異世界に行ったら記憶がなくなってここがどこだかわかりません。

シンカイ

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初めての異世界人?

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 俺は暫くの間その人と共に細く、少し荒れた街道を進んで行く。因みにその人とは、ご存知今一緒に街に向かっている俺の隣の赤茶けたやや年期の入ったローブを纏った人のことだ。顔はフードを目深に被っていて見えなかったが、声でおそらく性別は男なんじゃないかと推測する。
 俺とその人は暫く他愛のない世間話をしながら歩いていた。

 「そういえバ、あんな時間ニ何故あんナとこロへ?」

 「いやぁ俺にもよく分からないんですよ。気が付けば草原のど真ん中に突っ立っていたもんで」

 「ホーゥ?それハ不思議ナ出来事デスね」

 「でしょう?しかもここがどこだか分からないもんだから暫くがむしゃらに走り回って覚えのある風景を探していたんですが見つからなくて!そろそろ疲れを感じて足を止めようとしたところで貴方を見つけましてね!いやぁ幸運でしたよ!」

 「それハそれハ大変な思いヲされたンですねぇ」

 「ええ、もうホントに大変でしたよ!リアルにのたれ死ぬかと思いましたもん!」

 「そうなンですか」

 
 そこまで話をしているときにようやく周りの違和感に気付いた。
 ──人の気配、というか人工物が見当たらない?
 そうなのだ。辺りは大分歩いているにも関わらず閑散としていて、とてもじゃないが人の気配は感じられなかった。街に向かって歩いているのならば、人影は夜なので流石にないとしても少なくとも人工で作られた街道などがあり、もっと整地されているはずだ。なのに今の俺達が歩いている街道は舗装はおろか、これ道か?と疑問を抱くレベルで荒れている。というか最早道ではない。まるで獣道のようだ。
 正直会話が弾んでいたのは認めるが、草原でみた光景とはうって変わってろくに手入れのされていない庭園の様になっている光景に気付かなかったのはおかしい。
 流石に疑問に思い

 「すいません、この道って合ってるんですか?なんか段々人の痕跡がなくなっている気がするんですが」

 「いえイえこの道で合っていまスよ?もうスグにつきますヨ」

 「あ、ならいいんですけどね!いやぁそれにしてもまるで魔物とかが住んでいそうな感じの雰囲気がありますねぇ‥‥‥ってすみません失礼ですよね!」

 「いヤ、よく言われマスよ、だから気にシナくても大丈夫デすよ」

 「あれ、そうなんですか?」

 そう言いその人に顔を向けた。だが、そこにその人はいなかった。まるで消えてしまったかのように忽然と姿を消していた。俺は慌てて

 「あれ?すいませんどこ行ったんですか~?返事してくださーい!いきなり居なくなるなんて酷いですよ!もう!おーい聞こえますかぁ!?」

 と、呼び掛けてみるがいっこうに返事がない。
 ──くっそぉあの人いったいどこに行っちまったんだ!?勘弁してくれよ畜生!
 心の中で悪態をついた。

 「あのぅ!!すみません!!聞こえてますかぁ!!」

 再度呼び掛けてみるものの、帰ってくるのは静寂だけだった。
 ‥‥どうやら俺は置き去りにされたとみて間違いないだろう。最悪だ。草原よりも全く分からん場所で置き去りとか、色んな意味でヤバイだろ!

 ──どうしよう。

 気を抜くと孤独と恐怖で涙が溢れてきそうだ。だがあの人は言っていた。もうすぐ街につくと。ならば歩こうじゃないか、街まで!
 そう思い直して鬱蒼と生い茂る植物の比較的背丈の低い植物を足で掻き分けて道を作り歩き出す。時々鋭い形の草が俺の足の薄皮を切ってくる。すげぇいたいし、イラッと来る。そのお陰で孤独と恐怖は大分なくなり、代わりに怒りの感情が徐々に俺の心を満たしていった。

 「クッソあのフード野郎俺を置き去りにしやがって!俺なんかそんなこと絶対できねぇっつぅのによぉ!あったら絶対一発お見舞いしてやる!」

 ──できそうにないけどねーw
 そう思いつつも口には出さない。出せば今度は自分の弱さに不安を感じてしまいそうになるからだ。折角気が紛れてきているのだ、それを自ずと打ち破ることなどしない方が賢明だと言えるだろう。


 どれくらい歩いただろうか。俺の目の前にはいつしか前方に存在していた砦のような形をした歪な岩山があった。そこにはぽっかりと、俺で言えば二人か三人が同時に入れそうな幅の空洞がポッカリと空いていた。

 「これが街の入口‥‥なのか?」

 ──随分と画期的な形の街だなぁ。
 一応立て札もあるし(読めないけど)そうなのだろう。少しの不安はあったが、とにもかくにも街だというならばとっとと入って安全を確保せねば。
 半ば急ぎ足で空洞の中へと俺は足を踏み入れる。しかしそこには確かな絶望が待っているとも知らずに──。
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