122 / 387
ワクワク! ドキドキ! 小人ライフ!
似ている
しおりを挟む
「…………ぅ……ここ、は……?」
「姉さん……っ!」
目を覚ましたサラさんにアリアさんが抱きつく。
あのあと、僕らは気を失ったままのサラさんをつれて山を降りた。街では気を失っていて、ラトさんが面倒を見ていたはずのサラさんが消えて大騒ぎになっていた。そこで僕たちがサラさんをつれて戻ると、半泣きのラトさんがサラさんを抱えたアリアさんを抱えてダッシュで城へ走っていった。なかなかシュールな映像だったけど……。
なにはともあれ、サラさんが無事だったことがわかり、みんなひと安心。色々と事情を聞かれたけど、起こした問題とサラさんの救助で相殺されて、特にお咎めもなかった。
ちなみにベリズの行く末は……知りません。
そんなこんながあって、今は深夜3時。フローラとポロンくんはとっくに寝ていて、僕とアリアさんと、帰ってきた国王陛下だけが起きていて、サラさんの容態を見守っていた状態だ。
「アリア……? 父上も、ウタも……」
サラさんはゆっくりと体を起こし、辺りを見渡し、まだはっきりとしない思考回路で今の状況を整理しているようだった。
「よかった……本当に、よかった…………」
「サラ……お前はもう少し、『姫』という立場を理解した方がいいんじゃないか?」
「…………」
「一体どれだけの人に心配をかけたと思っている」
「陛下! ……サラさんがいなかったら、僕らも、街の人たちも、危険な目に遭っていたんです。だから」
「分かっているさ。本当のことを言えば……一番心配していたのは私だ」
「……父上…………」
「お前の無事が確認できてよかった。……アリアちゃん、ウタくん、あとは任せるよ。私は明日があるのでな。先に休ませてもらう」
「……はい」
エヴァンさんの時も思ったけれど……どれだけ高い地位にいる人でも、家族を……娘を想う気持ちは、一緒なんだなーって。
そう思うと、考えてしまう。
僕が死んだとき、お父さんとお母さんは、何を思ったんだろうって。
「……アリア、大丈夫だから、少し離れてくれないか?」
サラさんが困ったようにやんわりというと、アリアさんはハッとしたようにサラさんから離れた。
「ご、ごめん姉さん。その……つい」
「ははっ。全く……成長したかと思ったら全然変わってなかったり、面白いなぁ、お前は」
サラさんはそうクスクスと笑う。……その仕草は、どこかアリアさんに似ていた。
「姉さん……?」
「……お前、いつから男が大丈夫になった?」
「え?」
「えっ、アリアさんって……男の人、苦手なんですか?」
僕バリバリ男なんですけど……っていうか、部屋割りの件とか最初に声かけてくれた時点で、男に耐性あるのかと。
「あー、その……」
「アリアが8才くらいの頃に、私と一緒に誘拐されかかったことがあってな」
「えー?! そ、そうなんですか!?」
「そうそう。私がぶっとばしたから被害はなかったんだけど、その犯人が男でさ。それから怖くなったみたいで、ずっと引きずってたんだ。んで、初対面の男とは上手く話せなくてな」
「そ、それは昔の話で」
「今は大丈夫なのか?」
「……時と場合にもよる、けど。あと、安全が100%保証されてる人なら平気だ」
「じゃあ、キルナンスの時とか結構怖かったんじゃ……」
「でもほら、お前らがいただろ?」
「……僕は?」
そもそも論。僕はどうして大丈夫なのか。名前や行動が女子っぽくてヘタレで、危険度が低いのはそりゃ分かるだろうけど、だからといって最初っから全く抵抗がないのは変だ。
「それは、私がお前を男として全く見ていないからだろうな」
「ひどい!」
「ははっ……嘘だよ。ちゃんと男として見ている面はあるさ。でも、なんでだろうな……お前だけは、会ったときから全然大丈夫なんだ。
ポロンとか、ドラくんとかは年齢とか種族とかの問題があって大丈夫だけど、お前に関しては謎だ」
「な、謎って……」
するとサラさんがどっと笑い始めた。
「あっははは! お前ら、本当に面白いな! 見ていて飽きない」
「えー、今の会話にそんなに大笑いするところありました?」
「あったあった! 大いにあったよ。
……これは、私の推測なんだけどな」
少し落ち着いて、サラさんが言う。
「ウタは、ディランに似てるんじゃないかな」
「……ディランさんに、ですか?」
こくりと頷くと、サラさんはクッションに背中を預けて続ける。
「……あのとき、一瞬だけお前の顔をみた。ベリズに向かう、お前の横顔を」
「…………」
「あのとき、私は、お前をディランと重ねたよ。お前が私たちを思って行動するように、ディランも、自分のことは二の次に、私たち……特にアリアことを最優先に行動していた。
お前は、ディランに似ていた」
それから、アリアさんの方を向いて、優しく笑いかける。
「……お前も、そうだったんじゃないかな、と、私は思うんだ」
