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闇夜に舞う者は
気づかないと思ってる?
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朝、僕が起きると、ちょっとレアな風景が広がっていた。
小さく丸くなって眠るスラちゃん……は、いつも通りなのだが、そのスラちゃんを守るかのように体を少し丸め、寄り添いながらドラくんが……本来の姿で眠っていた。
「あ、ウタさんおはようございます」
「おはようフローラ。……これ、どういうこと?」
「分かんないですけど、アリアさんか起きたときからこうだったみたいで。ドラくんがまだ寝てるなんて珍しいから、しばらくこのままにしておこうって」
「そっか」
「あ、今アリアさんとポロンが魚とりに行ってるんです。私も行ってきますね!」
「あ、うん。僕もあとで顔洗いに行くよ」
たたたっとフローラが駆けていく。それを見届けた僕は、二人の横にちょっと腰かけた。
……そもそも、普段なら誰よりも早く起きているドラくんがこんな時間まで寝ているのも不思議だが、なにより、スラちゃんと、それもドラゴンの姿で寝ているとなると……レア度が高い。
「……とても写真が撮りたい」
「撮るかい?」
「はい、撮りま……って、えぇっ?! おさ」
「しーっ。……起きちゃうじゃん?」
言いながらおさくさんはインスタントカメラを手渡してきた。……はしっこを見れば、GOFと印字されている。スゴすぎるよ、グッドオーシャンフィールド。
「……撮らなくていいの?」
「……撮ります」
パシャッと、一枚だけ撮った。すぐに写真は現像され、手元に残る。……チェキってやつだ。うん、よく撮れてる……。
「チェキっていいよねー、便利で。すぐ出来るし」
「ですよね……ありがとうございます。あ、これこそお金払いましょうか?」
「じゃ、鉄貨一枚で。
……ウタくん、一応聞くけどさ」
「はい?」
僕が鉄貨を取り出していると、不意におさくさんがこんなことを聞いてきた。
「ニエルが人の姿のドラくんを見て、それが前に自分に遣えていた『ダークドラゴン』だって気づかないと思ってる?」
「…………」
僕は、手元の写真に目を落とす。そしてそれを、なんとなく胸に抱き締めると、首を横に振った。
「……いや、多分気づきます。僕は、きっと、その過程を見ていなかったとしても、ドラくんやスラちゃんが人として僕の前に出てきたとき、それが二人だって気づくと思います。
しかもニエルは、話に聞く限り、かなり長い間ドラくんと一緒にいたみたいですし」
「……そっか」
一言神妙に呟いた……と思ったら、次の瞬間には、おさくさんはお腹を抱えて大笑いしていた。
「そっかそっか! あーよかった。ちゃーんと分かってるじゃないか少年!」
「わ、ちょっと、頭グシャグシャしないでくださいよ! なんなんですかもー……。ドラくんたち、起きちゃいますから!」
「……使役した子達を守るのは、主人の役割だよ? 前ドロウも言ってた」
「…………」
おさくさんは僕の手からカメラを受けとると、それをアイテムボックスにしまい、にやっと意味深に微笑んだ。
「最近は忙しかったからねー。ちゃーんと大切な相手とは向き合わなきゃダメだぞ」
「あ、はい……」
「んじゃ、私はこれでー」
と言い残して立ち去ろうとして、はっとしたように立ち止まると、僕の方に振り向いた。
「そうそう。ダンジョンだけどね、初級のクランってダンジョンがいいよ。難易度低いわりには色々もらえるから」
「あ、分かりました、ありがとうございます」
そうだと思って、僕はおさくさんを呼び止めた。
「あ、あの!」
「ん?」
「その、伝説級のダンジョン、クリアしたんですよね?」
「したよ? 全部。魔王より強い敵なんてそういないし、魔王だってよわっちかったし」
「あ、あの、ダンジョンをクリアするといいものがもらえるって聞いて」
「いいもの? ……あー、報酬?」
「そうです! なに貰ったんですか?」
するとおさくさんは、とても面白そうに笑い、人差し指を一本たてた。
「……一枚」
「…………へ?」
「金貨一枚」
「え?」
「と、武器。木製の」
「え……?」
「と、チョコレート」
「アイリーンさん大喜びですね……って、そうじゃないそうじゃない! え、そんなしょぼいんですか!?」
「うん、しょぼい」
な、なんか損した……。個性の塊'sのことだから、もっとこう……それこそ金貨100万枚とか、ステータスバカあげ装置とか、敵からの攻撃を全部無効化する……売ってたな、それは。
それが……たった金貨一枚。普段としては決して高くないお金だろう。個性の塊'sにしては……にしては、少なすぎる報酬であり、それで納得だと言うには無理があるようにも思える。個性の塊'sがお金にがめついわけではないが、それでも不思議だった。
「敵だって強くないしさ……んだよ、レベル119のキマイラって……救急車呼べちゃうっての。呼んでどうするんだよー」
……これは、完全なグチである。
僕は……ダンジョンにすら行ったことがないので、適当に相づちを打ちながらそれを聞いていた。すると、
「ん……しまった、寝坊してしまったか。しかもこの姿のまま……」
「あっ、ドラくん! おさくさん、ドラくん起きたので僕……」
例のごとく、こちらから話しかけようとしたところでおさくさんは忽然と姿を消していた。僕はもらった写真を、そっとアイテムボックスにしまった。
小さく丸くなって眠るスラちゃん……は、いつも通りなのだが、そのスラちゃんを守るかのように体を少し丸め、寄り添いながらドラくんが……本来の姿で眠っていた。
「あ、ウタさんおはようございます」
「おはようフローラ。……これ、どういうこと?」
「分かんないですけど、アリアさんか起きたときからこうだったみたいで。ドラくんがまだ寝てるなんて珍しいから、しばらくこのままにしておこうって」
「そっか」
「あ、今アリアさんとポロンが魚とりに行ってるんです。私も行ってきますね!」
「あ、うん。僕もあとで顔洗いに行くよ」
たたたっとフローラが駆けていく。それを見届けた僕は、二人の横にちょっと腰かけた。
……そもそも、普段なら誰よりも早く起きているドラくんがこんな時間まで寝ているのも不思議だが、なにより、スラちゃんと、それもドラゴンの姿で寝ているとなると……レア度が高い。
「……とても写真が撮りたい」
「撮るかい?」
「はい、撮りま……って、えぇっ?! おさ」
「しーっ。……起きちゃうじゃん?」
言いながらおさくさんはインスタントカメラを手渡してきた。……はしっこを見れば、GOFと印字されている。スゴすぎるよ、グッドオーシャンフィールド。
「……撮らなくていいの?」
「……撮ります」
パシャッと、一枚だけ撮った。すぐに写真は現像され、手元に残る。……チェキってやつだ。うん、よく撮れてる……。
「チェキっていいよねー、便利で。すぐ出来るし」
「ですよね……ありがとうございます。あ、これこそお金払いましょうか?」
「じゃ、鉄貨一枚で。
……ウタくん、一応聞くけどさ」
「はい?」
僕が鉄貨を取り出していると、不意におさくさんがこんなことを聞いてきた。
「ニエルが人の姿のドラくんを見て、それが前に自分に遣えていた『ダークドラゴン』だって気づかないと思ってる?」
「…………」
僕は、手元の写真に目を落とす。そしてそれを、なんとなく胸に抱き締めると、首を横に振った。
「……いや、多分気づきます。僕は、きっと、その過程を見ていなかったとしても、ドラくんやスラちゃんが人として僕の前に出てきたとき、それが二人だって気づくと思います。
しかもニエルは、話に聞く限り、かなり長い間ドラくんと一緒にいたみたいですし」
「……そっか」
一言神妙に呟いた……と思ったら、次の瞬間には、おさくさんはお腹を抱えて大笑いしていた。
「そっかそっか! あーよかった。ちゃーんと分かってるじゃないか少年!」
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「…………」
おさくさんは僕の手からカメラを受けとると、それをアイテムボックスにしまい、にやっと意味深に微笑んだ。
「最近は忙しかったからねー。ちゃーんと大切な相手とは向き合わなきゃダメだぞ」
「あ、はい……」
「んじゃ、私はこれでー」
と言い残して立ち去ろうとして、はっとしたように立ち止まると、僕の方に振り向いた。
「そうそう。ダンジョンだけどね、初級のクランってダンジョンがいいよ。難易度低いわりには色々もらえるから」
「あ、分かりました、ありがとうございます」
そうだと思って、僕はおさくさんを呼び止めた。
「あ、あの!」
「ん?」
「その、伝説級のダンジョン、クリアしたんですよね?」
「したよ? 全部。魔王より強い敵なんてそういないし、魔王だってよわっちかったし」
「あ、あの、ダンジョンをクリアするといいものがもらえるって聞いて」
「いいもの? ……あー、報酬?」
「そうです! なに貰ったんですか?」
するとおさくさんは、とても面白そうに笑い、人差し指を一本たてた。
「……一枚」
「…………へ?」
「金貨一枚」
「え?」
「と、武器。木製の」
「え……?」
「と、チョコレート」
「アイリーンさん大喜びですね……って、そうじゃないそうじゃない! え、そんなしょぼいんですか!?」
「うん、しょぼい」
な、なんか損した……。個性の塊'sのことだから、もっとこう……それこそ金貨100万枚とか、ステータスバカあげ装置とか、敵からの攻撃を全部無効化する……売ってたな、それは。
それが……たった金貨一枚。普段としては決して高くないお金だろう。個性の塊'sにしては……にしては、少なすぎる報酬であり、それで納得だと言うには無理があるようにも思える。個性の塊'sがお金にがめついわけではないが、それでも不思議だった。
「敵だって強くないしさ……んだよ、レベル119のキマイラって……救急車呼べちゃうっての。呼んでどうするんだよー」
……これは、完全なグチである。
僕は……ダンジョンにすら行ったことがないので、適当に相づちを打ちながらそれを聞いていた。すると、
「ん……しまった、寝坊してしまったか。しかもこの姿のまま……」
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