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自分の声は聞こえますか?
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『勇気、及びそれに関連するスキルへの研究資料』
最初に興味を持ったのは『勇気』である。このスキルを発動させることで、ステータスが100倍になり、レベル1のヤナギハラ・ウタがドラゴンを倒すまでに至った。しかもこのスキルの発動条件は『感情』である。通常のスキルの発動条件がHPやMPといった数値的なものなのに対し、『感情』は数で推し量ることができない。なにを基準にしているのか、興味が湧くのは自然なことだろう。
まずは、『勇気』が発動するときの状況を観察してみた。ただ勇気を出しただけの時には、発動していないことも多々ある。『自分の限界』というのを越えたら。しかしその限界とやらはなんなのだろうか。
調査を続けて、一つ分かった。
過去の五つの例は、すべて彼の『自己犠牲』が起こした勇気であった。もしその『自己犠牲』が『勇気』を形作るそれだとしたら、自己犠牲とはなんだろうか? 自分の限界を越える。すなわち、自分自身を投げ出すということが、自己犠牲。死へ走る思い。それが『勇気』なのだろうか。
しかし、途中で気がついた。もう一つの勇気が存在している。それは『自己防衛』の勇気。自分を守るためにどんなことでもする。それは、自己犠牲とは全く別のベクトルの勇気だった。
はじめはこれを『死』を望む自己犠牲と、『生』を望む自己防衛とで対比させて考えていた。私だけではない。神も同じように思ったのか、二人を戦わせてはいけないのではと考え始めた。
もし仮にこの二つの勇気が対比関係にあるものだとすれば、お互いに強く反発しあい、結果として、その副産物として生まれた力が、世界を滅ぼしてしまうだろう。……しかし、だとすればおかしいことが一つ。
力が本当に対比関係にあるのなら、二つの力が同じように働くはずないのだ。真反対のものとして考えるのは、無理がある。どちらも『勇気』だ。
そうして考えるのならば、『勇気』という大きなくくりのなかに『自己犠牲』と『自己防衛』があるということになる。その二つを探れば、『勇気』の真意が見えてくるかもしれない。
自己犠牲と、自己防衛……。何が一番違うかと言われれば、守る対象に自分を含めるか否かというところだ。自己防衛は自分を守るために発動するが、自己犠牲は自分を犠牲にしようとしたときに発動する。
自分を犠牲にして――この部分は塗りつぶされ読むことが出来ない――ことが、自己犠牲になるのだろう。
そう仮定すると、また一つ疑問が生まれる。それはヤナギハラ・ウタが勇気と共に有しているスキル、『女神の加護』だ。
ユニークスキルはあくまでも適正のある者にしか習得することが出来ない。ならば、ヤナギハラ・ウタはこの『女神の加護』というものに適正があったということになる。ヤナギハラ・ウタの力の根元は『自己犠牲の勇気』である。つまり『女神の加護』は、『自己犠牲の勇気』になんかしらの影響を受けている、もしくは、影響を与えていることになる。
『女神の加護』は、そもそもが特徴的なスキルである。ステータス上限の無効はよくあるものだが、このスキルにおいて、それはもはやおまけにすぎない。無条件でHP、MPが常に大回復する上に、一度蘇生できるのだ。
蘇生が出来るスキルは、その世に二つしか存在していない。一つは蘇生師の扱う、『蘇生』そしてもう一つが『女神の加護』だ。蘇生師でないヤナギハラ・ウタが蘇生の出来るスキルを持ち合わせているというのは、なんとも不思議なものだった。神でさえ、転生はさせられるが、蘇生はさせられなかったはずなのだ。
少し荒い手口ではあるが、女神に、ヤナギハラ・ウタを転生させた神を探してもらった。脅したのは悪いとは思っているけれど、良い結果をもらえた。
ヤナギハラ・ウタを転生させたのは、神ではなかった。
神すらも凌駕する存在。それが『女神』
女神が与えたその力は、世界の常識を越える力。与えられるということは『保有している』ということだろう。とすれば、その女神と言う存在は、蘇生師になにか関係がある、ということだ。
しかし、神と関係を持つというのは、普通の人間には出来ないことだ。それが、命を扱う蘇生師だとしても。そして現在、この世に蘇生師は存在していない。だとすれば、そのスキルを与えた『女神』というのは『蘇生師のはじまり』にでもあたるというのだろうか? だとすれば、女神がヤナギハラ・ウタに、『勇気』と『女神の加護』を与えたのは、何かしらの意思があったからだろう。それはなんなのだろうか。
神が彼女に何者かを訊ねたとき、女神は答えなかったという。そして、あと少しだからと言ったそうだ。
あと少し……それはこちらも同じだ。あと少しで、世界が終わるか、これからも存在するか、それが決まる。
『力』の正体を、私たちが見つけるのが先か。それとも、彼らが見つけるのが先か。はたまた、何も分からないまま世界が終わるか。……それはまだ分からない。
