神になった私は愛され過ぎる〜神チートは自重が出来ない〜

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第四章

召集

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 翌日からもリーン達の作業は続いた。
 作業期間が一ヶ月を過ぎた頃には勝手が分かってきて、初めの頃に比べれば格段に作業ペースは早くなっていた。理不尽にも故郷を離れる事になってしまったドワーフ達のためにも1日でも早く作業を終わらせたいところではあるが、やはりそれでも見込み通りの半年と言う期間は変わらず、今も島には作業員としている私達以外には人っ子一人居ない。

 前を見れば、住む人々が居なくなった物悲しい街並み。だが、振り返れば見渡す限り草花一つない完全なる焼け野原。

「リーン様、そろそろ」

「はい。コロン、エイフリア。すみませんが、私は一度向こうに戻ります」

「いってらっしゃいなのね」

「此方はお任せください」

 そんな地道な作業が続く中、悪魔との契約魔法の解除の準備が整ったと報告があった。
 幾ら神の権能を使えるとは言ってもそれを行うものは本物の神ではない。よってその力は不安定で脆弱。ましてやエマ、並びにアイリスのような呪いなどの類を断ち切りのはとても大変なこと。
 その為にフレディは魔力の高め方と儀式の方法をエイフリアから教わっていた。

「リーン様!」

「お待たせしました、アイリス嬢」

「リーン様…まだ、そうお呼びになるんですか…?」

「アイリス嬢は男爵令嬢様ですから。仕方がありません」

 むくれたようすのアイリスに微笑みを返して儀式を完璧に行う為に用意していた場所へと向かう。

 リーン用に作られたレスターが管理者となっている屋敷の裏庭。そこに建てられたガゼボのような美しい建物。周辺は草花に囲われていて時折吹く風も心地よい。

 儀式に特別必要な物はない。勿論、対価もないと言えるが、強いて言えばフレディの神経がすり減っていく事だろう。前述した通り、フレディに与えられた神の権能【神子】の力はポンポンと好き勝手に使える物ではない。
 もし、そんなのが可能ならば、この世界はもうとっくの昔に超大国になっているか、もしくは滅びていただろう。

「ハルト様…」

 既に集中している様子のフレディが扉が開く音に反応して振り返る。フレディの目の前にある猫足の可愛らしいベッドには完全に意識を無くしたエマがまるで永遠の眠りについているかのように安らかな表情で寝ていて、近くには心配そうな表情をするベンの姿もある。
 周囲の雰囲気も相まってまるで死者蘇生でもするかのように見える。ただ、そんな雰囲気をぶち壊すようなように周りには沢山の物が置かれている。
 リーンがフレディに与えたクマのぬいぐるみ、摘めるような軽食やお菓子、ジュースも数種類、そして仮眠できるような布団や休憩用のソファにクッション。
 此処で籠城できるくらいのものが揃っている。
 曰く、儀式には集中力が必要で、曰く、儀式中は心穏やかでないといけないらしい。

「宜しくお願いしますね」

「はい、お任せください」

 最近までの子どもらしい仕草は何処へやら。その仮面は完全に外して、今や大人と対等に話している。それを敢えて誰も突っ込まない。皆分かっていたかの様に優しく見守っている。

「アイリス様もこちらに」

「は、はい!」

 小さく深呼吸したフレディは落ち着いた声でアイリスにベッドに寝るように誘導する。

「ハルト様、お昼過ぎには終わるかと思いますが…」

「はい。大丈夫ですよ」

「この後はガンロ様達のところですよね?」

「えぇ」

 フレディの落ち着いた声が部屋に反響して響く。
 ガゼボは全体が大理石の様な石造りなので天井などに声が反響するようになっているみたいだ。そんな大掛かりな建物を作ったのはドレイク。巨人並みの体格のお陰なのか、彼の才能なのか、ものの数日でこれだけの物が建つのだから素晴らしい。

「それが終わる頃にはお願いします」

「大丈夫ですよ」

 ガゼボの近くにリーン用に用意された別の机と椅子。
 そこにも当然ながら軽食やお菓子、飲み物が用意されている。
 本当はずっと近くで見ていて欲しい、という気持ちだけど忙しいリーンにそれを言えるほどもう子供ではない。いや、見た目は子供だろうが。

「アイリスさん」

「はい…」

 フレディは優しい手つきでアイリスの目元に触れて瞳を下ろさせる。

「姿勢は楽な状態で。横向きでも大丈夫ですよ」

「はい」

「では、始めます」

 フレディの声にリーンはうん、と頷いて微笑む。フレディはそれを見て、もう彼には似合わないはずのクマのぬいぐるみを抱きしめて、近くのクッションの上に座る。

「リーン様」

「はい、あと少しだけ」

 儀式が始まってしまえば、後は見守るほかに出来る事はない。椅子が一つしかないから仕方がないのかもしれないが、リヒトの膝の上に乗って優雅にお茶とお菓子を食べている状況はまるで緊張感がないが、リーンがフレディを、そしてエマとアイリスを心配する気持ちは本物だ。

「リーンはおるか」

「ガンロ様、遅れてしまい申し訳ありません」

「いや、気にするな。もう少し後にするか?」

 リーンは少しフレディの後ろ姿を見る。

「大丈夫です。皆さんお揃いですか?」

「あぁ、首を長くして待っているのが沢山いるぞ」

 三人のこの儀式もとても重要だが、今日はもう一つ重要なことがある。

「この前くれた魔法石とヒョロヒョロのお陰で取り敢えずの目処はたったぞ?」

「フォークネルには何か褒美を取らせないとですね。それで、いつ頃になりそうですか?」

「とりあえず、浄化が終わる頃には終わると思うがの」

 水晶鏡を用いた個人識別カードの制作数の目処が立った。
 それに先駆けて、この個人識別カードを世界中に素早く広めさせる為に協力者を募ったのだ。

「お待たせしました」

 想像たる顔ぶれが今ここに集まっている。

「私まで呼んでいただけるとは思いませんでした」

「公爵様、お久しぶりです」

 帝都エルムではかなりお世話になったハーニアム公爵。

「久しぶりだな。こんなに早く会えるとは思ってなかった」

「久しぶりですね。その後は如何ですか?」

 苦労と疲労が顔に滲み出ているキングストン皇太子。

「リーン様!私はいつでもお伺いしますのに…何故、マダムを…?」

「それは、マダムの方から定住をご希望されたからですよ」

 悲しげな表情で恨めしそうに言うティリス。

「女神様。此処は本当に何というか…。変わった作りをしてますのね」

「後で温泉にもご案内しますね」

 キョロキョロと物珍しそうに室内を観察しているエリザベス。

「ガンロがおるのにワシもここにおって良いのかな」

「えぇ。陛下にもご協力いただきたいのです」

 国王なのに自らも水晶鏡の制作を手伝ってくれているバルドゥル。

 そして、彼らと共に招かれているのも皆、見知った顔ぶれだ。
 彼とは直接会ったことはないが、ハーニアム公爵の側近ヒャダルディンやキングストンの妹ルルティアの侍従だったクローテライト、苦労人ビビアン・ヴィカー、エリザベスの夫で護衛のレオン、そして、ガビロンだ。

「突然のお声がけにも関わらず、お集まり頂きありがとうございます」

 リーンの挨拶に皆静かにこくりと頷く。
 リーンが何をするのか、何のために集められたのか、皆分かっているからだ。











 
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