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迷子の迷子の冒険者捜索!
閑話 不思議な単語帳
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僕はある日、畳んだ布団の上に座り込み、なんとなーく例の英単語帳を見てぼんやり考えていた。
ペラペラとめくり、閉じ、裏表紙やら背表紙やらを見て、また考え込む。うーん、やっぱり解せないなぁ。
「……さっきからどうしたんですか? 単語帳見つめて、考え込んで」
そんな僕を不思議に思ったのか、フローラが顔を覗き込むようにして僕に訊ねる。優しい黄緑色の髪が揺れ、ふわりと花の香りがした気がした。
「あー……うん、不思議だなぁって思ってさ」
「何がですか?」
「グッドオーシャンフィールドの商品なんだけどさ? おさくさん、僕らに売られてるこれ、非売品だっていってたよね」
「非売品って書いて、がらくたですけどね」
「まぁ、それは今はいいとして、がらくたって言っても、割りと役に立ってるから、見越して渡されてるのかなーとか思うわけ」
「そうですね。個性の塊'sなら、その辺り見越していても不思議じゃありませんからね」
「それでさ、不思議なんだよ」
「……あの、全く分からないんですけど」
僕は持っていた単語帳をペラペラとめくりながらフローラを見上げた。
「これさぁ……なんで単語帳なんだと思う?」
「……え?」
「プチ魔道書な訳でしょ? 普通にそう書いておけばいいのになーって」
「あー……まぁ、確かにそうですね」
めちゃくちゃちっちゃい疑問だけど、それでも、一度気になったら頭から離れなくなってしまったのだ。
すると、玄関から扉が開いたような音がする。
「たっだいまー!」
「お昼の材料、買ってきたぞ」
「あ、アリアさん! ポロンくん! おかえりなさい!」
「今日はポロンが担当だったよな」
「うん! おいら頑張るよ!」
最近では、宿にキッチンがあると、そこで料理を作るようになっている。当番制で、正直ポロンくんとかフローラとかの腕に負ける。
二人が帰ってきたので、今話していたことを伝えると、ポロンくんがお昼の準備をしながら言う。
「確かに、そう言えばそうだよなー。語呂合わせとか考えるの無駄に疲れるだろ」
「そうだな。人件費どうこうとか言ってたが、語呂合わせじゃなく普通に呪文を書き連ねた方が楽だ」
「どうして単語帳か気になる?」
「そりゃ気になりますよ。何だかんだ助けてもらってますし、単語覚えちゃうし」
「教えてあげよっか?」
「えー、いいんです……かぁぁぁぁぁっ?!」
「お、おさく!?」
「いつの間に……」
「今の間に?」
例のごとくぬるりと会話に溶け込んできたおさくさんは、畳にごろりと横になり、めっちゃくつろいでた。
「畳っていいよねー、この独特なイグサの香りがねぇ……。ま、こっちのイグサそっくりの植物なんだけどさ」
おさくさんは体を起こし、その場にあぐらをかくと、僕らに向かってにこりと笑いかけた。
「知りたい? なんで英単語帳なのか」
「し、知りたいです」
「私たちも気になってきたからなぁ」
「おいら気になる!」
「私もです!」
ポロンくんはお昼の準備をしながらだけど、僕らはその場に座り、おさくさんの話を聞く形になった。
「うちらの場合は、魔法があとなのよ」
「…………は?」
ゴメン、チョットワカンナイナァ。
「元々塊'sのみんな、現役女子高校だったわけよ? 魔法とかない世界で生まれて育ってきたのね?」
「日本生まれですもんね。故郷同じです」
「うん、知ってる! で、だ」
おさくさんは、ちょっと言葉をため、じっと僕らを見て言った。
「……英語の先生に、めっっっちゃムカつくやつがいたんだ」
「……そんなにムカつくのか」
「めちゃくちゃムカつくんだよ! なんだよあのくそケチジジイ! 頭だけじゃなく言動までハゲ散らかしやがって!」
溜まってらっしゃる。
「しかもだ! 単語テストが多い多い……。さらに使ってる単語帳が塊's全員に相性が悪くて、勉強してもボーダーの8割が取れない! んで、私は思ったわけだよ。
『単語、語呂合わせにしたら覚えられるんじゃね……?』ってね」
「そ、そんなことが……」
「試しに一回分ジュノンと語呂合わせつくってさ、ノー勉のテラーに朝15分で伝授してみたわけさ。そしたらー、」
「そ、そしたら……?」
「8割とれた」
「うっそ!」
そ、それはすごい……。高校生時代に出会っていたかった。
「で、それから語呂合わせを毎回毎回考え続けてストックされたのがこれらですな!
