17 / 387
駆け出し転生者ウタ
使命
しおりを挟む
「で、次は、ウタがお前を助けたって話だが……?」
「分かっている。ちゃんと説明しよう」
ドラゴンはその巨体をくねらせ、僕の目の前に来た。て、敵意がないとはいえ怖いっすよ……。
「お主、我の眼を突いたな」
「はいぃっ! ごめんなさい!」
「その行為が我を助けたのだ」
「……え?」
普通、『目潰しっ!』ってされて『たすかったぜぇ!』ってなるのか? ならないよね? 間違ってないよね、僕。
「アリア殿、最近、我らドラゴンの様子がおかしいと、そう思ったことはないか?」
「……あぁ、あるぞ。この間のこともそうだし、こいつが家無しになったっていうのも、どうやらドラゴンが家を焼いたらしい」
そういえばアリアさんは、ドラゴンは知能が高くて、人里を襲うようなことはしなかったって言ってた。それが、最近おかしくなったって。
「我らも、お主らを襲おうなんて本当は考えていない。だが……一年前、だったろうか? 何者かが我らの中に『闇』を落としたのだ。その闇は、我らの自我を奪い、暴走させた」
いや待って! ドラゴン――話を聞くかぎり、かなりたくさんの――を暴走させるだけの闇って! そしてそれを落としたやつって!
「すぐにでもどうにかしたかったが、闇を祓うには、闇そのものの弱点を退魔の力で突かなければならないのだ」
「なるほど、だからウタが助けたってことになるのか」
「待ってついていけてない」
僕だけおいてけぼりだ。すると、アリアさんは僕が握ったままの剣をちょいちょいと指差して笑う。
「その剣、退魔の力が備わっているんだ」
「ええっ?!」
「流通しているもので退魔の力が備わっているのはまれだが、屋敷にあるものは大体そうだ。万が一の時ようにな」
「そんなのいきなり渡したんですかぁ?!」
「それしかなかったんでなぁ」
「ノリが軽いっ!」
「操られ暴走したとしても我らはドラゴン。人の力ではなかなか祓えなくてな。
お主のステータスがあがり、たまたまとはいえ、弱点である眼を突いたから、我は解放されたのだ」
……たまたま、ねぇ。
たまたま僕のスキルが発動してて、たまたま根気強く鑑定してて、たまたま退魔の剣を持ってて、たまたま……たまたますぎない!?
まぁそれはともかく、これで僕が助けたってことも説明された。……よし、あれだ。
「僕に遣えるっていうのは……?」
「そういう決まりだ」
「どういう決まり!?」
もっと詳しく! くーわーしーくー!
「龍の世界ではな、自分よりも強い者に遣えるのが決まりでな」
「ふむふむ……む?」
ジブンヨリモツヨイモノ……?
「僕はレベル1だったんですけど……」
「あぁ、そうだな。そしていくらお主が強いスキルを持っていて、ステータス上限が無いにしても勇気を発動させていない今のお主なら、我は捻り潰せる」
「怖いこと言わないでぇ!」
「ウタ、落ち着け。敵意はないみたいだぞ。ものの例えだ」
「例えにしては趣味悪いです!」
「正直そんな相手に遣えるのは非常に、非常に! 不本意だが……。仕方ない、決まりだ」
「めっちゃ不本意!」
うん、まぁそうだよね。高校の先輩が幼稚園児だったら嫌だよね。それと同じようなことだよね多分。
「……なぁ、さっきから言ってる『遣える』っていうのは、お前をウタが使役する……っていうことなのか?」
「いや、それは無理だ。レベル差がありすぎる」
「じゃあどうやって……?」
「さっきお前のスキルに『ドラゴン召喚』を入れておいた」
「はっ! いつの間にっ?!」
急いでステータスを確認する。
名前 ウタ
種族 人間
年齢 17
職業 村人(仮)
レベル 12
HP 18000
MP 9600
スキル 言語理解・アイテムボックス・鑑定・暗視・剣術(初級)・体術(初級)・初級魔法(熟練度1.5)・使役(初級)・ドラゴン召喚←これ! これぇ!!!
