僕の彼女はアイツの親友

みつ光男

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Act 51. 川沿いの土手の上

【取り払われたもの】

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煌子は僕にこう聞いた。

「…美月とは、美月のことは…」

「え?」

「どうなの?」

「美月のこと…はね」

「・・・」

「俺がここにいるってことが…答えにならないかな?」

「ぷ!」

僕は素直に思ったことを口にしたつもりだったが
煌子は思い切り吹き出した。

「何だよ、何で笑うんだよそこで」

「だぁってぇ…ちょっと何カッコつけてんの?」

「こんな時くらいいいだろ…」

「うん…よかった、よかった…んじゃない?ふふっ」

「何か釈然としない…」

すると煌子は急に穏やかな表情に変わりこう言った。

「でも…それならよかった、すぐ来てくれたってことは…」

「だからあんな嬉しそうな顔で出迎えたんだ?『あ、タカムラー!』って」

「もう!死んで!今すぐ!」

「やだよ」

 一見、いつものやり取りのようだが何かが違う
二人を隔てていた見えない壁が
今日は取り払われている、そんな感じだった。

「アタシはあのまま、あんたと美月がくっつくのが一番かな、と思ってた」

「自分の立場的には、ってことだよね?」

「うん、美月からあんたのこと聞かされた時、最初は応援するつもりだった、でも…」

「でも?」

「ある日気づいてしまった、アタシ、あのバカのこと気になってるかも?って」

「『バカ』って誰のこと?俺?」

「他に誰かいる?」

「気になったのはバカだから?バカだけど…?」

「そこはどうでもいい…で、悩んだの」

「美月のことで?」

「また同じこと繰り返してるのアタシ?、って」

「友達を傷つけるかも、ってこと?」

「でもね、これは別だと思った。こう言う感情は、ね」

 いつしか煌子も僕と同様に草の上に仰向けになって
星空を見ながら話していた。


「で、決めたんだ」

「何を?」

「明日じゃなくて…今日、って」

「さっき、帰る前の話を?」

「うん」

煌子はきっと僕と同じ想いを…
抱えていたのだろう。

僕は「明日にしよう」と思った
意気地無しな自分の発言を少なからず後悔した。

「でさ…」

「何?」

「美月、どんなだった?」

「…美月と一緒だと、確かに落ち着くんだよね」

「癒し系だから、アタシとは違って」

「でも、何か…どこかカッコつけちゃう自分がいて、変に構えちゃうって言うか」

「うん、そうだろうね。見ててわかる」

「見てたの?」

「当たり前でしょ」


― 今更何言ってんの?

そんな表情で煌子は僕のことをまじまじと見つめた。
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