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番外編:可愛いは凶器

前編

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12/28にムーンライトノベルズさまの方で日間ランキング1位というとんでもないプレゼントをいただきました。

これは皆様に何かお返しをしなければ……!? と思いまして、
それならその後の日常のイチャイチャを、ジスラン視点で書いてみよう! と思ったわけです。

──ごめんなさい。
ジスランはイケメンだと信じていたい方は回れ右をお願いしますすみませんごめんなさい。
*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*



いつだか誰かが「可愛いは凶器だ」と言っていた事がある。
その時は何を言っているんだ、可愛いは可愛いだろう、と思っていたのだが──
今なら分かる。

可愛いは凶器だ。



「髪型?」

きょとん、と小さく首を傾げる妻が可愛すぎて腰を引き寄せる。

「普段も十二分に可愛いが……あの日の髪型も良かったと思ってな」

こめかみや柔らかな頬に唇を寄せながら言うと、妻は途端に何やら苦虫を噛み潰しまくったような顔をした──俺の妻はそんな顔すらも可愛い。

「あの日は聖なる日で……デート、の約束してたから、馬鹿男の為におしゃれしまくってて……可愛いって言って貰えるのは嬉しいけど、ものすごぉ~く複雑」
「そうか……すまない」

思い出したくない事を思い出させてしまったかと謝罪すれば妻はぱちりと瞬いて、そしてふわりと頬を染めて「好き」と抱きついてきた。

──妻が可愛い。
可愛いが過ぎて、今俺は鋭利な刃物で心臓を一突きにされたような衝撃を覚えた。

これは、どうやら朝から忍耐力を試されているらしい。
押し倒してしまいたいのを必死で堪えつつ、せめてと妻の唇を味わいまくっていたら妻の身体からふにゃりと力が抜けてしまった。

仕事に遅れさせてはいけないと抱き上げて妻の勤めるパン屋まで送って行くと、パン屋の主人に呆れたような顔をされたが気にせず妻をよろしくお願いしますと頭を下げる。
朝から可愛い妻が悪いのだと、心の中で言い訳をしながら。

離れがたくはあるが、俺もこれから仕事だ。
また夕方にと言うと、妻がちょんと俺の服を引いて来た。
少し屈んで妻に顔を寄せると、つま先を目一杯立てて頬にキスをくれる。

「行ってらっしゃい、ジスランも仕事がんばってね」

少し照れたように微笑まれて、その笑顔のあまりの可愛さに「すまないが今すぐ連れ帰っても良いだろうか」と出かかったのを必死で飲み込むと、俺は妻の可愛さから逃げるように踵を返した。


❊❊❊❊❊ ✽ ❊❊❊❊❊

その夜、寝支度を整え終えたはずの妻が鏡の前で髪を編み始めた。

「ノエル?」

今から出かけるわけでもあるまいに何をしているのだろうかと声を掛けると、妻が鏡越しに俺を見ながら「明日の準備」と言う。
──明日?
明日は互いに休みの日ではあるが、何か約束をしていただろうか。
全く思い出せずに内心で激しく動揺していると、"準備"を終えたらしい妻が「だって」と呟いた。

「あの時の髪型が可愛かったって、言ってくれたし……やってみようかなって……。その、ジスランのために、おしゃれ」
「……っ!!」

横っ面をメイスで殴打されたような衝撃を覚える。
あぁ、俺の妻は本当に何て可愛いんだ。

朝我慢した熱が一瞬で爆発した。

「ひゃっ、ちょっ……!だめだめだめ!髪の毛崩れちゃう……!」 

流石にご両親のベッドを使うのは何となく気が引けていたので(引けていただけで使わせては頂いたが)最近ようやく新調した二人寝用のベッドに妻を押し倒そうとしたら、恐らくは妻の全力で胸を押し返された。

「俺の妻が、俺の為に、可愛くなろうとしているのに、我慢など出来るわけがないだろう?」
「で、でも、編んだのが崩れちゃったら結局台無しでね……!?」

今夜はダメーー!と必死で腕を突っ張っている妻の姿に暫く考えて、髪が崩れないようにするにはやはりこれかと、妻の身体をくるりと四つん這いにさせる。

「ちょ、ジスラン……っ!?」
「これならば、大丈夫だろう?」
「えぇ……?ど、どうだろ…………あっ」

抱き込むように覆い被さってうなじに唇を落とすと、妻の身体がぴくりと跳ねる。
俺の手の平にすっぽりと収まる胸の感触を楽しむと、妻の口からだめぇと抵抗するような言葉が漏れるが、その声音は甘い。
これは駄目ではないなと判じて指先で頂をくるりと撫でると、途端にぷくりと立ち上がる。
柔らかな胸を揉みながらツンと尖ったそこを指で挟むようにしてコリコリと刺激すると、妻が可愛らしい声を上げた。
夜着のスカートを捲り上げて下着の脇から差し入れた指を割れ目に滑らせると、既にそこはしっとりと潤い始めている。