ユニークスキル 女神の加護・勇気
称号 転生者・ヘタレ・敵前逃亡
なんか追加されてる! いつやったのこれ! お、恐るべしレベル100……。
「我はこの通りの見た目だから共に行くことはできない。力が必要なときはそのスキルを発動させろ。仮にもお主は我の恩人である。出来るだけのことはしたい」
「擬人化とか出来ないんですね……」
「逆になぜ出来ると思った」
「だって……ねぇ?」
「なぜ私を見る」
……これで、終わりかな、説明。
ふぅっと一息つく僕の隣でアリアさんがドラゴンに訊ねる。
「なぁ、お前たちに闇を落としたのは誰なんだ? どんなやつか分かるか?」
「……それがな」
ふと、ドラゴンの言葉が濁る。
「分からないのか?」
「いや、わずかに情報はある。だがな……」
「なんだ、もったいぶらずに話せ」
ドラゴンはゆっくりと言葉を紡いだ。今までにないようななにかを警戒しているような口調だった。
「分かっているのは、そいつが男性であること、灰色の髪で黒い眼を持つこと。……そして、あるスキルを持っていることだ」
「あるスキル……?」
「…………『勇気』」
僕とアリアさん、二人の思考が停止する。
「やつは、『勇気』を持っている。やつはその力で、この世界を破壊しようとしている。
そして、そんなときに、お主が来た。同じ『勇気』というスキルを持った、お主が」
「……それって、つまり」
「……転生者は、皆、役割を持ってこの世界へと送られるらしい」
ドラゴンは、金色の眼をゆっくりと閉じる。
「やつを打ち倒すこと。それがお前の使命なのかもしれないな」
「分かっている。ちゃんと説明しよう」
ドラゴンはその巨体をくねらせ、僕の目の前に来た。て、敵意がないとはいえ怖いっすよ……。
「お主、我の眼を突いたな」
「はいぃっ! ごめんなさい!」
「その行為が我を助けたのだ」
「……え?」
普通、『目潰しっ!』ってされて『たすかったぜぇ!』ってなるのか? ならないよね? 間違ってないよね、僕。
「アリア殿、最近、我らドラゴンの様子がおかしいと、そう思ったことはないか?」
「……あぁ、あるぞ。この間のこともそうだし、こいつが家無しになったっていうのも、どうやらドラゴンが家を焼いたらしい」
そういえばアリアさんは、ドラゴンは知能が高くて、人里を襲うようなことはしなかったって言ってた。それが、最近おかしくなったって。
「我らも、お主らを襲おうなんて本当は考えていない。だが……一年前、だったろうか? 何者かが我らの中に『闇』を落としたのだ。その闇は、我らの自我を奪い、暴走させた」
いや待って! ドラゴン――話を聞くかぎり、かなりたくさんの――を暴走させるだけの闇って! そしてそれを落としたやつって!
「すぐにでもどうにかしたかったが、闇を祓うには、闇そのものの弱点を退魔の力で突かなければならないのだ」
「なるほど、だからウタが助けたってことになるのか」
「待ってついていけてない」
僕だけおいてけぼりだ。すると、アリアさんは僕が握ったままの剣をちょいちょいと指差して笑う。
「その剣、退魔の力が備わっているんだ」
「ええっ?!」
「流通しているもので退魔の力が備わっているのはまれだが、屋敷にあるものは大体そうだ。万が一の時ようにな」
「そんなのいきなり渡したんですかぁ?!」
「それしかなかったんでなぁ」
「ノリが軽いっ!」
「操られ暴走したとしても我らはドラゴン。人の力ではなかなか祓えなくてな。
お主のステータスがあがり、たまたまとはいえ、弱点である眼を突いたから、我は解放されたのだ」
……たまたま、ねぇ。
たまたま僕のスキルが発動してて、たまたま根気強く鑑定してて、たまたま退魔の剣を持ってて、たまたま……たまたますぎない!?
まぁそれはともかく、これで僕が助けたってことも説明された。……よし、あれだ。
「僕に遣えるっていうのは……?」
「そういう決まりだ」
「どういう決まり!?」
もっと詳しく! くーわーしーくー!
「龍の世界ではな、自分よりも強い者に遣えるのが決まりでな」
「ふむふむ……む?」
ジブンヨリモツヨイモノ……?
「僕はレベル1だったんですけど……」
「あぁ、そうだな。そしていくらお主が強いスキルを持っていて、ステータス上限が無いにしても勇気を発動させていない今のお主なら、我は捻り潰せる」
「怖いこと言わないでぇ!」
「ウタ、落ち着け。敵意はないみたいだぞ。ものの例えだ」
「例えにしては趣味悪いです!」
「正直そんな相手に遣えるのは非常に、非常に! 不本意だが……。仕方ない、決まりだ」
「めっちゃ不本意!」
うん、まぁそうだよね。高校の先輩が幼稚園児だったら嫌だよね。それと同じようなことだよね多分。
「……なぁ、さっきから言ってる『遣える』っていうのは、お前をウタが使役する……っていうことなのか?」
「いや、それは無理だ。レベル差がありすぎる」
「じゃあどうやって……?」
「さっきお前のスキルに『ドラゴン召喚』を入れておいた」
「はっ! いつの間にっ?!」
急いでステータスを確認する。
名前 ウタ
種族 人間
年齢 17
職業 村人(仮)
レベル 12
HP 18000
MP 9600
スキル 言語理解・アイテムボックス・鑑定・暗視・剣術(初級)・体術(初級)・初級魔法(熟練度1.5)・使役(初級)・ドラゴン召喚←これ! これぇ!!!
