【本編完結】番殺しの黒オメガが背負う愛は

小池 月

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Ⅷ 消えない印

②※

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「アル……」
 騎士として仕えていた時の冷静さの奥に、こんな熱さが隠されていたと思うと、ジリスの背がゾクっとした。

 アルの心が嬉しい。ジリスを包む力が弱まり、アルが顔を近づけた。熱い唇が触れる。

「んぅっ……」
 唇の自由が奪われてジリスの喉から声が漏れた。それに興奮したのか、アルのキスが深くなる。

「んっ! むぅっ」
 アルの舌がヌッと入ってくる。丁寧にジリスを味わうように口腔内を蹂躙される。

 アルが身体を密着させるから、アルの股間が固くなっているのが分かる。すごく、色っぽい。ジリスとのキスに興奮したと思うと心がドキドキする。

 夢中なアルがジリスの身体に腰を擦り付ける。わずかに揺れる腰の動きが艶めかしい。

(アルが僕に感じてる。すごい……)
 ジリスは身体の力を抜いてアルを感じた。口の中の快感も、必死なアルの呼吸も、固い股間も、全部ジリスのモノだ。

(きもち、いい……)
いつのまにかジリスも興奮していた。互いに身体を揺らめかせてキスに夢中になった。

 キスがこんなに凄いものだとは知らなかった。心まで舐めとられそうだ。酔いしれていたのに、ゆっくりとアルが口を離す。

(なん、で?)
離れるアルの唇を名残惜しく目で追った。

「ジリス様、発情、しかけています。申し訳ありません」

 アルの言葉にハッとした。言われれば身体の芯が熱い。自分から甘い果実の香りが漏れている。すぐにジリスの頭が冷える。

「アル、どうしよう。どうしたら、いいんだろ? ネモスは、もう、いない。僕が殺したんだ……」
 混乱で全身に震えが走る。それと反して身体の底に熱がこもる。

「ジリス様、あなたがやらなければ俺がネモスを殺していた。だから、あなたが殺したのではないのです。俺とあなたが、殺した。そして、今なら番の上書きが出来るかもしれない。俺こそがあなたの番に。ジリス様を、俺だけの愛しい番に。そう望んでも許されますか?」

 アルの心が嬉しくて涙が溢れる。もしジリスの番がアルだったら、と何度思った事か。その願いが叶うかもしれない。

「でも、でも。僕はネモスに番にされたから、キレイじゃ、ないよ」

「ジリス様の心は清らかで、輝く強さを持っています。あなたは美しい。俺にはあなたが女神のように見えています」

 ジリスの心がアルを受け入れたいと叫ぶ。

「アル、噛んで欲しい。僕を、アルの番に」
「はい、ありがとうございます。これ以上の喜びはありません」

 アルの目に涙が溢れた。でも、以前に白国で見たような苦しい涙じゃない。優しい涙だ。

「アル、愛してる」
「はい。俺も、愛しています」
 熱くなるジリスの身体をアルに抱えられて移動した。


 気が付いたらジリスはどこかの宿に入っていた。
「アル? ここ、は?」

 熱に浮かされながら聞いた。
「国境近くの街にたどり着いて、宿に入りました」
 外が暗い。いつの間にか日が暮れていた。

「黒国の、通貨は?」
「金を換金しました」

「用意、周到、だ」
 ジリスがクスッと笑うと、アルが優しくキスをした。触れるだけのキスだ。

「さっきみたいな、キスは?」
 夢うつつでジリスは聞いた。
「何回でも。ジリス様の身体中にいたします」

 アルの声がした。と同時に、ジリスの胸にレロっと湿った感覚がする。
「ひぃっ」
 ジリスの身体がビクリと跳ねて変な声が出た。

 驚いて自分の胸を見ればアルがジリスの肌を舐めている。ジリスの薄い胸が荒く動いている。濡れたピンクの乳首がいやらしくジリスの目に入る。

 ジリスは自分が全裸だと理解した。アルも裸だ。
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