これを誰かが読んでいるのを期待して、一つアドバイスを記しておこう。よく考えてみた方がいい。「力の意味」を。
最初に興味を持ったのは『勇気』である。このスキルを発動させることで、ステータスが100倍になり、レベル1のヤナギハラ・ウタがドラゴンを倒すまでに至った。しかもこのスキルの発動条件は『感情』である。通常のスキルの発動条件がHPやMPといった数値的なものなのに対し、『感情』は数で推し量ることができない。なにを基準にしているのか、興味が湧くのは自然なことだろう。
まずは、『勇気』が発動するときの状況を観察してみた。ただ勇気を出しただけの時には、発動していないことも多々ある。『自分の限界』というのを越えたら。しかしその限界とやらはなんなのだろうか。
調査を続けて、一つ分かった。
過去の五つの例は、すべて彼の『自己犠牲』が起こした勇気であった。もしその『自己犠牲』が『勇気』を形作るそれだとしたら、自己犠牲とはなんだろうか? 自分の限界を越える。すなわち、自分自身を投げ出すということが、自己犠牲。死へ走る思い。それが『勇気』なのだろうか。
しかし、途中で気がついた。もう一つの勇気が存在している。それは『自己防衛』の勇気。自分を守るためにどんなことでもする。それは、自己犠牲とは全く別のベクトルの勇気だった。
はじめはこれを『死』を望む自己犠牲と、『生』を望む自己防衛とで対比させて考えていた。私だけではない。神も同じように思ったのか、二人を戦わせてはいけないのではと考え始めた。
もし仮にこの二つの勇気が対比関係にあるものだとすれば、お互いに強く反発しあい、結果として、その副産物として生まれた力が、世界を滅ぼしてしまうだろう。……しかし、だとすればおかしいことが一つ。
力が本当に対比関係にあるのなら、二つの力が同じように働くはずないのだ。真反対のものとして考えるのは、無理がある。どちらも『勇気』だ。
そうして考えるのならば、『勇気』という大きなくくりのなかに『自己犠牲』と『自己防衛』があるということになる。その二つを探れば、『勇気』の真意が見えてくるかもしれない。
自己犠牲と、自己防衛……。何が一番違うかと言われれば、守る対象に自分を含めるか否かというところだ。自己防衛は自分を守るために発動するが、自己犠牲は自分を犠牲にしようとしたときに発動する。
自分を犠牲にして――この部分は塗りつぶされ読むことが出来ない――ことが、自己犠牲になるのだろう。
そう仮定すると、また一つ疑問が生まれる。それはヤナギハラ・ウタが勇気と共に有しているスキル、『女神の加護』だ。
ユニークスキルはあくまでも適正のある者にしか習得することが出来ない。ならば、ヤナギハラ・ウタはこの『女神の加護』というものに適正があったということになる。ヤナギハラ・ウタの力の根元は『自己犠牲の勇気』である。つまり『女神の加護』は、『自己犠牲の勇気』になんかしらの影響を受けている、もしくは、影響を与えていることになる。
『女神の加護』は、そもそもが特徴的なスキルである。ステータス上限の無効はよくあるものだが、このスキルにおいて、それはもはやおまけにすぎない。無条件でHP、MPが常に大回復する上に、一度蘇生できるのだ。
蘇生が出来るスキルは、その世に二つしか存在していない。一つは蘇生師の扱う、『蘇生』そしてもう一つが『女神の加護』だ。蘇生師でないヤナギハラ・ウタが蘇生の出来るスキルを持ち合わせているというのは、なんとも不思議なものだった。神でさえ、転生はさせられるが、蘇生はさせられなかったはずなのだ。
少し荒い手口ではあるが、女神に、ヤナギハラ・ウタを転生させた神を探してもらった。脅したのは悪いとは思っているけれど、良い結果をもらえた。
ヤナギハラ・ウタを転生させたのは、神ではなかった。
神すらも凌駕する存在。それが『女神』
女神が与えたその力は、世界の常識を越える力。与えられるということは『保有している』ということだろう。とすれば、その女神と言う存在は、蘇生師になにか関係がある、ということだ。
しかし、神と関係を持つというのは、普通の人間には出来ないことだ。それが、命を扱う蘇生師だとしても。そして現在、この世に蘇生師は存在していない。だとすれば、そのスキルを与えた『女神』というのは『蘇生師のはじまり』にでもあたるというのだろうか? だとすれば、女神がヤナギハラ・ウタに、『勇気』と『女神の加護』を与えたのは、何かしらの意思があったからだろう。それはなんなのだろうか。
神が彼女に何者かを訊ねたとき、女神は答えなかったという。そして、あと少しだからと言ったそうだ。
あと少し……それはこちらも同じだ。あと少しで、世界が終わるか、これからも存在するか、それが決まる。
『力』の正体を、私たちが見つけるのが先か。それとも、彼らが見つけるのが先か。はたまた、何も分からないまま世界が終わるか。……それはまだ分からない。
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