Finale Love

卯月 桜🍒

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♪1つのサヨナラ♪

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「まーなー・・・。あれから弥生ちゃんとどうなったんだよ?」
「別れたって言ってゆうのか、一区切りつけたって言うか、今、弥生は俺のそばにはいません」
「いないって?!」
「今、弥生はある人のもとにいます」
「ある人って、煌也さんじゃねえよなー?」
「煌也さんのもとにいます」
「マジで?!」
「はい」
「遥樹はそれでいいのか?」
「正直、イヤですよ。今の俺じゃー弥生を守ることは出来ません。傷つけるだけですからー」
「遥樹ー・・・」
「煌也さんが昨日電話で俺に言ってくれたんです。『弥生は誰よりも何よりも遥樹君を信じてる。弥生の想いは遥樹君の胸の中に根付いてる。遥樹君だってこうなることは、わかってたはず。じゃなきゃ、俺に弥生を託すことはしなかった』って言われたんです。煌也さんにはかなわないって正直思いました。煌也さんみたに1人の男として強くなりたい」
「そっかー・・・。いずれ・・・。まぁーいいやー・・・」
「なんすか? 哲也さん」
「いずれ遥樹にもわかる」
「何がですか?」
「俺が言おうとしてること」
「気になるじゃないですか? 言ってください」
「言ってやりたいのは山々だけど、自分で気づけ。
そのほうが遥樹のためだ」
「哲也さんー・・・」

その頃、弥生は煌也の宿泊先のホテルの室内に1人でいた。

煌也さんは今頃ファンの前で歌ってる。
カッコいいんだろうな。
ちょっと見たかったな。
これで遥とは終わり。
これでよかった。
じゃないと次に遥が進めないから。
今度は遥1人で上がってこなきゃいけない。
今までは私が側にいて支えてた。
だから、遥が崩れることはなかった。
そのことにいつ遥は気づくのかな?
当分、先の話かな?
どうなんだろう?
こんな別れ方をした私を遥はどう思うんだろう?
裏切られた? 騙された? 傷つけられた?
私、本当は遥を信じてる。
なのに、その気持ちに素直になることも貫くことも出来なかった。
煌也さんも私の気持ちを知っててここに連れてきた。
なんで、煌也さんはそこまでしたんだろう?
私には煌也さんの気持ちがわからない。
このまま私、煌也んと一緒に東京に行くの?
煌也さんの自宅に行くの?
どうなんだろう?
今日も煌也さん、遅いんだろうな。
それまで何してよう?
こんな広い部屋に1人は退屈。
煌也さんが宿泊する部屋はスイート。
さすが人気ボーカリスト。
ファンなら誰しも煌也さんを独占したいと思うし、側にいたいと思う。
なのに、私は、今、煌也さんの部屋にいる。
こんな幸せなことってない。
なのに、いつものテンションにならないのは何故だろう?
心に大きい穴があいたから?
大きい穴を埋めるにはどうしたらいい?
どうやったら埋まる?

弥生はそう思いながらも煌也が寝ているベッドルームに入ってしまった。

煌也さんのベッドルーム。
衣類が散らばってる。
ベッドの上にも床にも。
テーブルの上には紙がいっぱい。
曲作りの紙。
案外、煌也さんって部屋のなか散らかすんだ。
東京の自宅でもそうーなんかなー?
全部、煌也さんの私物だから、勝ってに触ったり片付けたりしちゃいけないとは思うけど・・・。
目についたり気づいたりすると、やりたくなる。
この性格って、どうにかならない?

弥生はそう思いながらも片付け初めてしまった。

この紙の量はすごい。
譜面だったり歌詞だったり。
こうやって煌冶さん曲作ってんだー。
すごい。さすがプロ。
目にはみえない努力してるから、煌也さんはファンから愛される。
見てる場合じゃなかった。
まとめなきゃ。
今度は散らばってる衣類をキレイにたたんで1つにまとめなきゃ。
これじゃ、家政婦じゃん。
煌也さんが使ってる香水。
いい香り。
煌也さんの衣類って、基本的、黒い色が多い。
煌也さん、肌が色白だから結講、黒、似合う。
飲みかけのペットボトルの水。
こうゆう物って、ファンが喜ぶ。
さっきから煌也さんのことばかり考えてる?
煌也さんの部屋にいて、煌也さんの私物片付けてるから?
今は、それでいい。
じゃないと、私自身が耐えられない。
今の私は、逃げてるって、わかってる。
けど、今の私はそれしか出来ない。
ここで立ち止まってしまうと、私が私らしくいられない。
あれ・・・? 
なんで、涙なんて流れる?
もうー流れないと思ってたのに。
私って、こんなに弱かったっけ?
年齢のせいにする訳じゃないけど、キツイ。
こんなところ煌也さんに見られちゃいけないって、わかってるけど・・・。
溢れ出てくる涙が止まらない。

弥生は声を殺しながら泣いていた。
そんな矢先、コンサートを終えた煌也が部屋へと戻ってきた。
 
あれ・・・?
弥生ちゃん、どこ?

