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Ⅸ 平穏と衝突
⑤
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ジリスはアルと自室に戻った。
父とカザルは緊急国軍会議に入っている。
国政を担う貴族と軍上層部貴族たちの中心にいるカザルは、ジリスとは遠い存在に思えた。
いつの間にかカザルは王の顔をしていた。
国軍会議にはディンも出席となったが、ジリスとアルは参加を許可されなかった。
部屋にいても不安だけが大きくなりジリスは室内をウロウロした。白国と黒国はこれまで衝突したことなど無い。歴史上、有り得ないことが起きようとしている。
ジリスの手がガクガクと震える。アルはそんなジリスを悲痛な瞳で見つめている。
「アル、どうしよう。僕、どうしたら、いい?」
落ち着かないジリスをアルがそっと抱きしめた。
「ジリス様。白国の目的は、何だと思われますか?」
「あ、え? 目的?」
「はい。ジリス様が黒国に戻ったことはすでに白国は把握しているでしょう。その上で、白が目指すものとは」
アルの青い瞳が燃えるような厳しさを秘めている。ジリスの心がゾクリとする。
「僕と、アルへの、制裁? 僕を白国に戻さないとネモスは王になれない、から」
「それならば、伝令通達をして、しっかり交渉をするのが国としての対応でしょう」
アルの言葉にハッとする。それはそうだ。
進軍している白国からは、なんの通達もない。てっきりジリスへの制裁だと思っていたが。
「万が一、黒魔術を欲しいと白国が願ったら、黒国を支配下に置きたいと欲したら」
ジリスは驚いてアルを見た。
「過去にもオメガ妃が白国で大きな黒魔術を使ったことがあります。滅多にないことですが。神の技とも言える黒魔術を手中に収めたいと欲を持つ派閥が白国にいたら」
「そん、な。もし、私欲のために黒魔術を使われたら……」
ネモスがジリスにしたように、強制的に黒魔術を使わせれば、不老不死や命の支配もできる。権力も思いのままだ。
「ええ、ご想像の通りでしょう。そして、その派閥とネモス殿下が手を組んでいたら、ジリス様の一件をきっかけにして、黒国を征服しようと企むでしょう」
ジリスは全身がブルブルと震えた。
「僕は、攻めるための理由として、利用された?」
「その可能性が、あります」
ジリスは目を見開いてアルを見た。アルの瞳には燃えるような炎がある。
「ジリス様、俺たちは出来ることをしなければなりません。このまま利用されて、戦争の火種になっては、いけません」
「もちろんだ! 戦争になれば、黒国は戦場になる。そんなのは、耐えられない!」
「白国には、国王や上位貴族にまともな人間が多くいます。ネモスのような、ネジの抜けた者たちの方が少数です。しかし、万が一、まともな方々が戦争に同意したとなれば、ネモスが何か画策したとしか考えられません」
「うん。そうかも。だとすると、ネモスが虚偽の事実で進軍に持ち込ませた、と考えるのが自然だ」
「さすが、ご聡明です。逆に、白国が攻め入る理由が無くなったら」
アルの言いたいことが分かった。
「白国は黒国に進軍できない。むやみに侵略行為をすることは神の掟に反するから」
この世界において、神の掟は絶対だ。
そして、その一つに白国と黒国は互いに侵略行為をしてはいけない、とある。
戦争になったとき、侵略したほうが神の裁きを受ける。だから二国間にこれまで戦争が起きていないのだ。
今回の白国は、「侵略行為」ではなく、ジリスへの「制裁」で動いているのだろう。そうすると、制裁する事実が無かった場合は白国の侵略行為となる。
ジリスがネモスを刺したことは黒国全体への制裁には当たらない。それに、ジリスの受けた苦痛があり、そうなったことを報告しなくてはいけない。
先に次期王妃であるジリスを苦しめたのはネモスだ。
それが白国に伝われば、制裁事由がなくなり、白国は戦争を仕掛けられないはずだ。
黒国は防衛をするが侵略はしない国だ。白国を止められれば、衝突は起こらない。
「アル、黒国軍より早く国境に行こう。両軍が衝突する前に、白国国王陛下に全てを話す」
