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13話 鍋を揃える
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まず叔母さんが向かったのはこの集落の一番端の方。
宿を集落の入口とすると出口側、さっき見た城下町に近い方に向かう。
この集落にある建物は道の海側と山側に1列ずつ並んでいるだけ。並んでいる数もほんの数件だったのであっという間に着いてしまう。
「この先にも家があるの?」
「いや、ないな。城下町に入るまではここが最後の集落だ。」
集落の外れから2件目、海側の建物がまず最初の目的地だった。
建物に近付くとカーンカーンと金属を叩く音が聞こえてくる。
扉もない屋根だけの作業場の様で、覗くと男が二人作業をしていた。
金属を叩く度に手元から火花が散っている。
「おーい!」
音に負けないように叔母さんが作業場を覗き込んで、声を張り上げる。
二人が手を止めてこちらを見た。
親子だろうか?似ているけど年は大分違う二人の男の若い方が頭を軽く下げ、年上の方が軽く片手を上げて挨拶をかえす。
「仕事中すまないがいくつか欲しいものがあるんだ!」
もう、音は止んでいるのに大きな声で叔母さんが続けた。
「ああ、どんな物だ?」そういって壁を見るように男が手で指し示した。
壁に色々な道具類が掛かっている。鍋やお玉などの料理器具、鎌や良くわからないけど畑で使うと思われる道具類、扉の取っ手や金具らしきものもあった。
「まず、湯を沸かすヤカンは必要だよな?」
叔母さんが台所用品が並んでいる場所に近づくと僕に聞いてくる。
「何だその子供は?ヒルダ、お前子供がいたのか?」
年上の男が道具類を見ている僕たちに近付いてくると声をかける。年下の男の方は作業に戻ったためカンカンと金属を叩く音がまた響き渡った。
「いや、私の子供じゃなくて亡くなった姉の子供だ。」
必然的に叔母さんの声もまた大きくなった。
「初めてして。」ペコリと頭を下げると頭をグリグリとなでられた。
何だろうこの世界の人達は子供だと思うと頭を撫でる習慣があるのだろうか。よく母や叔母さんには撫でられたが、この年で知らない人に撫でられるのは変な気分だ。
「亡くなった?いつ?」
「いや、最近じゃなくてもう数年前の話だ。」
「今まで北方の国にいたのか?」
北方の国?何の話だろう?
「ああ、私の旦那と暮らしていたんだが、旦那の仕事が忙しくて家を空けることが多くてな。今度、こっちで一緒に暮らすことにしたんだ。宿の向かいの空家に住むことになったからよろしくな。」
なるほど、そういう設定になっているのか。それにしても、せめて前もって口裏合わせをして欲しいよ叔母さん。
「そうか、坊主!よろしくな!俺はハリマンあっちは息子のジェイ・ハリマンだ。」
「はい。よろしくお願いします。」
頭を撫でられないように一歩下がって頭を下げたけど、ハリマンさんは全く気にせず一歩前に出てもう一度頭を撫でてきた。今度から頭を下げるのは止めよう。
結局、ヤカンとフライパンと少し深めの鍋を大中小1つずつ。
中華鍋は家から持ってこようかとも考えたけど、向こうの家でも使うことを考えるとやっぱりこっちで揃えることにした。中華鍋と同じような深さの鉄鍋に持ち手だけつけ代えたいとお願いすると、簡単に引き受けてくれる。
「これは、北方特有の鍋なのか?」
「どうでしょうか?ただ、もともと僕の国の鍋ではないですけど。こう、鍋を振る料理の仕方をする時に便利です。」
そういって、鍋を振るしぐさをしてみる。
中華鍋だから、日本の物では無いので嘘ではない。
叔母さんの言うところの北方の国の鍋は知らないし。
「ふ~ん、需要あるなら作ってみるかな。」
ぶつぶつ言っている。
フライ返しやお玉も必要だし。
う~ん、結構な量になるけど。こっちの世界に住む条件がクローディアのご飯を作ることだと考えるとやっぱり必要だ。
「なに、気にするな。この辺りは金を使うところが無いし、今の仕事は食事も部屋もただだから貯まる一方なんだ。ここの鍋くらい余裕だよ。」
そういって叔母さんは自分の胸元をポンと叩く。
「失礼な奴だな!安くて良質な品を作っているだけだぞ!」
そうか、ここの品物は比較的リーズナブルな値段らしい。じゃあ、寸胴鍋もと追加でお願いした。
それにしても、家にある鍋を一度に揃えようとすると凄い量になるんだ。中華鍋の取っ手を付け替えたらまとめて後で届けると言ってくれたのでお願いして作業場を出た。
「あ、刃物類もここで作ってるんじゃなかったの?」
小さめのナイフとパン切りナイフが欲しかったかも。
「お前、勇者の剣を持っているって聞いたけど?」
「うん?そうみたいだね。」
空家に置いておくのは心配だったので、今も背中に背負ったリュックの中に入っている。
「じゃあ、必要ないよ。この世界では勇者の剣は持ち主の思う通りに姿を変えるから。」
「え?うそ!」
「嘘じゃない。後でやってみろ。」
さすがに往来で包丁を出すのは躊躇われたので、家に帰った後やってみると本当にできた。手に持って考えるだけ。試しにキッチン鋏を思い浮かべたら、ちゃんと鋏になった。
刃物系なら何でもいけるらしい。
凄い!勇者の剣。
宿を集落の入口とすると出口側、さっき見た城下町に近い方に向かう。
この集落にある建物は道の海側と山側に1列ずつ並んでいるだけ。並んでいる数もほんの数件だったのであっという間に着いてしまう。
「この先にも家があるの?」
「いや、ないな。城下町に入るまではここが最後の集落だ。」
集落の外れから2件目、海側の建物がまず最初の目的地だった。
建物に近付くとカーンカーンと金属を叩く音が聞こえてくる。
扉もない屋根だけの作業場の様で、覗くと男が二人作業をしていた。
金属を叩く度に手元から火花が散っている。
「おーい!」
音に負けないように叔母さんが作業場を覗き込んで、声を張り上げる。
二人が手を止めてこちらを見た。
親子だろうか?似ているけど年は大分違う二人の男の若い方が頭を軽く下げ、年上の方が軽く片手を上げて挨拶をかえす。
「仕事中すまないがいくつか欲しいものがあるんだ!」
もう、音は止んでいるのに大きな声で叔母さんが続けた。
「ああ、どんな物だ?」そういって壁を見るように男が手で指し示した。
壁に色々な道具類が掛かっている。鍋やお玉などの料理器具、鎌や良くわからないけど畑で使うと思われる道具類、扉の取っ手や金具らしきものもあった。
「まず、湯を沸かすヤカンは必要だよな?」
叔母さんが台所用品が並んでいる場所に近づくと僕に聞いてくる。
「何だその子供は?ヒルダ、お前子供がいたのか?」
年上の男が道具類を見ている僕たちに近付いてくると声をかける。年下の男の方は作業に戻ったためカンカンと金属を叩く音がまた響き渡った。
「いや、私の子供じゃなくて亡くなった姉の子供だ。」
必然的に叔母さんの声もまた大きくなった。
「初めてして。」ペコリと頭を下げると頭をグリグリとなでられた。
何だろうこの世界の人達は子供だと思うと頭を撫でる習慣があるのだろうか。よく母や叔母さんには撫でられたが、この年で知らない人に撫でられるのは変な気分だ。
「亡くなった?いつ?」
「いや、最近じゃなくてもう数年前の話だ。」
「今まで北方の国にいたのか?」
北方の国?何の話だろう?
「ああ、私の旦那と暮らしていたんだが、旦那の仕事が忙しくて家を空けることが多くてな。今度、こっちで一緒に暮らすことにしたんだ。宿の向かいの空家に住むことになったからよろしくな。」
なるほど、そういう設定になっているのか。それにしても、せめて前もって口裏合わせをして欲しいよ叔母さん。
「そうか、坊主!よろしくな!俺はハリマンあっちは息子のジェイ・ハリマンだ。」
「はい。よろしくお願いします。」
頭を撫でられないように一歩下がって頭を下げたけど、ハリマンさんは全く気にせず一歩前に出てもう一度頭を撫でてきた。今度から頭を下げるのは止めよう。
結局、ヤカンとフライパンと少し深めの鍋を大中小1つずつ。
中華鍋は家から持ってこようかとも考えたけど、向こうの家でも使うことを考えるとやっぱりこっちで揃えることにした。中華鍋と同じような深さの鉄鍋に持ち手だけつけ代えたいとお願いすると、簡単に引き受けてくれる。
「これは、北方特有の鍋なのか?」
「どうでしょうか?ただ、もともと僕の国の鍋ではないですけど。こう、鍋を振る料理の仕方をする時に便利です。」
そういって、鍋を振るしぐさをしてみる。
中華鍋だから、日本の物では無いので嘘ではない。
叔母さんの言うところの北方の国の鍋は知らないし。
「ふ~ん、需要あるなら作ってみるかな。」
ぶつぶつ言っている。
フライ返しやお玉も必要だし。
う~ん、結構な量になるけど。こっちの世界に住む条件がクローディアのご飯を作ることだと考えるとやっぱり必要だ。
「なに、気にするな。この辺りは金を使うところが無いし、今の仕事は食事も部屋もただだから貯まる一方なんだ。ここの鍋くらい余裕だよ。」
そういって叔母さんは自分の胸元をポンと叩く。
「失礼な奴だな!安くて良質な品を作っているだけだぞ!」
そうか、ここの品物は比較的リーズナブルな値段らしい。じゃあ、寸胴鍋もと追加でお願いした。
それにしても、家にある鍋を一度に揃えようとすると凄い量になるんだ。中華鍋の取っ手を付け替えたらまとめて後で届けると言ってくれたのでお願いして作業場を出た。
「あ、刃物類もここで作ってるんじゃなかったの?」
小さめのナイフとパン切りナイフが欲しかったかも。
「お前、勇者の剣を持っているって聞いたけど?」
「うん?そうみたいだね。」
空家に置いておくのは心配だったので、今も背中に背負ったリュックの中に入っている。
「じゃあ、必要ないよ。この世界では勇者の剣は持ち主の思う通りに姿を変えるから。」
「え?うそ!」
「嘘じゃない。後でやってみろ。」
さすがに往来で包丁を出すのは躊躇われたので、家に帰った後やってみると本当にできた。手に持って考えるだけ。試しにキッチン鋏を思い浮かべたら、ちゃんと鋏になった。
刃物系なら何でもいけるらしい。
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