お嬢様の“専属”

ユウキ

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お嬢様、論破する②

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「…しかし、多数で囲って口汚く罵るのは王族の婚約者として、人として在るまじき行いでしょう!」

「いいえ、その様な事しておりませんわ。
正しくは、その場にいた私以外の第三者も交えて、正しいマナーを実践で教えて差し上げましたわ。
何度か教諭の方も混じっていただきましたので、確認なさって下さい」


リリアンナ様の発言に、最早観客と化したパーティー参加者達が騒めきだす。


「あー、あの突然始まる、実戦!正しいマナー講座かー」
「あれ、勉強になるよねー。態々見に行ったな~」
「理由やちょっとしたこぼれ話も入るから分かりやすいんだよね~」
「え、あれって身分を笠に着てって事になるの?」


 周りの声が聞こえたのか、狼狽え出したセジュール様をスッと睨み見据え、リリアンナ様は続けた。


「学園に居るうちに学んだマナーを正しく身につけるのは、とても意味ある事ですわ。
それはそうと、貴方にもご注意申し上げなければなりません。
私にちゃんと名乗りもせず、かつ許しもなく名前を呼ぶのはマナー違反でしてよ?不快ですわ」

「なっ!それはっ!」
「そんな言い方、酷いわっ!」


突然割り入った金切り声に、観客が眉を寄せて不快感を示すも、目に入らないのか涙目でリリアンナ様に抗議をするロティ嬢。

そして非難はセジュール様へも向く。

殿下の側近候補であるセジュール様と、殿下の婚約者であるリリアンナ様が名乗りあった親しい間柄なのかと思っていた観客は、セジュールへ非難の目を向け、ヒソヒソと囁き合う。


「貴族として名乗らないのは…」
「許しもなくですって…」
「酷いって、何なんだ?常識だろ…」



貴族間のマナーとして、家名も表さず正しく名乗りもしない事は、“名乗るに値しない“”知り合いたくない相手”と軽視しているなどの意味を持つ。


セジュール様は、学園に入ってからロドヴィック殿下の取り巻きとなり、側近候補に数えられた。
直後ロティ嬢ににより「リリアンナ様から虐められている」と聞きいて悪感情を持ち、周りに流されて同じように名前を口にしていたのだ。


周りの非難の声が耳に入り、たじろいだセジュール様を体格の良い伯爵家の令息が、短く切りそろえられた赤髪をガシガシと掻きながら肩を引いた。
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