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サイドストーリー フレディ奮闘記
アデラインとの出会い
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翌年、アマンダの妹、アデラインが入学したらしい。
通学風景を校舎の2階から見かけたことがあった。
真っ黒で艶やかな髪が印象的なアデライン。仲良さげにアマンダの腕に絡みつきながら校舎の中へと歩いて行く。
アマンダと真実仲が良いことに、安心したものだ。
アデラインとの対面は、そう遅くもなかった。
いつもの場所を目指して図書室の奥へと進んでいくと、見慣れた栗色の横に、黒い頭が見えた。
何だか2人だけの場所の様な気がしていたそこに、侵入者が現れた様で、モヤッとしたが、僕は自分のその気持ちが分からずに振り払って声をかけた。
「やぁアマンダ嬢。そちらが噂の妹君?」
貴族の微笑みを被り、そう声をかけると、肩を寄せ合っていた2人は顔を上げる。
「あぁ、フレディ先輩」
気を利かせてか、席を立って妹を隣に立たせたアマンダは静かな声で妹を少し前へと押し出した。
「そうです。こちらが私の自慢の妹、アデラインです。
どうです、心の美しさが滲み出るような可愛さでしょ?フレディ先輩も少しは浄化されたんじゃないですか?」
胸を張って紹介するアマンダが、目を輝かせる。
その勢いに笑いをこぼしながら、僕も妹アデラインへと挨拶をした。
「浄化って……
初めまして。フレディ・シューコットです。お姉さんとは図書室での勉強仲間だよ。事あるごとに自慢された、妹さんに会えて光栄です」
アデラインは、差し出した手を見つめ、僕を上から下まで見聞する様に見ると、少し後ろに立つアマンダへと伺う様に見た。
視線の意味を訳すなら、『は?なにコイツ?姉様の友達ぃ?』だろうか。引き攣りそうになる顔を叱咤して、僕は手を差し出し続けた。
アマンダは見えていないからか、その視線の変遷に気付いていない。あくまで『急な紹介に戸惑った純真な妹、可愛い』くらいしか思ってなさそうだ。
アデラインへ優しく握手を促している。
そっと握られた手だったが、段々と力を込められたのがわかった。ピクリと眉が跳ねる。
「……………………」
「ヨロシクオネガイシマスワ。先輩?」
なんだその棒読み。何故か打ち鳴らす鐘の音が聞こえた気がした。
通学風景を校舎の2階から見かけたことがあった。
真っ黒で艶やかな髪が印象的なアデライン。仲良さげにアマンダの腕に絡みつきながら校舎の中へと歩いて行く。
アマンダと真実仲が良いことに、安心したものだ。
アデラインとの対面は、そう遅くもなかった。
いつもの場所を目指して図書室の奥へと進んでいくと、見慣れた栗色の横に、黒い頭が見えた。
何だか2人だけの場所の様な気がしていたそこに、侵入者が現れた様で、モヤッとしたが、僕は自分のその気持ちが分からずに振り払って声をかけた。
「やぁアマンダ嬢。そちらが噂の妹君?」
貴族の微笑みを被り、そう声をかけると、肩を寄せ合っていた2人は顔を上げる。
「あぁ、フレディ先輩」
気を利かせてか、席を立って妹を隣に立たせたアマンダは静かな声で妹を少し前へと押し出した。
「そうです。こちらが私の自慢の妹、アデラインです。
どうです、心の美しさが滲み出るような可愛さでしょ?フレディ先輩も少しは浄化されたんじゃないですか?」
胸を張って紹介するアマンダが、目を輝かせる。
その勢いに笑いをこぼしながら、僕も妹アデラインへと挨拶をした。
「浄化って……
初めまして。フレディ・シューコットです。お姉さんとは図書室での勉強仲間だよ。事あるごとに自慢された、妹さんに会えて光栄です」
アデラインは、差し出した手を見つめ、僕を上から下まで見聞する様に見ると、少し後ろに立つアマンダへと伺う様に見た。
視線の意味を訳すなら、『は?なにコイツ?姉様の友達ぃ?』だろうか。引き攣りそうになる顔を叱咤して、僕は手を差し出し続けた。
アマンダは見えていないからか、その視線の変遷に気付いていない。あくまで『急な紹介に戸惑った純真な妹、可愛い』くらいしか思ってなさそうだ。
アデラインへ優しく握手を促している。
そっと握られた手だったが、段々と力を込められたのがわかった。ピクリと眉が跳ねる。
「……………………」
「ヨロシクオネガイシマスワ。先輩?」
なんだその棒読み。何故か打ち鳴らす鐘の音が聞こえた気がした。
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