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SS置き場

贈り物は要注意!

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長の書けない期やら何やらで、随分とご無沙汰してしまいました。
リクエストを頂いた「ノエルが媚薬を飲んじゃう話」です。
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「ジスラン、荷物だって~」

 また王都のお友達からかな? と配達員から受け取ったばかりの小さな包みを差し出してきたノエルに礼を言って、俺はとりあえず包みをくるりと一周させてみる。
 表に宛先が書かれているだけのその包みは、誰からの荷物かは分からない。
 だが分からないからこそ、分かる。

 ‎──これはまた、陛下あの方からに違いない。

 あの方は時折、王都で流行っているからだの何だのとおかしな物を送り付けてくる。
 大抵がいわゆる夜の──「ラブグッズ」などと呼ばれる類のもので、今まで送られて来たもののほとんどは使うことも出来ず、かと言って処分にも困り、仕方なくキャビネットの奥に仕舞い込んである。
 恐らくは今回もそんな物だろうと、茶を淹れてくれようとしているノエルがこちらに背を向けて湯を沸かしている事を確認してから、慎重に包みを開けてみる。

 包みの中にはいつも通り記名のない、けれど見慣れた手蹟の乗った小さなカードが一枚と、小瓶が二本。
 今度は一体なんだとカードの文字を目で追って──はぁぁ、と息を落とした。

『変わりはないか? 今回は新しく発売されたという滋養強壮剤を送ろう。
 効果抜群だぞ』

 最後の一文に、まさか使ったのか……と思わず遠い目になる。
 「滋養強壮剤」と書かれているが、恐らくは媚薬効果のような物がある類だろう。
 学舎の頃から幾度かお言葉を交わした事のある王妃殿下の淑やかなを姿を思い浮かべて、しかしすぐに頭を振る。
 一体王妃殿下はどのような目に遭われたのだろうか、などと、間違えても考えてはならないだろう。

 これならば中身を捨ててしまえば問題ないな、と包みから小瓶を取り出して、そうしてカードの方はすぐに火魔法で塵へと変じさせる。

「わぁ、可愛い瓶だね」

 背後からそう声をかけられて、しまったと内心で舌打ちを落とす。
 いつの間にか茶を淹れ終えたノエルがカップを手に戻って来ていたらしい。

「あぁ……その、身体に良い飲み物、だそうだ」
「へぇ。二本あるなら、私も一本飲んでみても良い?」
「な……っ!? だ、駄目だ! 絶対にやめてくれ!」

 思わずばっと小瓶を抱え込むと、ノエルがきょとんと俺を見て来る。
 その不思議そうな表情に、自身の反応が過剰であった事に気付くが……もう遅い。

「あ、いや……この方……こいつが送って来る物は、その……変な物、も多くてな……。もしかしたら、物凄く不味い、とか、何かそういう事があるかもしれない」

 しどろもどろでそう答えた俺に、ノエルは小さく首を傾げてから、分かったと頷いた。

「不味いのは嫌だよね。とりあえず、今はノエルちゃんの淹れた美味しいお茶でもいかが?」

 どうぞ、と冗談めかして差し出されたカップをほっと息をつきながら受け取って、ありがとうと礼を言うと口をつけた。
 ‎──何とか誤魔化せただろうか、と安心してしまった俺は、この時すっかりと忘れていたのだ。

 俺の妻は存外好奇心が強い、という事を。



「ジスラ……っ」

 風呂を終えた俺が目にしたのは、テーブルの脇でうずくまっているノエルの姿だった。

「ノエル……!? どうした? 具合でも悪くなったか!?」

 慌てて駆け寄って、その身を抱き起こす。

「ふぁ……っ!」

 びくりと身体を跳ねさせたノエルは大きな瞳を潤ませ、息を乱している。
 その様にまさか、とテーブルの上に視線を向ける。

 そこには蓋がされたままの瓶が一本と、開けられた瓶が一本、置かれていた。
 そう。寝る前に処分をしてしまおうと、まだそこに置いたままだった、例の物だ。

「あれを飲んだのか!?」
「ご……ごめんなさ……ひとくちだけって……おもったら、あまくて、おいしく、て……っん……っ」

 甘いのか、と思いながらも、俺は即座にノエルを抱き上げると寝室へと向かう。

「すまない……俺が誤魔化さずに説明していれば……いや、すぐに処分しておけば良かった」
「ん……せつめ……? あ、はぁ……っ」

 そっとベッドにノエルを下ろすと、その刺激だけでもノエルは身をくねらせる。
 はぁはぁと艶めかしく息を乱すノエルを抱き締めて、チェリーのような唇をちゅっと吸う。

「あれは……恐らくは媚薬だ」
「……び、やく……?」
「あぁ──いつも、そういう変な物を送って来るんだ」
「だ、から……だめって……」

 ごめんなさい、と更に瞳を潤ませたノエルの頬を撫でる。

「いや、俺がきちんとしていなかったのが悪いんであって、ノエルが謝る事ではない」
「ん……ぅん……ごめ、なさ……っ」

 ノエルの瞳からぽろりと零れ落ちた涙を舌先ですくって、唇を重ねる。
 強請るように、しかし遠慮がちに絡められた舌に応えれば、ほんのりと甘い香りがした。

「──大丈夫だ。すぐに楽にしてやる」

 囁くとノエルはふるりと身体を震わせて、そして小さく頷いた。


「あ……っあ、ん……っ」
「効果抜群、というのは本当だな」

 まだろくに触れてもいないそこは、しかし既に雄を誘う香りを放ちながら蜜を滴らせていた。
 解そうと沈ませた指は、難なく蜜壷に飲み込まれていく。

「すぐにでも挿れられそうだ」
「っ……ん、ほし……ジスラン、ちょうだい……」
「解さないと辛いだろう」

 ノエルの身体を心配してそう言うと、ノエルはふるふると頭を振って強請るように腰を揺らす。

「へーき、だから……おく……奥に、ちょうだい」
「だが……」
「ほしいの……っジスラン、はやく……っ」
「っ……!」

 涙を零しながら懇願されて、情けないことに俺のムスコは即座に臨戦態勢をとってしまった。

「──辛かったら、言ってくれ」
「ん、へーき……ジスラン……ジスラン、きて……」

 ノエルはそう言いながら、自ら足を開いてみせた。
 最愛の妻からの淫らすぎる誘いにくそっと悪態をついて、その足を大きく開かせる。
 ノエルの蜜口に先端を擦りつけて、解しきれていないせいか普段よりも幾分キツい中を押し開くように進んでいく。

「ノエル、辛くはないか?」
「い……きもち、い……の、じすらん……」

 ノエルの蕩けるような表情に、堪らずにそれまでゆっくり進めていた自身でノエルの最奥を一突きする。

「あぁぁっ!」

 びくりと身体を跳ねさせたノエルの中が収縮して、ぎゅうっと締め付けられた。

「っ……もうイったのか? いつもより、締め付けがすごいな」
「ジスラン、もっと、して……奥、たくさん……っ」
「あぁ、まだ足りないんだろう? ノエルが満たされるまで、いくらでも突いてやろう」

 一度メトリソウの催淫毒を浴びた身であるから、もたらされる性衝動がどれ程の物かは分かるつもりだ。
 また「ごめんなさい」と言いかけたノエルの頬を「謝るな」の意味を込めてふに、とつまめば、ノエルはくしゃりと泣き笑いのような表情をしてみせた。



「くっ……!」

 ノエルの内壁に早く射精せとばかりに絡みつかれて、誘われるままに吐精する。

「あ、つい……あついの、じすらん……もっと……っ」

〝滋養強壮剤〟の効果は相当な物のようで、ノエルは既に数度達しているものの、それでもまだ足りないらしい。
 伸ばされた手を取って、ぐっとその身を抱き寄せる。

「もっと、か?」
「ん……もっとほし……ごめんなさい、じすらん……」

 息を乱し腰を揺らしながらも、ノエルはごめんなさいと繰り返して涙を零す。

「言っているだろう、ノエルは悪くない。謝る必要などない」

 眦に口付けて宥めるように頭を撫でると、ノエルはぎゅうっと抱きついてきた。
 その身体を抱き返して、萎えることなく硬度を保ったままの自身をゆっくりと出し入れする。

「あぁ……っあ、はぁ……」

 ぐちゅ、ぐちゅ、と水音が立つ度に艶やかな吐息のような声を上げるノエルをベッドに押さえ付けるようにして、耳元で囁く。

「行くぞ」

 俺の宣言に、ノエルの中が応えるようにきゅうっと締まった。


「あ、あぁ……っイッて……イッてるの……! イッてる、か、……っあ、やぁっ!!」
「さっきから、ずっとイきっぱなしだな? ノエル」
「ひ、ん……っもぉ、や……っおかしく、なっちゃ……あぁっ、あっ」
「おかしくなれば良い。淫らに、いやらしく。俺で乱れて、乱れて! おかしくなれ!」

 その細腰を押さえつけて、がつんと突き上げる。

「あぁぁっ! あっ、あっ、じすら……あぁっ、らめっ……もぉ……あぁんっ!」

 身体を跳ねさせてただ善がり啼くノエルの、溢れる涙も飲み下しきれずに口端から伝う唾液も、嬌声も吐息すらも。
 全てを唇で、舌で、受け止めながら、俺は‎びくびくと痙攣するノエルを何度も何度も突き上げる。

「も、しんじゃう……っ! じすらん……あっ、あんっ……あぁぁぁっ!」
「ノエル……っ!」

 びくりと一際大きく身を弾ませたノエルにとどめとばかりに自身を穿って、そうして最奥に熱を放つ。
 ドクドクと中を満たしていく熱を恍惚とした表情で受け止めていたノエルは、だが俺の熱が治まるとぐったりとベッドに身を沈ませた。
 数度腰を打ち付けて最後の一滴までをノエルの中に注ぎ切ると、俺は意識を失ったノエルの身体を腕の中に閉じ込めた──。



❊❊❊ ✽ ❊❊❊

「え……? 取っておく、の……?」
「一度に全部を飲まなければ、適度な興奮・・・・・で済むのではないかと思ったんだが」
「そ、そう……かもしれないけど、でも……」

 もう一本残っている「滋養強壮剤」を少しずつ使わないか、という提案に、ノエルは昨夜の事を思い出したのか頬を染めて俯いた。
 その愛らしさに、思わずその身を抱き締める。
 
「幸い明日も休日だ……試してみるか?」

 囁くように言いながら素肌のままの背をつ、と指でなぞると、ノエルはぴくんと身体を震わせた。

「きょ……今日は、無理……休みたい……」

 昨晩幾度も達した影響か、ノエルはもう間もなく昼になるという今になっても起き上がれずにいる。
 勿論これから試そうなどと本気で思っていたわけではなかったから、冗談だと、まだ怠そうなノエルの頬に軽く口付けて、俺は食事の支度をするべくベッドを下りた。


 そうして次の休日前夜。
 渋るノエルを説得して互いに一口ずつ飲んでみたのだが……

 あの方に追加で送って欲しいと依頼したくなる程に良い時・・・を過ごせた、とだけ言っておこう。


~おしまい~



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お読み頂きましてありがとうございました♡
"あの方"からのプレゼントはシリーズにしたら楽しいかもな、などと思っていたりします(´ω`*)
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