神になった私は愛され過ぎる〜神チートは自重が出来ない〜

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第四章

締めの温泉

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「…本当に寝てたのよね?」

「朝からそればかりだね?本当に寝てたよ」

「…だって」

「これから毎日そうなると思うよ?」

 翌朝はレスターが起こしにくるまでグッスリだった二人。
 リーンはレスターがカーテンを開ける音で目が覚めたが、リヒトは音を聞こうが、日差しを浴びようが起きる気配がない。
 この前まで毎朝リーンの為に花を摘んでいたのは別人だったのだろうか。

 リーンはそう思いながら、起きあがろうとベッドに手をつく。

「え…?」

 しかし、リーンが下敷きにしていた腕が肩に回りそれを阻止され、はだけてしまっているリヒトの胸にそのまままた逆戻りしていた。

 暫くして肩に回っていた手が緩み、もう一度起きあがろうと手をつくが、今度は腹部に手が回って逆戻り。
 暫く、黙っていたらまた力が緩んで来たので今度は気付かれないようにとゆっくり慎重に抜け出す。

「これを」

「は、はい」

 レスターに枕を渡されてリーンが抜けた穴にその枕を置く。

「…リヒト」

 呼び掛けに返事はない。
 確かに寝ている。スースー、寝息まで聞こえていた。

 リーンはリヒトにその事を問いただしていた。
 本人に確認するまでもなく寝ていたのは間違いない。レスターにその光景を見られていたのが恥ずかしかったのもあるが、起きてないのにあんなことが起きるものなのか疑問だったのだ。

「これから、デロス島にまた行くんだろ?」

「うん…」

 はぐらかされたような、流されたような…そんな気がしなくもないが、これ以上問い詰めても拉致が明かない。
 リーンは諦めてリヒトとレスターの手を取る。

「やっと来た」

「イアン、待たせてすみません」

 先行してデロス島に来ていたイアン達と合流する。

「ドール様、あのお屋敷は…」

 エイフリアと一緒に直していた屋敷。少しの間とはいえ住んでいたから愛着はあるがどうする事も出来ない。

「エイフリアがせっかく直してくれたのに申し訳ありませんが、壊す他ありません」

「そうですか…」

 とても残念そうにするエイフリア。
 気の毒だが、本当にどうする事も出来ない。

「イアン、コロンは来てますか」

「あー、魔法使いの人?確か、向こうの方に…ほら、あそこ」

 人が集まっている場所から少し離れた場所に小さな塊。
 
「コロン」

「あぁ、女神様なのね。エルフのお嬢さんから何をするのかは聞いたのね」

「怖いですか?」

「大丈夫なのね。声が掛かるまでの間、更に技術を磨いていたのね。自身満々なのね」

「では、何故こんな所に?」

「い、いつも隠れ住んでいたのね。人付き合いは苦手なのね」

「大丈夫ですよ。貴方は【大魔法師】なのですから」

「…分かっているのね」

 泣き出しそうな表情のコロン。
 今はこんな状態なので頼りなさそうに見えるかも知れないが、彼女の魔法技術は人並みはずれている。それは例え【大魔法師】にならなくてもディアブロに対抗出来るだけのものだった。

「…始めましょうか」

 デロス島を支える大地や地脈へ意識を集中させる。
 デロス島が呪われる原因となった、いや、デロス島を呪うための核となったあの忌々しい鉱石。それが以前訪れたバザールのアクセサリー屋の店主が極秘事項だと言っていたブラックオパール。
 デロス島でしか取れないと言われているこの宝石は善にも悪にもなる。

「お手伝いするのね」

「…お願いします」

 一応、神示を通して何度もシュミレーションを繰り返してはいるが、実際にやってみるのとでは感覚からして違う。
 一つ一つふるいにかけるように地中奥深くまで地面をひっくり返して調べていく。