「はい。俺も証人になります。そのこと、カザル様には伝えるほうが良いですね。これだけ愛情深くジリス様を護ってくださっている方たちです」
「うん。手紙を書いておく。もし引き止められて間に合わないと困る」
「では、白魔術で必ずカザル様に読まれるようにしておきます。キナに乗って行きましょう」
「キナにはいつも世話になっちゃうなぁ」
ジリスは左手のブレスレットを撫でた。白真珠と黒真珠が寄り添っている。
「ジリス様、万が一の時には、何が一番大切か分かっていますね」
アルが自分の左腕につけている細いブレスレットに触れた。
これはジリスがプレゼントしたブレスレットだ。小さな黒ダイヤの中に、一個だけ白ダイヤがある。
ジリスからの沢山の愛にアルが包まれているように、と作ったものだ。もちろん、弱いながら白魔術をかけてある。
アルが愛おしそうにブレスレットを撫でるからジリスの胸が温かくなる。
ジリスは青い瞳を見上げた。
「もちろん」
アルと頷き合った。
「アルの身の安全だよ」
「ジリス様ご自身です」
ジリスとアルの声が重なった。互いに笑ってしまった。
「はい? どうして俺の安全ですか?」
アルが面白そうに聞いてきた。
「だって、僕は一応、未来の白国王妃なんだ。捕らわれても命までは取られない自信がある。けれどアルは違う。白国の裏切り者として処刑される可能性がある」
「なるほど。さすがジリス様。ただの感情論ではないのですね。そんなところが尊敬するところです」
アルがジリスの額にキスを落とした。アルの高めの体温を感じる。
「では、早急に支度をしましょう」
「うん!」
テキパキと動き始めて気持ちを紛らわせたが、本当は懸念がいくつもある。アルは気が付いているはずだ。
ジリスの言い分が通らなかったら白国軍は止まらない。ジリスは捕らえられる。最前線にネモスや国王陛下が来ているとは限らない。
もし白国軍が制裁で動くのなら、ジリスは個人の罪としてそれを受ける。黒国ではなく、ジリスを裁けばいい。
それで戦争が止まるのなら、いい。ジリスに出来る方法でカザルたちを、黒国を護りたい。
そして、その時は、アルを黒国に置いていく。アルを護るためだ。
ジリスはアルに愛をもらった。黒国に幸せをもらった。もう、十分だ。
ジリスはそっと微笑んだ。
父とカザルは緊急国軍会議に入っている。
国政を担う貴族と軍上層部貴族たちの中心にいるカザルは、ジリスとは遠い存在に思えた。
いつの間にかカザルは王の顔をしていた。
国軍会議にはディンも出席となったが、ジリスとアルは参加を許可されなかった。
部屋にいても不安だけが大きくなりジリスは室内をウロウロした。白国と黒国はこれまで衝突したことなど無い。歴史上、有り得ないことが起きようとしている。
ジリスの手がガクガクと震える。アルはそんなジリスを悲痛な瞳で見つめている。
「アル、どうしよう。僕、どうしたら、いい?」
落ち着かないジリスをアルがそっと抱きしめた。
「ジリス様。白国の目的は、何だと思われますか?」
「あ、え? 目的?」
「はい。ジリス様が黒国に戻ったことはすでに白国は把握しているでしょう。その上で、白が目指すものとは」
アルの青い瞳が燃えるような厳しさを秘めている。ジリスの心がゾクリとする。
「僕と、アルへの、制裁? 僕を白国に戻さないとネモスは王になれない、から」
「それならば、伝令通達をして、しっかり交渉をするのが国としての対応でしょう」
アルの言葉にハッとする。それはそうだ。
進軍している白国からは、なんの通達もない。てっきりジリスへの制裁だと思っていたが。
「万が一、黒魔術を欲しいと白国が願ったら、黒国を支配下に置きたいと欲したら」
ジリスは驚いてアルを見た。
「過去にもオメガ妃が白国で大きな黒魔術を使ったことがあります。滅多にないことですが。神の技とも言える黒魔術を手中に収めたいと欲を持つ派閥が白国にいたら」
「そん、な。もし、私欲のために黒魔術を使われたら……」
ネモスがジリスにしたように、強制的に黒魔術を使わせれば、不老不死や命の支配もできる。権力も思いのままだ。
「ええ、ご想像の通りでしょう。そして、その派閥とネモス殿下が手を組んでいたら、ジリス様の一件をきっかけにして、黒国を征服しようと企むでしょう」
ジリスは全身がブルブルと震えた。
「僕は、攻めるための理由として、利用された?」
「その可能性が、あります」
ジリスは目を見開いてアルを見た。アルの瞳には燃えるような炎がある。
「ジリス様、俺たちは出来ることをしなければなりません。このまま利用されて、戦争の火種になっては、いけません」
「もちろんだ! 戦争になれば、黒国は戦場になる。そんなのは、耐えられない!」
「白国には、国王や上位貴族にまともな人間が多くいます。ネモスのような、ネジの抜けた者たちの方が少数です。しかし、万が一、まともな方々が戦争に同意したとなれば、ネモスが何か画策したとしか考えられません」
「うん。そうかも。だとすると、ネモスが虚偽の事実で進軍に持ち込ませた、と考えるのが自然だ」
「さすが、ご聡明です。逆に、白国が攻め入る理由が無くなったら」
アルの言いたいことが分かった。
「白国は黒国に進軍できない。むやみに侵略行為をすることは神の掟に反するから」
この世界において、神の掟は絶対だ。
そして、その一つに白国と黒国は互いに侵略行為をしてはいけない、とある。
戦争になったとき、侵略したほうが神の裁きを受ける。だから二国間にこれまで戦争が起きていないのだ。
今回の白国は、「侵略行為」ではなく、ジリスへの「制裁」で動いているのだろう。そうすると、制裁する事実が無かった場合は白国の侵略行為となる。
ジリスがネモスを刺したことは黒国全体への制裁には当たらない。それに、ジリスの受けた苦痛があり、そうなったことを報告しなくてはいけない。
先に次期王妃であるジリスを苦しめたのはネモスだ。
それが白国に伝われば、制裁事由がなくなり、白国は戦争を仕掛けられないはずだ。
黒国は防衛をするが侵略はしない国だ。白国を止められれば、衝突は起こらない。
「アル、黒国軍より早く国境に行こう。両軍が衝突する前に、白国国王陛下に全てを話す」
「はい。俺も証人になります。そのこと、カザル様には伝えるほうが良いですね。これだけ愛情深くジリス様を護ってくださっている方たちです」
「うん。手紙を書いておく。もし引き止められて間に合わないと困る」
「では、白魔術で必ずカザル様に読まれるようにしておきます。キナに乗って行きましょう」
「キナにはいつも世話になっちゃうなぁ」
ジリスは左手のブレスレットを撫でた。白真珠と黒真珠が寄り添っている。
「ジリス様、万が一の時には、何が一番大切か分かっていますね」
アルが自分の左腕につけている細いブレスレットに触れた。
これはジリスがプレゼントしたブレスレットだ。小さな黒ダイヤの中に、一個だけ白ダイヤがある。
ジリスからの沢山の愛にアルが包まれているように、と作ったものだ。もちろん、弱いながら白魔術をかけてある。
アルが愛おしそうにブレスレットを撫でるからジリスの胸が温かくなる。
ジリスは青い瞳を見上げた。
「もちろん」
アルと頷き合った。
「アルの身の安全だよ」
「ジリス様ご自身です」
ジリスとアルの声が重なった。互いに笑ってしまった。
「はい? どうして俺の安全ですか?」
アルが面白そうに聞いてきた。
「だって、僕は一応、未来の白国王妃なんだ。捕らわれても命までは取られない自信がある。けれどアルは違う。白国の裏切り者として処刑される可能性がある」
「なるほど。さすがジリス様。ただの感情論ではないのですね。そんなところが尊敬するところです」
アルがジリスの額にキスを落とした。アルの高めの体温を感じる。
「では、早急に支度をしましょう」
「うん!」
テキパキと動き始めて気持ちを紛らわせたが、本当は懸念がいくつもある。アルは気が付いているはずだ。
ジリスの言い分が通らなかったら白国軍は止まらない。ジリスは捕らえられる。最前線にネモスや国王陛下が来ているとは限らない。
もし白国軍が制裁で動くのなら、ジリスは個人の罪としてそれを受ける。黒国ではなく、ジリスを裁けばいい。
それで戦争が止まるのなら、いい。ジリスに出来る方法でカザルたちを、黒国を護りたい。
そして、その時は、アルを黒国に置いていく。アルを護るためだ。
ジリスはアルに愛をもらった。黒国に幸せをもらった。もう、十分だ。
ジリスはそっと微笑んだ。
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