたみに気づいたキンバリーだが、すでにその姿はどこにもない。 キンバリーの弟であるサディアスが、兄のためにもラティアーナを探し始める。だが、彼女を探していくうちに、なぜ彼女がキンバリーとの婚約破棄を受け入れ、聖女という地位を退いたのかの理由を知る――。 ※7万字程度の中編です。

強制力がなくなった世界に残されたものは

りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った 令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達 世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか その世界を狂わせたものは

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

貴方が側妃を望んだのです

cyaru
恋愛
「君はそれでいいのか」王太子ハロルドは言った。 「えぇ。勿論ですわ」婚約者の公爵令嬢フランセアは答えた。 誠の愛に気がついたと言われたフランセアは微笑んで答えた。 ※2022年6月12日。一部書き足しました。 ※架空のお話です。現実世界の話ではありません。  史実などに基づいたものではない事をご理解ください。 ※話の都合上、残酷な描写がありますがそれがざまぁなのかは受け取り方は人それぞれです。  表現的にどうかと思う回は冒頭に注意喚起を書き込むようにしますが有無は作者の判断です。 ※更新していくうえでタグは幾つか増えます。 ※作者都合のご都合主義です。 ※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。 ※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります) ※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。

よかった、わたくしは貴女みたいに美人じゃなくて

碧井 汐桜香
ファンタジー
美しくないが優秀な第一王子妃に嫌味ばかり言う国王。 美しい王妃と王子たちが守るものの、国の最高権力者だから咎めることはできない。 第二王子が美しい妃を嫁に迎えると、国王は第二王子妃を娘のように甘やかし、第二王子妃は第一王子妃を蔑むのだった。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。