はい、そこで召喚された。魔法の中の……特殊魔法? あるじゃん? シエルトとか」
「ありますね」
「覚えられない!」
ま、魔法もか……。いや確かに、僕はあんまり特殊魔法とか使ったことないからいいかもしれないけど、塊'sはそもそも高いステータスで使う機会も種類も多かったのかもしれない。
「そんなとき、持ち物に語呂合わせつきの単語帳を見つけた」
「……あ」
「語呂合わせの単語と無理矢理くっつければいいんじゃね?」
「……あんまりよくないですよね?」
「そうだな」
「でも、効果抜群! みんなすっかりしっかり覚えられたよ! ありがとう単語帳! そんなお話でした」
この単語帳、割りと歴史が長いのな……。
「さぁーて、話したらお腹すいてきたなぁー。ポロンくーん! お昼なぁにー?」
「今日は……って、おさくの分はねーよ!」
「材料買ってきたから作ってー?」
「……ま、いいけどさ」
「やったぜ」
「まさか、これが狙いか……?」
「お邪魔してまーす」
「色々遅いですよ!?」
……Unfinishedは、今日も平和です。
ペラペラとめくり、閉じ、裏表紙やら背表紙やらを見て、また考え込む。うーん、やっぱり解せないなぁ。
「……さっきからどうしたんですか? 単語帳見つめて、考え込んで」
そんな僕を不思議に思ったのか、フローラが顔を覗き込むようにして僕に訊ねる。優しい黄緑色の髪が揺れ、ふわりと花の香りがした気がした。
「あー……うん、不思議だなぁって思ってさ」
「何がですか?」
「グッドオーシャンフィールドの商品なんだけどさ? おさくさん、僕らに売られてるこれ、非売品だっていってたよね」
「非売品って書いて、がらくたですけどね」
「まぁ、それは今はいいとして、がらくたって言っても、割りと役に立ってるから、見越して渡されてるのかなーとか思うわけ」
「そうですね。個性の塊'sなら、その辺り見越していても不思議じゃありませんからね」
「それでさ、不思議なんだよ」
「……あの、全く分からないんですけど」
僕は持っていた単語帳をペラペラとめくりながらフローラを見上げた。
「これさぁ……なんで単語帳なんだと思う?」
「……え?」
「プチ魔道書な訳でしょ? 普通にそう書いておけばいいのになーって」
「あー……まぁ、確かにそうですね」
めちゃくちゃちっちゃい疑問だけど、それでも、一度気になったら頭から離れなくなってしまったのだ。
すると、玄関から扉が開いたような音がする。
「たっだいまー!」
「お昼の材料、買ってきたぞ」
「あ、アリアさん! ポロンくん! おかえりなさい!」
「今日はポロンが担当だったよな」
「うん! おいら頑張るよ!」
最近では、宿にキッチンがあると、そこで料理を作るようになっている。当番制で、正直ポロンくんとかフローラとかの腕に負ける。
二人が帰ってきたので、今話していたことを伝えると、ポロンくんがお昼の準備をしながら言う。
「確かに、そう言えばそうだよなー。語呂合わせとか考えるの無駄に疲れるだろ」
「そうだな。人件費どうこうとか言ってたが、語呂合わせじゃなく普通に呪文を書き連ねた方が楽だ」
「どうして単語帳か気になる?」
「そりゃ気になりますよ。何だかんだ助けてもらってますし、単語覚えちゃうし」
「教えてあげよっか?」
「えー、いいんです……かぁぁぁぁぁっ?!」
「お、おさく!?」
「いつの間に……」
「今の間に?」
例のごとくぬるりと会話に溶け込んできたおさくさんは、畳にごろりと横になり、めっちゃくつろいでた。
「畳っていいよねー、この独特なイグサの香りがねぇ……。ま、こっちのイグサそっくりの植物なんだけどさ」
おさくさんは体を起こし、その場にあぐらをかくと、僕らに向かってにこりと笑いかけた。
「知りたい? なんで英単語帳なのか」
「し、知りたいです」
「私たちも気になってきたからなぁ」
「おいら気になる!」
「私もです!」
ポロンくんはお昼の準備をしながらだけど、僕らはその場に座り、おさくさんの話を聞く形になった。
「うちらの場合は、魔法があとなのよ」
「…………は?」
ゴメン、チョットワカンナイナァ。
「元々塊'sのみんな、現役女子高校だったわけよ? 魔法とかない世界で生まれて育ってきたのね?」
「日本生まれですもんね。故郷同じです」
「うん、知ってる! で、だ」
おさくさんは、ちょっと言葉をため、じっと僕らを見て言った。
「……英語の先生に、めっっっちゃムカつくやつがいたんだ」
「……そんなにムカつくのか」
「めちゃくちゃムカつくんだよ! なんだよあのくそケチジジイ! 頭だけじゃなく言動までハゲ散らかしやがって!」
溜まってらっしゃる。
「しかもだ! 単語テストが多い多い……。さらに使ってる単語帳が塊's全員に相性が悪くて、勉強してもボーダーの8割が取れない! んで、私は思ったわけだよ。
『単語、語呂合わせにしたら覚えられるんじゃね……?』ってね」
「そ、そんなことが……」
「試しに一回分ジュノンと語呂合わせつくってさ、ノー勉のテラーに朝15分で伝授してみたわけさ。そしたらー、」
「そ、そしたら……?」
「8割とれた」
「うっそ!」
そ、それはすごい……。高校生時代に出会っていたかった。
「で、それから語呂合わせを毎回毎回考え続けてストックされたのがこれらですな!
はい、そこで召喚された。魔法の中の……特殊魔法? あるじゃん? シエルトとか」
「ありますね」
「覚えられない!」
ま、魔法もか……。いや確かに、僕はあんまり特殊魔法とか使ったことないからいいかもしれないけど、塊'sはそもそも高いステータスで使う機会も種類も多かったのかもしれない。
「そんなとき、持ち物に語呂合わせつきの単語帳を見つけた」
「……あ」
「語呂合わせの単語と無理矢理くっつければいいんじゃね?」
「……あんまりよくないですよね?」
「そうだな」
「でも、効果抜群! みんなすっかりしっかり覚えられたよ! ありがとう単語帳! そんなお話でした」
この単語帳、割りと歴史が長いのな……。
「さぁーて、話したらお腹すいてきたなぁー。ポロンくーん! お昼なぁにー?」
「今日は……って、おさくの分はねーよ!」
「材料買ってきたから作ってー?」
「……ま、いいけどさ」
「やったぜ」
「まさか、これが狙いか……?」
「お邪魔してまーす」
「色々遅いですよ!?」
……Unfinishedは、今日も平和です。
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