「……ディランに…………」
「『勇気』という特別なスキルを発動させているときも、そうじゃないときも、ウタはディランにどこか似ている。なにより……アリアが頼れるという点が同じだ」
「…………」
「……と、私は想うんだが、アリアはどう思う?」
そのサラさんの問いに、少し考えてから、にっこりと微笑んでアリアさんはいう。
「……そう、かもな」
僕は、どんな顔をしたらいいのか分からなかった。
僕は本当は、そんな人間じゃないのに……。
そんな僕の表情の変化を静かに読み取ったのは、サラさんだけだった。
そのせいか、僕らが部屋に戻ろうと、アリアさんが外に出て、僕も続けて出ようと思ったとき、「ウタ」と僕だけに聞こえる静かに名前を呼び、その後、
「……無理は、絶対にするなよ」
と真剣な顔で言われた。僕はなにも言わずに、部屋の扉を閉めた。
「姉さん……っ!」
目を覚ましたサラさんにアリアさんが抱きつく。
あのあと、僕らは気を失ったままのサラさんをつれて山を降りた。街では気を失っていて、ラトさんが面倒を見ていたはずのサラさんが消えて大騒ぎになっていた。そこで僕たちがサラさんをつれて戻ると、半泣きのラトさんがサラさんを抱えたアリアさんを抱えてダッシュで城へ走っていった。なかなかシュールな映像だったけど……。
なにはともあれ、サラさんが無事だったことがわかり、みんなひと安心。色々と事情を聞かれたけど、起こした問題とサラさんの救助で相殺されて、特にお咎めもなかった。
ちなみにベリズの行く末は……知りません。
そんなこんながあって、今は深夜3時。フローラとポロンくんはとっくに寝ていて、僕とアリアさんと、帰ってきた国王陛下だけが起きていて、サラさんの容態を見守っていた状態だ。
「アリア……? 父上も、ウタも……」
サラさんはゆっくりと体を起こし、辺りを見渡し、まだはっきりとしない思考回路で今の状況を整理しているようだった。
「よかった……本当に、よかった…………」
「サラ……お前はもう少し、『姫』という立場を理解した方がいいんじゃないか?」
「…………」
「一体どれだけの人に心配をかけたと思っている」
「陛下! ……サラさんがいなかったら、僕らも、街の人たちも、危険な目に遭っていたんです。だから」
「分かっているさ。本当のことを言えば……一番心配していたのは私だ」
「……父上…………」
「お前の無事が確認できてよかった。……アリアちゃん、ウタくん、あとは任せるよ。私は明日があるのでな。先に休ませてもらう」
「……はい」
エヴァンさんの時も思ったけれど……どれだけ高い地位にいる人でも、家族を……娘を想う気持ちは、一緒なんだなーって。
そう思うと、考えてしまう。
僕が死んだとき、お父さんとお母さんは、何を思ったんだろうって。
「……アリア、大丈夫だから、少し離れてくれないか?」
サラさんが困ったようにやんわりというと、アリアさんはハッとしたようにサラさんから離れた。
「ご、ごめん姉さん。その……つい」
「ははっ。全く……成長したかと思ったら全然変わってなかったり、面白いなぁ、お前は」
サラさんはそうクスクスと笑う。……その仕草は、どこかアリアさんに似ていた。
「姉さん……?」
「……お前、いつから男が大丈夫になった?」
「え?」
「えっ、アリアさんって……男の人、苦手なんですか?」
僕バリバリ男なんですけど……っていうか、部屋割りの件とか最初に声かけてくれた時点で、男に耐性あるのかと。
「あー、その……」
「アリアが8才くらいの頃に、私と一緒に誘拐されかかったことがあってな」
「えー?! そ、そうなんですか!?」
「そうそう。私がぶっとばしたから被害はなかったんだけど、その犯人が男でさ。それから怖くなったみたいで、ずっと引きずってたんだ。んで、初対面の男とは上手く話せなくてな」
「そ、それは昔の話で」
「今は大丈夫なのか?」
「……時と場合にもよる、けど。あと、安全が100%保証されてる人なら平気だ」
「じゃあ、キルナンスの時とか結構怖かったんじゃ……」
「でもほら、お前らがいただろ?」
「……僕は?」
そもそも論。僕はどうして大丈夫なのか。名前や行動が女子っぽくてヘタレで、危険度が低いのはそりゃ分かるだろうけど、だからといって最初っから全く抵抗がないのは変だ。
「それは、私がお前を男として全く見ていないからだろうな」
「ひどい!」
「ははっ……嘘だよ。ちゃんと男として見ている面はあるさ。でも、なんでだろうな……お前だけは、会ったときから全然大丈夫なんだ。
ポロンとか、ドラくんとかは年齢とか種族とかの問題があって大丈夫だけど、お前に関しては謎だ」
「な、謎って……」
するとサラさんがどっと笑い始めた。
「あっははは! お前ら、本当に面白いな! 見ていて飽きない」
「えー、今の会話にそんなに大笑いするところありました?」
「あったあった! 大いにあったよ。
……これは、私の推測なんだけどな」
少し落ち着いて、サラさんが言う。
「ウタは、ディランに似てるんじゃないかな」
「……ディランさんに、ですか?」
こくりと頷くと、サラさんはクッションに背中を預けて続ける。
「……あのとき、一瞬だけお前の顔をみた。ベリズに向かう、お前の横顔を」
「…………」
「あのとき、私は、お前をディランと重ねたよ。お前が私たちを思って行動するように、ディランも、自分のことは二の次に、私たち……特にアリアことを最優先に行動していた。
お前は、ディランに似ていた」
それから、アリアさんの方を向いて、優しく笑いかける。
「……お前も、そうだったんじゃないかな、と、私は思うんだ」
「……ディランに…………」
「『勇気』という特別なスキルを発動させているときも、そうじゃないときも、ウタはディランにどこか似ている。なにより……アリアが頼れるという点が同じだ」
「…………」
「……と、私は想うんだが、アリアはどう思う?」
そのサラさんの問いに、少し考えてから、にっこりと微笑んでアリアさんはいう。
「……そう、かもな」
僕は、どんな顔をしたらいいのか分からなかった。
僕は本当は、そんな人間じゃないのに……。
そんな僕の表情の変化を静かに読み取ったのは、サラさんだけだった。
そのせいか、僕らが部屋に戻ろうと、アリアさんが外に出て、僕も続けて出ようと思ったとき、「ウタ」と僕だけに聞こえる静かに名前を呼び、その後、
「……無理は、絶対にするなよ」
と真剣な顔で言われた。僕はなにも言わずに、部屋の扉を閉めた。
0
あなたにおすすめの小説
3点スキルと食事転生。食いしん坊の幸福無双。〜メシ作るために、貰ったスキル、完全に戦闘狂向き〜
幸運寺大大吉丸◎ 書籍発売中
ファンタジー
伯爵家の当主と側室の子であるリアムは転生者である。
転生した時に、目立たないから大丈夫と貰ったスキルが、転生して直後、ひょんなことから1番知られてはいけない人にバレてしまう。
- 週間最高ランキング:総合297位
- ゲス要素があります。
- この話はフィクションです。
【本編完結】転生令嬢は自覚なしに無双する
ベル
ファンタジー
ふと目を開けると、私は7歳くらいの女の子の姿になっていた。
きらびやかな装飾が施された部屋に、ふかふかのベット。忠実な使用人に溺愛する両親と兄。
私は戸惑いながら鏡に映る顔に驚愕することになる。
この顔って、マルスティア伯爵令嬢の幼少期じゃない?
私さっきまで確か映画館にいたはずなんだけど、どうして見ていた映画の中の脇役になってしまっているの?!
映画化された漫画の物語の中に転生してしまった女の子が、実はとてつもない魔力を隠し持った裏ボスキャラであることを自覚しないまま、どんどん怪物を倒して無双していくお話。
設定はゆるいです
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
御家騒動なんて真っ平ごめんです〜捨てられた双子の片割れは平凡な人生を歩みたい〜
伽羅
ファンタジー
【幼少期】
双子の弟に殺された…と思ったら、何故か赤ん坊に生まれ変わっていた。
ここはもしかして異世界か?
だが、そこでも双子だったため、後継者争いを懸念する親に孤児院の前に捨てられてしまう。
ようやく里親が見つかり、平和に暮らせると思っていたが…。
【学院期】
学院に通い出すとそこには双子の片割れのエドワード王子も通っていた。
周りに双子だとバレないように学院生活を送っていたが、何故かエドワード王子の影武者をする事になり…。
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
悪徳領主の息子に転生しました
アルト
ファンタジー
悪徳領主。その息子として現代っ子であった一人の青年が転生を果たす。
領民からは嫌われ、私腹を肥やす為にと過分過ぎる税を搾り取った結果、家の外に出た瞬間にその息子である『ナガレ』が領民にデカイ石を投げつけられ、意識不明の重体に。
そんな折に転生を果たすという不遇っぷり。
「ちょ、ま、死亡フラグ立ち過ぎだろおおおおお?!」
こんな状態ではいつ死ぬか分かったもんじゃない。
一刻も早い改善を……!と四苦八苦するも、転生前の人格からは末期過ぎる口調だけは受け継いでる始末。
これなんて無理ゲー??
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました
下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。
ご都合主義のSS。
お父様、キャラチェンジが激しくないですか。
小説家になろう様でも投稿しています。
突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる