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番外編 ジリスが向き合うモノは
元王太子との対面③
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「ミーナは、どんな境遇でも生きて行くだろう。オレが心配することも無いな。あいつは、没落貴族の娘さ。父親が事業失敗して、借金重ねて、自殺したらしい。娼館で出会ってな。売られたらしいぞ。オレには天国か地獄しかないぞ、と言ったら、喜んで付いてきた」
懐かしそうに話すネモスが、少し人間らしいと感じた。
「オレが勝てば、好き放題の天国だ。オレに便乗して悪貴族たちはあぶり出せる。そして、負けても、オレに加担した悪貴族たちが処罰される。どうだ? ウジは退治できたか?」
ネモスの本心に触れた気がした。きっとネモスは欲だけで動いていたわけではない。
ジリスにしていた悪行は、まるではじめから予定されていたようだった。ネモスはジリスを嫌っていたのではない。王太子妃殿下として来る者が誰であれ、ああすると決めていたのではないか。
ネモスは白国の行く末を見ていたのではないか。そう思える瞬間だった。
「王になっても、倒される覚悟、でしたか。アルに」
ジリスの問いに、ネモスは一瞬、驚いた顔をした。
「……何のことだか」
アルの怒りをネモスに向けることは、ネモスの作戦上では必須のはず。ネモスは、ジリスの扱いが酷いことを、アルに見せつけたかったのだろう。アルの正義心を刺激するために。
「王になって悪政をして、アルに倒されれば、悪貴族たちも一掃できる。王になる前に悪行がバレて今回のように廃嫡されても、付いてきていた悪貴族たちが粛清できる。どちらにしても、白国にとって、最終的にいい方向に行く。どちらにしても、あなたは憎まれて倒される必要がある」
ジリスの言葉にネモスはフイっと横を向いた。
「あなたの罪は消えないですし、これはあなたの想定通りかもしれません。ですが、あなたに付いていた貴族は、全て粛清が妥当ですか?」
「巻き込まれただけの者もいるだろう。冷静にお前たちが見極めろよ」
ネモスの言葉から、恩赦を与えても良い者もいると思えた。
そのまま、話は終わりだ、とでも言いたそうに部屋に入っていくネモスを見つめた。
そう言えば、王太子宮殿の侍女侍従は皆、ネモスに忠実だった。彼らは、もしかしたら、ネモスの真意を知る者たちだったかもしれない。ミーナと同じように、苦境をネモスが助けたのだろうか。
ネモスに対してくすぶっていた気持ちが、少し晴れた気がした。
ネモスの言葉を考えながら、階段を降りている時。
「覚悟! よくもネモス殿下を!」
女性の声がしたと同時に、ジリスにドンっと衝撃が走った。すっかり油断していた。
悲鳴を上げることも無く、ジリスは階段を転がり落ちた。
「妃殿下!」
「なんてことを!」
「ジリス様!」
階下で蹲るジリスに侍女が駆け寄る。
「お怪我はございませんか?」
「うん、大きなけがは、ない、かも」
あちこち打撲はできているかもしれない。侍女に支えられて立ち上がると、右足首がズキッと痛んだ。
「あ、足首、やっちゃった」
ははは、と軽く笑うと、すぐに椅子が用意された。
足に濡れタオルが当てられる。その内に、護衛が取り押さえた女性を目前に連れて来た。青い顔でジリスを睨む彼女に声を掛けた。
「あなたは、もともとネモスに仕えていた、王太子宮殿の侍女ですか?」
「そうだ! 生きるに困る者を助けてくれたのは、ネモス殿下だったのに! ネモス殿下がこんな場所で生涯を終えるなんて! お前さえいなければ!」
女性は泣き叫んだ。
「残念ですが、ネモスの罪は消えません。ですが、あなたたちが、支えてあげてください。孤独よりは、いいでしょう。僕は転んだだけです。大丈夫です」
「罪に問わなくて、いいのですか?」
取り押さえていた護衛が不安そうに聞いてきた。
ジリスはコクリと頷き、周囲に口止めを指示した。解放された女性は泣きながら、深く頭を下げた。
懐かしそうに話すネモスが、少し人間らしいと感じた。
「オレが勝てば、好き放題の天国だ。オレに便乗して悪貴族たちはあぶり出せる。そして、負けても、オレに加担した悪貴族たちが処罰される。どうだ? ウジは退治できたか?」
ネモスの本心に触れた気がした。きっとネモスは欲だけで動いていたわけではない。
ジリスにしていた悪行は、まるではじめから予定されていたようだった。ネモスはジリスを嫌っていたのではない。王太子妃殿下として来る者が誰であれ、ああすると決めていたのではないか。
ネモスは白国の行く末を見ていたのではないか。そう思える瞬間だった。
「王になっても、倒される覚悟、でしたか。アルに」
ジリスの問いに、ネモスは一瞬、驚いた顔をした。
「……何のことだか」
アルの怒りをネモスに向けることは、ネモスの作戦上では必須のはず。ネモスは、ジリスの扱いが酷いことを、アルに見せつけたかったのだろう。アルの正義心を刺激するために。
「王になって悪政をして、アルに倒されれば、悪貴族たちも一掃できる。王になる前に悪行がバレて今回のように廃嫡されても、付いてきていた悪貴族たちが粛清できる。どちらにしても、白国にとって、最終的にいい方向に行く。どちらにしても、あなたは憎まれて倒される必要がある」
ジリスの言葉にネモスはフイっと横を向いた。
「あなたの罪は消えないですし、これはあなたの想定通りかもしれません。ですが、あなたに付いていた貴族は、全て粛清が妥当ですか?」
「巻き込まれただけの者もいるだろう。冷静にお前たちが見極めろよ」
ネモスの言葉から、恩赦を与えても良い者もいると思えた。
そのまま、話は終わりだ、とでも言いたそうに部屋に入っていくネモスを見つめた。
そう言えば、王太子宮殿の侍女侍従は皆、ネモスに忠実だった。彼らは、もしかしたら、ネモスの真意を知る者たちだったかもしれない。ミーナと同じように、苦境をネモスが助けたのだろうか。
ネモスに対してくすぶっていた気持ちが、少し晴れた気がした。
ネモスの言葉を考えながら、階段を降りている時。
「覚悟! よくもネモス殿下を!」
女性の声がしたと同時に、ジリスにドンっと衝撃が走った。すっかり油断していた。
悲鳴を上げることも無く、ジリスは階段を転がり落ちた。
「妃殿下!」
「なんてことを!」
「ジリス様!」
階下で蹲るジリスに侍女が駆け寄る。
「お怪我はございませんか?」
「うん、大きなけがは、ない、かも」
あちこち打撲はできているかもしれない。侍女に支えられて立ち上がると、右足首がズキッと痛んだ。
「あ、足首、やっちゃった」
ははは、と軽く笑うと、すぐに椅子が用意された。
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「あなたは、もともとネモスに仕えていた、王太子宮殿の侍女ですか?」
「そうだ! 生きるに困る者を助けてくれたのは、ネモス殿下だったのに! ネモス殿下がこんな場所で生涯を終えるなんて! お前さえいなければ!」
女性は泣き叫んだ。
「残念ですが、ネモスの罪は消えません。ですが、あなたたちが、支えてあげてください。孤独よりは、いいでしょう。僕は転んだだけです。大丈夫です」
「罪に問わなくて、いいのですか?」
取り押さえていた護衛が不安そうに聞いてきた。
ジリスはコクリと頷き、周囲に口止めを指示した。解放された女性は泣きながら、深く頭を下げた。
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