煌也は部屋の中をくまなく探したが弥生の姿を見ることはなかった。
ベッドルームの扉が少し開いてることに気づいた煌也は隙間から部屋の中を見た。
声を殺し泣いてる弥生の後姿に目が止まった。
煌也はいてもたってもいられなくなり、何も言わず弥生を後ろから抱きしめた。
弥生は抱きしめられた腕の中から離れようとした。
けど、煌也の腕の中からは離れることが出来なかった。

「煌也さん。離してください」
「いやや」
「どうしてですか?」
「弥生ちゃん、声殺して泣いてたんや? そんなに俺に見られたくないん?」
「もうー泣いてないから大丈夫ですよ」
「ウソや」
「ウソじゃないです。そんなに疑うなら、私の顔、見たらどうです?」

煌也は抱きしめた腕をほどき、弥生の顔を見た。

「泣いてないでしょう?」
「俺の前やからって、ムリせんでいい。なんで、そこまでムリせなあかんの?! 今まで弥生ちゃんは我慢してきたんやから、泣いたってかまわへん!! なのに、なんでなん? なんで、そこまでムリするん?
そんなに俺、頼りにならへんか?」
「そうじゃない」
「じゃなんで声殺して俺にバレないように泣いてたん?」
「それは、煌也さんだけには見られたくなかった」
「なんでなん? 弥生ちゃん」
「どんなに自分が辛くても煌也さんの前では笑顔でいたいから。今の私にはそれしか出来ない。そんな自分から逃げてると思われてもいい。それが今の私だから」
「弥生ちゃんにはかなわへん。でもな、俺やて1人の男なんよ。好きな女が自分の目の前で声殺して隠れながら泣いてたら、抱きしめたくもなる。その気持ち、弥生ちゃんなら、わかるやろ?」
「煌也さんー・・・」
「弥生ちゃんやて、俺の気持ち、わかってるんやろ?
俺が弥生ちゃんのこと想っとることぐらいわかってるんやろう?だから、我慢して笑顔でいようとしてるんやろう?」
「煌也さんはなんでもお見通しなんですね」
「好きな女のことならな。それ以外はまったくあかんけど」
「煌也さんらしいな」
「寝室キレイに片付けてくれたん?」
「はい・・・。勝ってに私物さわっちゃいましたど」
「片付けててヘンナもん、出てこんかった? 使い捨てのコンドームとか?」
「そんな物、出てきませんでした。煌也さんコンドーム使わないでしょう?」
「よーごぞんじで」
「煌也さんはしないほうがいいでしょう?」
「せやなー。やっぱ、生が1番やな。生に限る!!
俺は生じゃなきゃ感じん」
「誰もそこまで聞いてません」
「何、弥生ちゃん、顔、赤くしてん? まさか、俺とやってるところ、想像したん?」
「何、言ってるんですか?! 想像する訳ないでしょう?!」
「またまた照れちゃって。弥生ちゃんのエッチ」
「煌也さんより、ましです」
「なんでなん?」
「何千万人のファンの前で『ドエロで行こうぜ!!』とは、私、言ってませんから。そこまで私は、大胆になれません」
「俺がそうゆうキャラやから」
「じゃなきゃ、女性のファンや男性ファンを惹きつけることは出来ませんよね」
「弥生ちゃん、よー俺のこと、わかってんやな。俺をちゃんと見てるやな。アーティストとしても1人の人間としても1人の男としても」
「そうですか?」
「うん」
「ただ私は、感じたまま見たまま思ったまま、言ってるだけですよ」
「そうーなんや。弥生ちゃんにへんなこと聞いていい?」
「答えられることなら、答えますよ」
「そうーきたかー・・・」
「もしかして、今、煌也さんが考えてることって、下ネタなんじゃないですか?」
「よーわかっとるねー。」
「私に聞きたい下ネタってなんですか?」
「ほなズバリ聞くで」
「はい」
「遥樹とやったんか?」
「はぁ?!」
「だから、遥樹とエッチやったんか?」
「その質問は、正直に答えなきゃダメ?」
「答えるのが普通なんやないの?」
「なんでそんなこと私に聞くんですか?」
「俺が1人の男としても人間としても、弥生のことが本気で『好き』やから」
「煌也さんー・・・」
「どないなの?」
「遥とはしてません」
「同棲してて、してないん?!」
「はい」
「なんでなん?!」
「同棲期間が短かったから」
「どれぐれいなん?!」
「4ヶ月ぐらいですよ」
「4ヶ月も一緒にいて、遥樹は手ださんかった?!」
「まったくなかったですね」
「ほな、チューもしてへんの?!」
「してませんね」
「ほな、手つないだり、抱きしめ合うことって、なかったん?」
「それはありました」
「それだけなん?!」
「はい」
「俺やったら、我慢できん。好きな女が横で寝てるんやろ。俺やったら絶対ムリ。なのに、遥樹は我慢が出来たん?! なんでなん?!」
「なんで、遥は我慢できたんでしょうね? そこが煌也さんと遥の違いなんじゃないですか?」
「せやなー・・・。何が遥樹と違うんや?」
「1つだけヒント差し上げます」
「なんなん?」
「遥には話してあるけど、煌也さんには話してないことが1つだけあります。それが答え」
「弥生ちゃんに係わることやな。じゃなきゃ遥樹が4ヶ月も我慢できるはずがない」
「いいとこつきますね。最後に大ヒント」
「大ヒントくれるん?」
「はい。ヒントは煌也さんが今まで出したきたCDシングルの中にあります」
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