チート能力解放するにはヘタレを卒業しなきゃいけない

植木鉢たかはし

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迷子の迷子の冒険者捜索!

後ろ

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「シャインっ!」


 とにかくポロンくんの動きを止めないと……! そう思って唱えた光魔法だったが、自分でもビックリするくらいの光が左手から溢れ出す。と同時に、僕はあることに気がついた。


(……右腕が、痛くない…………?)


 ちらりとそちらに目を向けると、破れ、赤く染まった服の内側にあるであろう傷が、綺麗に無くなってしまっているのに気がついた。
 まさかと思って、ステータスを開く。



名前 ウタ

種族 人間

年齢 17

職業 冒険者

レベル 2200

HP 3300000

MP 1760000

スキル 言語理解・アイテムボックス・鑑定・暗視・剣術(超上級)・体術(超上級)・初級魔法(熟練度50)・光魔法(熟練度30)・炎魔法(熟練度20)・氷魔法(熟練度15)・水魔法(熟練度10)・回復魔法(熟練度15)・使役(超上級)・ドラゴン召喚

ユニークスキル 女神の加護・勇気

称号 転生者・ヘタレ・敵前逃亡・C級冒険者



 ここでか……! 僕はぐっと歯を食い縛る。今までで一番発動してほしくないタイミングだった。
 もとより、ポロンくんを傷つける気なんてこれっぽっちもないのだが、それでも、身を守るために魔法は必要不可欠。しかし『勇気』が発動してしまっている今、ほんの少しの魔法でも、いつもとは比べ物にならない威力になる。


(……気づくきっかけが光魔法と傷でよかった。シャインランスとか、洒落にならないや)


 強い光で満ちるなか、僕はアリアさん、フローラ、先帝を見て言う。


「あいつをお願いします! 僕はポロンくんを相手しますから!」

「……お主、この力は、一体」

「説明はあとでしますから! 早く!」

「……ウタ…………」

「…………」


 本当に大丈夫なのかと、念を押すかのようにアリアさんとフローラが僕を見る。


「……心配しなくても、大丈夫だよ。仲間だもん」

「ウタさん……」

「二人とも、僕を信じるなら、一緒にポロンくんも信じてください。絶対に大丈夫だよ!」

「…………」


 意を決したように二人が男の方へ走り出す。
 そうだ。『勇気』が発動しているということは、あいつを鑑定することが出来る。
 ポロンくんの動きに気を付けながらも、僕は男を鑑定した。



名前 レクス

種族 人間

年齢 36

職業 冒険者

レベル 95

HP 30000

MP 12000

スキル アイテムボックス・鑑定・暗視・偽装・剣術(上級)・体術(上級)・初級魔法(熟練度9)・闇魔法(熟練度6)・炎魔法(熟練度5)・土魔法(熟練度5)・水魔法(熟練度5)

ユニークスキル 操り人形

称号 売人のプロ・アニキ・冷酷


操り人形……紐を取り、踊らせる。人一人の自我を奪い、意のままに操ることが出来る。発動時間は5時間。二人以上は不可。また、発動している間、対象を変えることも出来ない。



 ……先帝を少し上回るくらいの力か。『操り人形』で二人以上操れないのが不幸中の幸いか。僕はアリアさんたちに叫ぶ。


「そいつはレベル95! 闇土炎水魔法が使えます! 熟練土は闇は6、他は5です! 剣術と体術は――」


 他の情報も渡そうとすると、ひゅんっとナイフが僕を掠めた。危ない。あまり油断してもいられない。
 向こうはレベル95……あちらに加勢した方がいいのか? それとも、やっぱりポロンくんを押さえておいた方がいいのか?

 ……思わぬところで『勇気』が発動したせいで、判断すべきことが増えてしまった。どうしたらいい? どうするのが正解なんだ?


『目と耳で得た情報だけを信じるな。大事なのは過去と今。それを繋ぎ合わせれば、きっと大丈夫』


 ふっと、おさくさんの言葉を思い出す。目と耳で得た情報……今ここで、ポロンくんと戦っているという事実、レクスがポロンくんを操っているという事実、アリアさんたちがレクスを倒そうとしている事実。……そして、それがギリギリの戦いになるだろうという事実。
 どれを信じて、どれを信じるなというのだ。どれも本当に起こっていることで、嘘じゃない。


「……俺に敵うなんて、思うな」

「人数を含めて互角の戦い。敵わないなんて思わない!」


 アリアさんが言い返す。……こんな状況だけど、心の中で応援した。
 『もっと言ってやれ! 男なんか怖くないんだから!』って。


「それは違うな。俺とお前らは、互角じゃない」


 ……そこで気がついた。
 ポロンくんは、操られている。今こうして戦っているのも、そうしろと命じられたからだ。

 もし、今、別の命令を受けたら、それを実行するだろう。


「っ……わ!」


 窃盗を使われると姿が見えない。やはり、相手の姿が見えないとよく分からない。
 再び現れたポロンくんは、またこちらに向かってくる。

 ……あれ? まさか…………。


「大した自信じゃのぉ。なにか、お主にそうさせるものがあるのか?」

「あるさ、ここに。
 ――ポル・ポロン」


 その声に、打ち合っていたポロンくんの体がピクリと反応する。そして、窃盗を使い、姿を消した。

 ……もしかしてポロンくん、このことを見越したうえで…………?


「ここに来て俺を守れ。そして、マルティネス・アリアを捕らえろ」


 再びポロンくんが現れたのは、レクスとアリアさんのちょうど間。アリアさんは魔法を放とうとして……出来なくて、ポロンくんは容赦なく風魔法で、


「ウェーブ!」

「なっ……うぁぁぁぁぁっ?!」


 背後で微笑んでいたレクスを、吹き飛ばした。
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