お嬢様の“専属”

ユウキ

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陛下の裁可です

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ホールにいたロドヴィック殿下とロティ嬢以外全員ザッと最敬礼をして頭を下げ続けた。


「公式の場では父と呼ぶことを禁じているはずだ」

「も、申し訳ございませんっ……陛下…!」


やっと頭を下げながらも呼び方を正したロドヴィック殿下は、緊張にこわばった面持ちで陛下の言葉を待つ。

ゆっくりと周りを見回しながら進み、ついでに腕を縛られたまま取り敢えず下に顔を向けて転がるダリウス様をも一瞥した陛下は、程近くで止まると口を開いた。


「面をあげよ」


 それでも直視しないようにやや視線を下げながら、皆姿勢をゆっくりと戻す。


「茶番劇、とくと観させてもらった。
ロドヴィック、余が決定した婚約を、衆人環視の中、相手の令嬢を謂れのない罪で貶め、破棄を宣言したな」

「ち…陛下!しかし、本当にロティは虐められたと!」

「そうです陛下!私辛くて…!」

「其方、許可なく口を開くでない」


 鋭く睨みつけられたロティ嬢は、「ひっ」と小さく悲鳴を漏らしてロドヴィック殿下の後ろへ震えながら隠れる。


「して、その全ては事実無根と反論されたようだが?」

「…そ、そんなやっていない確証など無いではありませんか…」

「お前にはあるのか?本人以外の証言、または証拠が。リリアンナ嬢には沢山の証言者が居るようだったがな。ああ、婚約者のイニシャルさえ間違えるのであったな。証拠もまともに精査出来ぬのであれば到底無理な話であるな」


フンっと鼻で嘲られ、ロドヴィック殿下は反論できずに羞恥で顔を赤くして俯く。


「国が議論して下した決定に、正式な手順も踏まずに剰え貶め、勝手に破棄するような者は我が王家には不要だ。ロドヴィック、婚約は白紙撤回。王位継承権の剥奪、廃嫡とする」

「ち…父上!そんな!!!」


真っ青になった顔を上げて陛下へ取りすがろうとしたロドヴィック殿下は、陛下を守るように立っていた近衛兵に阻まれる。


「ロドヴィックを諫めず同じように追従したそこな者らも追って沙汰を出す。
謹慎して沙汰を待つがよい」


ロドヴィック殿下同様に真っ青な顔のセジュール様と転がったままのダリウス様は、人混みから現れた警備兵に抑えられた。
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