「あっ……あぁん……」

くちり くちりと立つ小さな音に合わせて妻が甘い声で啼く。
下着を下ろして妻のナカへ指を沈ませると、妻の口からは陶然としたような吐息混じりの声が零れた。

「はぁ……あっ……ぁん……ジスラン……っ」
「ダメ、ではなさそうだな?」
「んんっ……いじわる……っ」

くちゅくちゅと水気の増した音が響き始めると、妻の腰も物欲しそうに揺れ始める。
もう何度も俺を受け入れてくれているが、万が一にでも傷つけるような事はしたくないので念入りに解して──そうして蜜がとろとろと零れ始めて充分に潤ったところでゆっくりと指を抜いて、愛液で濡れた指を舐めてからその細腰を掴む。

「ノエル、挿れるぞ」

囁くように確認すると、妻がこくこくと頷いた。
馴染んできてくれているものの、妻のナカはいまだにキツいままだ。
後ろからともなると更に締まるそこを押し開くように、ゆっくりと妻の中へと侵入する。

「あっ……あぁ……ジスラン……っ」
「くっ……」

きゅうっと締め付けられて、小さく声が漏れてしまう。
一番奥まで一気に貫いてめちゃくちゃに腰を振りたい衝動を堪えて、ゆっくり、ゆっくりと己に言い聞かせながら腰を動かす。

「ジスラン……きもちい……っ」
「あぁ、俺もだ」

俺の動きに合わせて接合部がくちゅくちゅと音を立てる。
ゆっくり動いているせいか、妻のナカがしっとりと絡みついてくるようで気持ち良い。
──確かに気持ち良いのだが、このままでは俺が達するのは無理かもしないと、今夜は妻を好くしてやる事に注力する事にする。
となれば、と妻の肩を軽く押さえるように力を込めると、察してくれたのか妻が上半身をシーツに預けて、臀を突き出すような恰好でうつ伏せになる。
体勢を変えたその動きで滑って抜けてしまった自身を妻の秘裂に押し付けながら背中に唇を落とすと、んん、と鼻にかかったような声が聞こえた。
その甘い声に思わず──思わずだ。決してわざとそうしたわけではない──一気に、一番奥まで挿れてしまった。

「やぁぁんっ!!」

ぐちゅりと水音が立つとともに妻の背がビクリと跳ねて、そして小さな手がシーツをぎゅうっと握りしめる。

「すまない、堪えられなかった」

シーツを握る妻の手に自身の手を重ねて、そして詫びのつもりで背中中あちこちに唇を落として、時折強く吸う。
肩や肩甲骨にも紅い徴を咲かせていると、妻が僅かに身動いだ。

「んっ……じすらん…………」
「もう、動いても良いか?」
「……ん」

枕に額を押し付けたままこくんと小さく頷いたのを確認して、最後に背中の真ん中に徴を一つ。
そして腰を引くと、今度こそゆっくりと腰を進める。


「んっ……あん、そこ……!そこ、もっと……!」

甘く強請られて、亀頭を腹の側にしつこいくらいに擦り付けてから妻の一番奥、子宮の入り口をとんっと突くと妻が一際高い声を上げた。

「じすら……じすらん……っ」

最奥をノックするように突いていると、妻が小さく首を振った。

「ノエル?」

好くなかったのだろうかと動きを止めて様子を伺うと、妻が肩越しに振り返ってくる。

「……っと……て……」
「ん?」

小さな声で何か言われたが、上手く聞き取れずに顔を寄せる。
と、その動きで妻の奥を刺激してしまったらしく、妻の口からきゃうっと子犬のような可愛い声が漏れて、そしてうぅっと恥ずかしそうな顔をした妻から小さく睨まれてしまった。──いや、奥を突いてしまったのはわざとではない。不可抗力だ。

「もっと……いっぱい、して……」
「いっぱい?」
「……ゆっくりじゃなくて……その……っは、はげしく……して欲し……っ」

喜んで!と即答したいところではあったが、ぐっと堪えて妻の編まれている毛先を掬い取ると、そこに口付ける。

「だが、崩れてしまっては駄目なのだろう?」
「う……っ」
「崩れても構わないなら、いつものようにするが」
「うぅ……っ」

暫くうーうーと唸っていた妻が、ぽすんと枕に顔を埋める。

「さぁ、どうする?」

背中に覆い被さるように、今度は故意にぐっと奥を刺激すると、妻の身体が小さく震えた。
そうして枕に頭を預けたまま少しだけ俺の方に顔を向けた妻が、こちらを伺うように潤んだ瞳を向けて来る。

「……ジスラン……いつもみたいに、激しく、して?」

──大槌で吹っ飛ばされた。



「やっ……!あぁっ……あっ、あんっ……はげし……っ!」
「激しくして、と言ったのは、ノエルだろう?」
「でもぉ……っあっ……!あんっ……っはげし、すぎ……っあ、ぁんっ!」

ぱんぱんと身体のぶつかる音が響く。
激しくして、と言われた俺は、妻の要望に応えるべく妻の最奥に向けて穿つように腰を打ち付け続けている。
妻が枕に額を押し付けていやいやと首を振り始めると、妻のナカがきゅうきゅうと俺を締め付け始めた。

「イって良いぞ?」

妻の善がるポイントを擦って腰を回して、そうしてとどめとばかりに最奥を突くと妻の身体がびくりと大きく震える。

「じすら……あっ、いく……っ!あ、あぁぁぁっ──!」
「ノエル……っ!」

達した妻のナカが絞り取るようにビクビクと収縮するのに誘われるまま、俺も妻のナカへと白濁を放った──
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