「…一つ発見しました」

「こちらにもありました」

 そして手作業で慎重に一つ一つ丁寧に取り除いていく。

「…ッ」

「コロン無理しないで下さいね」

「これくらい大丈夫なのね」

 これから毎日これの繰り返しだ。
 かなり根気のいる作業になるだろう。
 この土地に埋まっているすべてのブラックオパールを見つけ出さなければならないのだ。

「…これが約5000個埋まっているのね」

「正確には5042個です」

 気が遠くなるような数だ。
 今日一日で一体何個見つけられるのだろうか。

 それからリーン達はお昼休憩などを挟みながらも、日が暮れる直前まで作業を進めた。リーンと【大魔法師】であるコロン以外はマナが許す限りギリギリ頑張ってくれたが、作業自体は全体の1/100も終わらなかった。

 取り敢えずはこのまま周囲にテントなどを貼って野営をしつつ作業を進めるつもりだ。
 リーンが運べるのはリーンに触れている人だけ。それで少しずつ全員運んでも良いのだが、リヒトもレスターもあのイアンでさえも許さなかった。
 それ以外の方法はティリスを呼びつけるか、マダム・リコースが作る魔法陣を使うかだが、ティリスをこれだけの為に毎日呼びつける訳には行かないし、魔法陣を使うとなるとマダムが倒れる方が早いだろう。

「向こうに戻られますか?」

「先程ガンロから連絡があったので一度戻ろうと思います」

 ガンロと職人達はそのまま桃源郷の方に留まって貰っている。職人達は連れてきた人々の要望に応えられるように。ガンロには引き続き水晶鏡の小型と量産を進めてもらう為だ。

「エイフリアを戻してほしいのでは?」

「そうかも知れませんね。魔法陣を載せるのに苦戦していると聞きましたから」

 桃源郷に戻ってきたリーンとリヒト、レスターはガンロの作業部屋へと向かう。
 ガンロの作業部屋はガンロ自身の要望でドワーフ達が居を構える街中の方に移している。

「あぁ、呼び立てて悪かったのう」

「いいえ、それで量産化についての相談とは?」

「本島から連れてきたドワーフ達じゃがな、仕事を手伝だわせて欲しいと言ってきておる。世話になっているだけじゃ申し訳ないじゃと」

「それは助かりますね。ですが、此方としてはここで今まで通りのお仕事をして貰って構わないのです」

「じゃがな、ドワーフだからと言って皆が鍛治師と言う訳じゃないからのう」

「それでしたら、水晶鏡のお手伝いをしてくれると言う方にはお給料を支払いますと伝えて頂けますか?」

 量産したいんだからやらせておけば良いだろう、とガンロは豪快に笑いながら言う。

「まぁ、良い。いくらにするかの交渉はわしに任せて置いてくれて構わん」

「よろしくお願いします」

「という訳で本体は量産可能になった訳じゃが、魔法陣を載せる手が足りないのじゃ」

「エイフリアを戻す事は出来ません。向こうの作業が進まなくなるので、必然的に皆さんが島に帰るのも遅くなってしまいますから」

「それはワシも分かっとるが、レスター。空っぽの本体だけ出来上がっても意味がないじゃろ?今はおチビちゃんが頑張ってくれてるが何分魔力が足りないからのう」

 ガンロの言うおチビちゃんとはフレディの事だ。フレディはエイフリアに習った力の使い方を今も一生懸命に練習をしているが、その空いている時間で水晶鏡の方も手伝ってくれている。

「では、ハロルド様に頼んで魔法石を取り寄せましょう」

「…まぁ、それで半年でどれだけ出来るか分からんが、手は尽くそうかの」

「私の方で連絡しておきます」

 淡々としたレスターの物言いに折れてくれたガンロにリーンは苦笑いを返す。

「ガンロ様、フレディはまだ4歳ですから、余り無理はさせないで下さいね」

「そ、そうじゃな。しっかりしとるからついつい子供だと言う事を忘れそうになっとる」

 フレディはしっかりしているが、身体は子供だ。魔力や体力面、筋肉などは子供のそれと変わらない。ガンロにしっかりと釘を刺しておく。

「温泉に行かれますか?」

「…私だけ入るのはなんだか皆んなに申し訳ないですが、今日は入らせて貰いますね」

「リーン様が遠慮される必要はありません」

 レスターはハトハ酒もご用意しておきます、と一言添えて準備をしに行ってくれた。











 
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