ユニークスキル 女神の加護・勇気
称号 転生者・ヘタレ・敵前逃亡
なんか追加されてる! いつやったのこれ! お、恐るべしレベル100……。
「我はこの通りの見た目だから共に行くことはできない。力が必要なときはそのスキルを発動させろ。仮にもお主は我の恩人である。出来るだけのことはしたい」
「擬人化とか出来ないんですね……」
「逆になぜ出来ると思った」
「だって……ねぇ?」
「なぜ私を見る」
……これで、終わりかな、説明。
ふぅっと一息つく僕の隣でアリアさんがドラゴンに訊ねる。
「なぁ、お前たちに闇を落としたのは誰なんだ? どんなやつか分かるか?」
「……それがな」
ふと、ドラゴンの言葉が濁る。
「分からないのか?」
「いや、わずかに情報はある。だがな……」
「なんだ、もったいぶらずに話せ」
ドラゴンはゆっくりと言葉を紡いだ。今までにないようななにかを警戒しているような口調だった。
「分かっているのは、そいつが男性であること、灰色の髪で黒い眼を持つこと。……そして、あるスキルを持っていることだ」
「あるスキル……?」
「…………『勇気』」
僕とアリアさん、二人の思考が停止する。
「やつは、『勇気』を持っている。やつはその力で、この世界を破壊しようとしている。
そして、そんなときに、お主が来た。同じ『勇気』というスキルを持った、お主が」
「……それって、つまり」
「……転生者は、皆、役割を持ってこの世界へと送られるらしい」
ドラゴンは、金色の眼をゆっくりと閉じる。
「やつを打ち倒すこと。それがお前の使命なのかもしれないな」
0
あなたにおすすめの小説
3点スキルと食事転生。食いしん坊の幸福無双。〜メシ作るために、貰ったスキル、完全に戦闘狂向き〜
幸運寺大大吉丸◎ 書籍発売中
ファンタジー
伯爵家の当主と側室の子であるリアムは転生者である。
転生した時に、目立たないから大丈夫と貰ったスキルが、転生して直後、ひょんなことから1番知られてはいけない人にバレてしまう。
- 週間最高ランキング:総合297位
- ゲス要素があります。
- この話はフィクションです。
【本編完結】転生令嬢は自覚なしに無双する
ベル
ファンタジー
ふと目を開けると、私は7歳くらいの女の子の姿になっていた。
きらびやかな装飾が施された部屋に、ふかふかのベット。忠実な使用人に溺愛する両親と兄。
私は戸惑いながら鏡に映る顔に驚愕することになる。
この顔って、マルスティア伯爵令嬢の幼少期じゃない?
私さっきまで確か映画館にいたはずなんだけど、どうして見ていた映画の中の脇役になってしまっているの?!
映画化された漫画の物語の中に転生してしまった女の子が、実はとてつもない魔力を隠し持った裏ボスキャラであることを自覚しないまま、どんどん怪物を倒して無双していくお話。
設定はゆるいです
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
御家騒動なんて真っ平ごめんです〜捨てられた双子の片割れは平凡な人生を歩みたい〜
伽羅
ファンタジー
【幼少期】
双子の弟に殺された…と思ったら、何故か赤ん坊に生まれ変わっていた。
ここはもしかして異世界か?
だが、そこでも双子だったため、後継者争いを懸念する親に孤児院の前に捨てられてしまう。
ようやく里親が見つかり、平和に暮らせると思っていたが…。
【学院期】
学院に通い出すとそこには双子の片割れのエドワード王子も通っていた。
周りに双子だとバレないように学院生活を送っていたが、何故かエドワード王子の影武者をする事になり…。
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
悪徳領主の息子に転生しました
アルト
ファンタジー
悪徳領主。その息子として現代っ子であった一人の青年が転生を果たす。
領民からは嫌われ、私腹を肥やす為にと過分過ぎる税を搾り取った結果、家の外に出た瞬間にその息子である『ナガレ』が領民にデカイ石を投げつけられ、意識不明の重体に。
そんな折に転生を果たすという不遇っぷり。
「ちょ、ま、死亡フラグ立ち過ぎだろおおおおお?!」
こんな状態ではいつ死ぬか分かったもんじゃない。
一刻も早い改善を……!と四苦八苦するも、転生前の人格からは末期過ぎる口調だけは受け継いでる始末。
これなんて無理ゲー??
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました
下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。
ご都合主義のSS。
お父様、キャラチェンジが激しくないですか。
小説家になろう様でも投稿しています。
突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる