神になった私は愛され過ぎる〜神チートは自重が出来ない〜

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第三章

聡いものは考えている

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 それはこの街に残る事が決まった日の夜。リーンと一緒に居れないと分かったキールは男性陣の大部屋にてハボック、ライガ、テオドアに対して狂ったように論い始めた。
 ガンロはいつも通り飲みに出ていたのでこの弁論を免れ、ローラは女性でリーンの言いつけにより男性部屋に入れない為免れた。
 ただそれは良い事だった。
 この3人がそう思う程にこの論いを聞いているのはキツいものがあったからだ。
 後にこの答弁を伝え聞いた2人が身震いしたのは言うまでもない。
 

「分かってると思いますが、これはハルト様の今後の為にとても大事なお仕事なのです。此処に私を残すと言う事の意味が分かりますか?皆さんが頼りない、ということです」

「「「…」」」

「ガンロ様とローラさんは分かります。地質に関して言うならばガンロ様は最高の知識をお持ちのお方ですし、ローラさんは地系魔法が使えますから。しかし、御三方は体力馬鹿と真面目と女の子大好き人間。分かりますね?理解してますね?」

「「「…」」」

「はぁー、やっぱり分かってなかったのですね。言っておきますがこの土地の調査地と言うのは街の皆さんに滞在を許してもらうための表向きの理由です。本当にハルトが望んでいるのはガンロ様のお仕事です。何故か分かりますか?」

「「「…」」」

「理由は3つです。一つ皆さんに与えられた調査地内容。作物の種類、成長スピード、収穫量などなど…どれも《鑑定》すれば分かることで出向く必要がありません。此処で今すぐにでも出来ますし、ハルト様はそれ以上に良くご存知です。元々調べる必要がありません。それから二つハルト様から預かったこの“おんせん石”なる物。これはハルト様がこの街に来て1番初めに望まれた物。そしてガンロ様の仕事内容の“おんせん”を探し、作る、と酷似しております。そして3つガンロ様のお仕事に関してはあの伯爵に伝えていない。要は秘密にしておきたいという事です」

「あのさ、キール君。質問なんやけど」

「はい、なんでしょライガさん」

「理由は分かったんやけど、それなら何で初めっからそうゆうてくれへんかったんかな~ってな?思うやろ?」

 キールはギロッとライガを睨む。ライガは思わずヒィ!と声を上げてしまう程の眼力だ。
 年下相手に何をそんなに驚いている、と思うかもしれないがキールのこの行動にはリーンが関係していて、リーンが関わった案件に対してのみ信じられないほどに執着心を燃やすキールの凄みと言ったらそれはレスターの比ではないのだ。

「何馬鹿な質問してるんですか。もういいや、ハボックさんは師匠だからあれだけど、もう敬語辞めるね。あー、何で僕はこの人たちのために敬語なんて使ってたんだろ。僕より何年も多く生きてるのに」

「「「ごめんなさい」」」

「いい?ハルト様はね、一から十までは言わないの。じゃあどうする?」

「…考える、のかな」

「テオドアさん…もう、いいや。此処はハルト様欲しがった物がある土地。じゃあ?」

「また此処に来る?」

「ハボックさん惜しい!この大陸に来た目的は?」

「え!呼ばれたからやないん?」

「もう!そこからかよ!」

 呆れたと言わんばかりにイライラに任せて頭を掻きむしったキールに何も言い返せない。
 愚かしいのは分かっているが、そもそも今までは商会の運営と《鑑定》の取得の為にだけ必死になっていた。彼らはそれが仕事でそれ以外に頭を回している余裕もないくらいに正直《鑑定》のレベル上げはしんどいものだった。
 そしてその間別の街に出向いていてリーンとの直接的な接触は商会を閉じてからだった。今リーン何をしているのか、どういう状況なのか、噂でしか伝わって来なかった。
 それでもやっぱりリーンに惹かれて、共に在りたいと必死にくらいついていたのだ。
 たった8歳の子供にとやかく言われる筋合いはない。

「ほな、言うけどな。キール、お前は掃除して、好きな事勉強さしてもろて、ハルト様に守られながら屋敷ん中でヌクヌクしとったやろうがな、俺らは毎日稼いどったんねん。その上で《鑑定》取得の勉強して、取得したらレベル上げて。認められたんや。大人舐めたらあかんよ」

「じゃあ言うけど、ハルト様は何でダーナロに来たと思う?」

「そりゃ、これだけの人間に《鑑定》取得させてレベル上げまでさせたんやから、それが目的やろな」

「そうだよ。でもダーナロの人達はそれ知らないよね?ハルト様がわざわざ僕達の為に国を変えに来たとか思ってるよ」

「…そやろな」

「でもさ、もっと考えてみて?なんでダーナロだったの?何処でもいいよね、《鑑定》を覚えさせるだけなら。寧ろだよ?あんな廃れた国よりも人口の多いところに行ってやったほうが効率もいいはずでしょ?それこそ国を救う為だったんじゃないかってなるよね?じゃあダーナロ国民の方が正しいの?」

「そりゃ、何処でもええかもしれんけど、ついでに救えたらええと思ってたんちゃう?」

「なら、何でハルト様は直接王とかマンチェスターを殺しに行ったりしなかったの?散々邪魔されてきて思うように進まなかったよね?じゃあそれが一番手っ取り早いよね?で、ゆっくり国を立て直しつつライガさん達育てていけば良くない?」

「そりゃ…人殺しは神としてどうか、とか思っとったんちゃうん?」

「神は直接人殺しはしない、と。なら【勇者】連れてってやらせればいいよね。それこそ革命とかなんとか大義名分を付けてさ」

「…」

「だからってハルト様がダーナロに来て僕達を助けてくれたのはまたまただったって事になる?そしてたまたま居たのが僕達だったって事?そんなわけ無い。だから僕は考えたんだよ。今度はたまたまじゃなくて僕達を助けたいって思って貰えるように。僕達を助けて良かったって思って貰える様に。だってそうでしょ?ハルト様が何でそうしたいのか、そうしたのか、分からなかったらもう僕達は救って貰えないかもしれないんだから。まぁ、ダーナロを助けたのには他にも要因はあるんだけどね」

「他の要因って何なの?」

「テオドアさんは考えようとしてるからいいよ。教えてあげる。まぁこれは憶測だけど。テオドアさん達に《鑑定》を取得させて、ましてやレベル上げまでさせて、しかもガンロ様を連れて来たって事はハルト様は【錬金術師】が欲しかったんだと思うんだ。それも1人や2人じゃなくて大量に。それがテオドアさん達ね。それで大きい事をするのは予想が付いたけど、何するのかは流石に見当もつかない。でも《錬金術》をするにはその為の素材が必要でしょ?それで魔物が必要だったって事は分かるよね?それならダーナロが一番手っ取り早く魔法石とか素材とか集めれる。スタンピードが起こるくらいに魔物がいた訳だし」

「成程…」

「もっと言えば商会もレベル上げの為だけに作ったんじゃないかな?あ、金策もあったと思うけどそれなら赤字の安売りは必要なかったよね?職人さん達の奴だけ売れば良かったもん。あ、それで言うなら一部の貴族達にだけ売ってたのも面白かったよね。ハルト様は多分悪い奴らに快適な暮らしさせたくなかったんじゃないかな?んで、欲しいなら貢ぎなさいってね?」

「「「…」」」

「それで最後まで王を残してた理由だけど…って後は宿題かな?考えてみてよ。大人なんだからさ。ヒントはマンチェスターだよ」

「…キール君、一つだけ質問しても良いかな?」

「なーに?」

「マンチェスター伯爵は今も生きてる?」

「…へぇ。テオドアさんなかなかやるじゃん!でも、合格かどうかは明日ね。もうこんな時間だし、明日はハルト様のお見送りしたいし、僕寝るね」

「「「おやすみなさい」」」

 自分の布団に潜り込み直ぐにスースー、と寝息を立て始めたキールを確認して小声で話し始める。

「どう言う事だ。あの伯爵が生きてるって?」

「せやせや!説明してみぃ!」

「多分だけど、ハルト様には何かやらないといけない事があってその為に必要なものをかき集めてるっていうのが今で。王を殺すと楽だけど必要なものが出てこない」

「おっと!俺も分かった!なんや、キールの奴初めから答えゆうとったやないかい」

「なんだ!教えろよ!」

「…分からんのか。考えろよ…ってあぁ、キールはこんな気持ちやったんか…もう、情けのうなってきたわ」

「ほらキール君が言ってたじゃないですか。【錬金術】には魔物素材が必要だって。王を殺すと魔物出てこなかったんじゃないかなぁ」

「…ん?なんだ?じゃああのスタンピードは防げ…た…いや、これはやめておこうか。てか、それならマンチェスター関係ないだろ!」

「「…」」

 そうして、理由が分からないハボックとそれによりキールの気持ちが分かった2人はキールに逆らえなくなったと同時に羞恥心と劣等感に苛まれ、更にコテンパンに負けた事でもうプライドもズタズタで…。
 さらにリーンの思惑にも少し理解を深めた上で少しの猜疑心が生まれた。
 そして、それを知った上でリーンに使え続けている優秀すぎるキールに勝てないと悟ったのだ。









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